AVソースの無線伝送は5GHzで〜シャープ&松下ホームネットワークの映像伝送手段として、帯域幅の広い5GHz無線LANが注目されている。しかし、AVソースの場合はストリームデータを途切れることなく伝送する必要があるため、IEEE 802.11aでは不十分とする声も多い。各社はそれぞれのアプローチで解決法を模索している
画質重視のAVソースをワイヤレス伝送するには、帯域幅の広い5GHz無線LAN、そしてQoSが必須? 「CEATEC JAPAN 2002」の展示場では、シャープと松下電器産業が無線LANをAVネットワークに利用するためのコンセプトモデルを出展した。
松下は、BWA(ブロードバンド・ワイヤレス・アクセス)システムという名称で動画伝送を目的とした無線システムを参考出展している。送信機と受信機がワンセットになっており、送信側にAV機器、受信側にTVなどの表示デバイスを接続すれば、家中どこでも映像コンテンツを楽しむことができる。シャープの「スマートリンク」などと同様のアプローチだ。 異なるのは、リモコン信号を無線LANに載せて伝送する機能を持っていること。「例えば、リビングルームのビデオデッキをプライベートルームから操作するといったことができる」(松下)。また、ADSLモデムなどを接続してインターネット接続を無線化する機能もある。
デモンストレーションでは、IEEE 802.11aで24MbpsのMPEG-2 TS(トランスポート・ストリーム)を伝送していた。5GHz帯は2.4GHz帯よりも障害物に弱いが、「SD画質(6Mbps程度を想定)であれば、木造家屋の1階と2階でも通信できるだろう」(同社)としている。 また、家具などの反射物が多い宅内で安定した通信を行うため、BWAの送信・受信機にはユニークな機能がいくつか用意された。まず、本体前面のLED表示だ。一定の電界強度を下回ると、LEDの色が黄から赤に変わり、ユーザーに警告する。 もう1つは、本体上部のアンテナ。設定をオートにしておくと、受信状態の良い場所を求めて自動的に回転する。「宅内では、少しでもアンテナの利得をかせぐ必要がある。これにより、同じパワー(出力)でも伝送距離が延びる」(同社)。
松下によると、同社はIEEE 802.11aのほかに、HiSWANaをサポートすることも検討しているという。HiSWANaは、クライアントごとに最低帯域幅を設定できる5GHz無線規格。通信速度は最大36Mbpsだ。 「映像のように連続したデータを送信する場合、QoSを実現するHiSWANaは有効だ。また、DES暗号をサポートできるメリットもあり、市場に合わせて(採用する規格を)検討している」(松下)。 BWAシステムの製品出荷時期は未定だが、同社では「シャープやソニーのIEEE 802.11b製品と競合できる価格レベルにしたい」と話している。 一方のシャープは、QoS実現のためにIEEE 802.11eの採用を計画中だ。IEEE 802.11eは、無線LANに通信制御を追加するための標準規格。物理層は選ばず、IEEE 802.11aやIEEE 802.11bといった無線技術と組み合わせて利用することができる(5月の記事を参照。現在はドラフト仕様が公開されており、シャープは「来年中といわれている仕様の策定を待って製品化する」(同社)方針だ。
シャープでは、まずPCカードもしくは基板の形で両規格に対応した無線LANモジュールを出荷する予定だという。その後、スマートリンクをはじめ、液晶テレビ「AQUOS」やセットトップボックスなどに順次採用していく計画だ。
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