ニュース 2002年10月17日 02:21 AM 更新

KDDI、IP電話はPCMで伝送する時代になる

KDDIは「Asia Pacific Broadband Summit 2002 Tokyo」で、昨日発表した、個人向けIP電話事業について説明した

 「KDDI、個人向けIP電話事業に参入」が発表された(記事参照)翌日の10月17日。WPC EXPOと併催された「Asia Pacific Broadband Summit 2002 Tokyo」では、KDDIのネットワーク技術本部長の村上仁己氏が登場、IP電話事業への取り組みを紹介した。

 同氏は、今年3月25日から9月末にかけて実施したFTTH実験(事参照)でも、IP電話サービスを提供してきたことを紹介。「キャリアクラスのソフトスイッチを採用し、大規模化に対応したネットワークを構築した」という。

難題も山積み

 村上氏は、IP電話サービスを展開するにあたり“難題も山積みだ”と包み隠さず話す。

 「まず、どこまでQoSを行えるかが問題。自社ネットワーク内で完結するサービスではないため、ネットワーク監視にも限りがある」(同)。通信時の標準規格が勧告されていながら、実際には異なるベンダーの製品間で通信できない場合がある(記事参照)ことも、問題として触れた。

 業界の技術革新のスピードが速いことも、サービスにとって課題だという。

 一般に、アナログ交換機は単価が高いぶん、いったん導入すれば10年単位で利用する。それに対しIP電話では、基幹網に導入されるサーバなどの機器が安上がりと言われている。しかし、「技術革新に応じて頻繁にサーバ機器を交換しなければならないようだと、本当にコストが安いか分からない」(同)。

 端末側の問題もある。「ADSLの通信速度は、6〜10カ月のサイクルで向上する。現在各通信事業者は12Mbpsのサービスを提供しているが、もうすぐ16Mbpsのサービスが登場するだろう。その時に、機器を対応させなければならない」(同)。

音声データはいずれ「PCMで送信するだろう」

 村上氏は今後展開するサービスについて、「(細かい)サービスメニューがどうこうとは話せない」と言葉を濁したが、「大きくみれば、基幹伝送路では音声データをPCM(Pulse Code Modulation)により送信することになるだろう」という。

 これは、データを「変な圧縮をせず」高いクオリティで扱うということだ。実際、FTTH実験では、G.729などの圧縮率の高い音声コーデックでなく、低圧縮率で高品質を実現するG.711コーデックでの通信も検証済みだ。

 「テレビの映像などの動画配信でも、これは同じ。今でこそMPEGなどで圧縮するが、幹線ではPCMで送信するようになる」とした。

 KDDIでは今後、総務省に050番号を申請して、IP電話サービスを展開する予定。「IP電話と、auなど移動体を柱に、KDDIの通信事業を展開したい。VoIPの“V”は、将来的にVideoも表すようになるはず」(同)。既存電話網は、交換設備の償却状況を見つつIP電話網にシフトさせて、同社の次世代IPバックボーンである「ペルセウス」に統合すると明言した。

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[杉浦正武, ITmedia]

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