見えてきた? 大手ISPのIP電話“連衡戦略”一部経済紙が報じた「大手ISP7社によるIP電話連合」。内容は事実と異なるものの、これを契機として各ISPの連衡戦略が見えてきた
11月12日、一部経済紙が報じた「大手ISP7社によるIP電話連合」という記事に対し、NTTコミュニケーションズ、日本テレコムなどが相次いで否定するコメントを出している。ただし、この一件を機に、各ISPの連衡戦略が着実に進行しているようすが浮き彫りになってきた。 記事に名前が挙がったのは、ニフティ(@nifty)、NEC(BIGLOBE)、NTTコミュニケーションズ(OCN)、ソニー・コミュニケーションネットワーク(So-net)、KDDI(DION)、日本テレコム(ODN)、松下電器産業(hi-ho)。各社がIP電話網を相互接続し、加入者電話への通話は3分8円程度、会員相互間の通話は無料で提供するというものだ。同じ新聞が1日に報じた@nifty、So-net、OCNという組み合わせにメガコンソーシアムの4社を加えた形になっている。 各ISPがIP電話を進めるうえで、先行するBB Phoneに対抗する意味を含めて相互接続の道を模索しているのは周知の事実。「会員間の無料通話」が重要な訴求ポイントになる以上、より多くの会員を獲得したサービスが優位になるのは必然だ。仮に前述の7ISPが手を組めば、約2000万会員の大所帯となり、事業を優位に運ぶことができる。
7社のうち、メガコンソーシアムに名を連ねる4ISP(BIGLOBE、DION、ODN、hi-ho)は、コンソーシアムの構想時からIP電話の相互接続を検討してきた。ただ、NEC(BIGLOBE)がフュージョン・コミュニケーションズの「FUSION IP-Phone」採用を表明したのに対して、KDDIは自社サービスを展開すると発表したばかり。両社のサービスには加入者電話通話料金などに違いがあり(BIGLOBEは3分8円、DIONは3分8.5円)、“連合”を前提にしたものにはみえない。 しかし、日本テレコム社長のウィリアム・モロー社長は、12日に行われた決算発表の席で「まもなく、メガコンソーシアム加盟事業者間で連携し、IP電話サービスが提供できる」とコメント。4社が近く相互接続を発表することを示唆した。メガコンソーシアムの4社を合わせると、対象ユーザーは700万人以上になるという。
このほか、明らかになっているアライアンスは、NTTコミュニケーションズとニフティだ。ニフティはVoIPアダプタなどを使って通常の電話機を利用するタイプのIP電話サービスを計画中であり、そのパートナーとしてNTTコミュニケーションズの名前を挙げている。ただ、今のところNTTコムはアナログ電話機を使う方式のIP電話を手掛けておらず、「ニフティとは“サービスの形態”を含め、検討しているところだ」(同社広報)という。 ニフティは相互接続に積極的な姿勢(10月31日の記事を参照)を見せており、同社の古河建純社長は「さまざまなISPと話を進めている」としてメガコンソーシアム加盟ISPも例外にはしない方針を明らかにしている。 ただし、NTTコムは「少なくとも、記事にあるような(7社の)組み合わせで(IP電話に関する)交渉を行っている事実はない」と明確に否定。さらに、メガコンソーシアム側も「(記事には)メガコンソーシアム非加盟のISPとも協調をはかるように書かれていたが、これは違う。直近の計画には入っていない」(日本テレコムのモロー社長)と話している。 “7社連合”の可能性は否定されたが、近い将来、複数のISPを跨ぐ巨大なIP電話サービスが2つ、登場することは確実となった。まずは、早ければ年末といわれるニフティの正式発表、そしてメガコンソーシアムの動向に注目が集まりそうだ。 関連記事 KDDIも「050」IP電話サービスに参入 ニフティも「050」に参戦 BIGLOBE、フュージョンのIP電話を提供 フュージョン、新サービス「FUSION IP-Phone」でBB Phoneを追撃 BIGLOBEなど4社が提携――“ISP連合”の結集軸に @niftyとSo-net、eコマースで提携――“その次”は? So-net、「ISP連合には参加せず」――ポストペット続編などコンテンツ強化 [芹澤隆徳, ITmedia] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
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