ニュース 2002年11月14日 11:28 PM 更新

So-net、@nifty、OCNがIP電話を相互接続

BB Phoneを追撃するISP連合が登場した。NTTコミュニケーションズ、ソニーコミュニケーションネットワーク、ニフティの3社は、12月から、IP電話サービスの共同実証実験を行う

 NTTコミュニケーションズ、ソニーコミュニケーションネットワーク、そしてニフティの3社は11月14日、IP電話サービスの相互乗り入れと共同実証実験を行うと発表した。12月からそれぞれ試験サービスを行い、来春の商用化を目指す。ユーザー間の通話料は無料とし、計1100万会員という“数”を武器に先行するBB Phoneを追撃する構えだ。


左からNTTコミュニケーションズコンシューマ&オフィス事業部の前田幸一部長、ニフティのシステム事業部長の加藤雄一常務、ソニーコミュニケーションネットワークCOOの近藤幸直専務

 12月に始まる試験サービスでは、各ISPが自社のADSL会員の中から1万人のモニターを募集。モニターには「050」電話番号とVoIPアダプタが配布される。VoIPアダプタは、ADSLモデム一体型とTA(ターミナルアダプタ)タイプの2種類を用意する予定だ。

 12月の時点で利用できるのは、「加入者電話への発信」と「同じISPの会員間通話」のみだが、1月末〜2月はじめには3社の会員相互にIP通話できるようになる。試験サービス期間中は、基本料、通話料、端末レンタル料などはすべて無料だ。ただし、110番などの緊急電話番号、携帯電話、国際電話への対応は「技術的な課題や料金の問題などが詰め切れていない」(NTTコミュニケーションズ経営企画部長の高瀬充弘氏)として見送った。

 モニターの募集方法などは、各ISPがWebやメールを使って個別に告知する。詳細は未定だが、12月上旬から中旬にかけて各社から正式発表がある模様だ。それぞれ「12月中旬より募集を行う」(OCN)、「12月の初旬に改めて説明する」(So-net)、「12月の早いタイミングで募集を行い、クリスマスには利用できる状態にしたい」(@nifty)としている。

 商用サービスの開始は3月の予定だが、こちらも詳細は未定だ。分かっているのは、3社のユーザー同士であれば通話料が無料になること。また、「加入者電話への発信は、先行する他社と競合できる、8円前後になるだろう。携帯電話や国際電話への対応も実現したい」(ニフティの加藤常務)という。なお、加入者電話からIP電話への着信は、NTT東西地域会社がシステム変更を終える2003年夏以降となる。


サービススケジュール。本格サービスは2003年3月の予定

 3社のIP電話サービスは、NTTコミュニケーションズのVoIP網を基幹として、これに各ISPのネットワークをゲートウェイ経由で接続する。PSTNの交換機にあたる機能を提供するCA(Call Agent)により、ISPをまたぐ通話を可能になる。

 「050」電話番号は、NTTコミュニケーションズが150万回線ぶんを申請中。11月末に予定されている番号の配布を受け、これを3社で利用する計画だ。


NTTコミュニケーションズのVoIP網に@niftyとSo-netが接続する

 呼制御はSIP(Session Initiation Protcol)。「SIPは仕様がシンプルで拡張性も高い。将来的には、ビデオ会議やユニファイドメッセージといった付加サービスを検討していく」(高瀬氏)。

Yahoo! BBへの対抗

 3社が共同でIP電話サービスを展開する背景には、電話の市場全体がIP化に向けて進み始めたこと、そして先行するYahoo! BBへの対抗策という側面がある。

 長距離電話サービスを手掛けるNTTコミュニケーションズにとって、全国一律料金が前提のIP電話は脅威だ。しかし、NTT東西地域会社も電話網のIP化を決め、業界全体が脱交換機を目指して動き出した。「今後は、電話マーケットそのものが縮小する。このあたりで(IP電話を)始めないと、ユーザー基盤の確保という意味で出遅れてしまう」(高瀬氏)。

 一方、ニフティやSo-netはYahoo! BBがBB Phoneをテコとして新規加入者を集めている状況に危機感を募らせている(13日の記事を参照)。しかし、3社の会員数を合計すれば1100万、ブロードバンド加入者だけでも130万となり、数のうえでは十分にBB Phoneに対抗できる。「3社以外にも「パートナーは可能な限り集める方針だ。既に数社と相互接続交渉を行っている」(ニフティの加藤常務)。

 ただし、話題になったメガコンソーシアムとの協業については「全く(情報の)出所が分からない」として改めて否定した。「メガコンソーシアムは、もともとブロードバンドコンテンツの相互利用を目的とした集まり。VoIPに絞ったわれわれとは違う」(NTTコムの高瀬氏)。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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