ニュース 2002年11月22日 09:51 PM 更新

NTT東西、悲願の「県間通信」に向け認可申請

NTTが、県間通信への進出を目指して総務省に認可申請を行った。フレッツ・サービスの大幅な強化が見込めるだけに、競合する通信事業者から懸念の声が上がることは十分予想される

 NTT東西地域会社は11月22日、フレッツ・サービスの広域化を目指し、総務省に認可申請を行った。NTTが規制されてきた「県間通信」に進出しようとする動きは、再び業界に論争を引き起こすことは必至だ。

 認可申請によれば、NTT東西は各県の地域IP網を相互接続することで、各種「フレッツ・サービス」を強化して提供する方針。2002年度第4四半期から首都圏/京阪神で接続を開始し、来年度早期には全国の地域IP網接続を見込んでいる。

遠距離同士のIP通話も実現

 仮に申請が認められれば、ユーザーから見たフレッツ・サービスも魅力をます。効果が端的なのが、「フレッツ・コネクト」(NTT東)、「フレッツ・コミュニケーション」(NTT西)などのIPテレビ電話サービス。料金面でのメリットが大きい、遠距離間の通話が可能になる(記事参照)。

 地域IP網経由でファイル共有可能な「フレッツ・グループアクセス」(記事参照)や、企業の拠点間をネットワーク接続する「フレッツ・オフィス」(記事参照)でも、通信範囲が拡大するメリットは大きい。各県に拠点を抱える企業などで、導入が進むだろう。

 NTTと提携する各事業者も、メリットを享受できる。たとえば、複数の都道府県で事業展開しているISPは、どこか1カ所の地域IP網と接続するだけで、NTT東日本エリア全域と接続できることになる(下図参照)。「フレッツ・オンデマンド」などでコンテンツを配信する事業者も、地域IP網上の1カ所にコンテンツを用意するだけで、都道府県をまたいだコンテンツ配信が実現できる。



従来の接続形態(上)と県間通信が実現した場合(下)

NTT法改正をうけて

 NTTがこうしたサービスを提供できなかったのは、1985年の電電公社民営化と同時に制定された「日本電信電話株式会社等に関する法律」(いわゆるNTT法)の規制によるもの。同法ではNTT東西地域会社の業務を、地域通信事業に限定している。

 しかし、昨年末のNTT法改正により、「地域電気通信業務等の円滑な遂行、および電気通信事業の公正な競争の確保に支障を及ぼすおそれがない」ときは、NTT東西の保有する地域IP網を活用した“そのほかの業務”を営むことが認可されることになった。そのほかの業務、が今回申請した各種事業にあたるわけだ。

 なお、上記の「〜公正な競争の確保に支障を及ぼすおそれ」の解釈については、別途ガイドラインが定められ、“おそれ”の有無の審査方法が公表されている。今回の申請も、このガイドラインで定められた手続きに沿って、監督官庁によって手続きが踏まれる予定だ。

 もっとも、NTTの県間通信進出を脅威と受け止める競合通信事業者から、反対の声が上がる可能性は高い。「Lモードのときのように(記事参照)、議論が長引く可能性もある」(NTT東日本)。NTT西日本の担当者は「パブリックコメントの募集などもあるだろうが、3カ月以内にはなんらかの回答が出るものと考えている」と話した。



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関連リンク
▼ 総務省の公表したガイドライン

[杉浦正武, ITmedia]

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