ニュース 2002年11月29日 09:40 PM 更新

Yahoo! イチ押しの映画「Jam Films」をレビューしてみました

岩井俊ニ、行定勲、望月六郎など7人のスター監督が競演するショートフィルム集「Jam Films」が、12月末から劇場公開される。Yahoo! JAPANでオンライン試写会も実施されるこの映画、一足早く見てきました

 ヤフーは11月29日、年末に公開される劇場映画「Jam Films」(配給:アミューズピクチャーズ)のオンライン試写会を実施すると発表した。本日から12月17日までYahoo! JAPAN上で申し込み受け付けを行い、1000人を12月25、26日のオンライン試写会に招待する。

 試写会期間中は何度でも試聴可能で、ビットレートは1Mbps/500Kbps。なお、12月14日からは「Yahoo! ムービー」内で特設サイトも用意される予定だ。

 Jam Filmsは、飯田譲治、岩井俊ニ、北村龍平、篠原哲雄、堤幸彦、望月六郎、行定勲の7人の個性派監督が競演する、約109分のショートフィルム集。各ショートフィルムの長さは、14−16分。「各監督とも、自分の中で温めていたアイデアがあったようだ。予想以上にスムーズに話が進んだ」(アミューズ)という。

「ふわっとした風」を演出

 報道陣向けの試写会場には、作品の1つ「けん玉」に主演した篠原涼子さんと、篠原哲雄監督も駆けつけた。篠原涼子さんは撮影を振り返り、「現場では終始リラックスした雰囲気だった」と話す。


左から、篠原哲雄監督、篠原涼子さん。けん玉は、篠原監督の映画ゼミ生徒がシナリオを書いた作品だが「出来が良かったので、世に出るべき」と篠原氏自ら撮影した

 共演した山崎まさよしさんの、けん玉の腕前は「最初、すごいヘタだなと思った」と辛口コメント。「『オレ、入るかなあ』なんて言っていて、その後すごい練習していた。本番では上手くいったけど、マグレっぽかった」(笑)。

 撮影の合間には、山崎まさよしさんがギターを弾き始めることもあったという。こうした雰囲気が、作品のコンセプトである「ふわっとした風」を演出するのにピッタリだったと、出来栄えに自信を見せた。

 独断と偏見に基づく、7作品のレビューは以下のとおり。

タイトル:「the messenger」 監督:北村龍平

ストーリー:荒廃したビルにたたずむギャングの前に、黒いコートに身を包んだ、首に刺青のある女が現れる。彼女は「メッセンジャー」と呼ばれる、凄腕のヒットマンだった……

寸評:血まみれの男と、黒装束の女がゆっくりすれ違う――。この、出だしのミステリアスな雰囲気で勝負アリ。その後も、突然銃撃戦が始まるなどスピーディな展開で、一気に視聴者を独特の世界にひきずりこむ。魚谷佳苗がギャングに向かって言う「あなたはもう、死んでいるの……」というセリフが印象的。

タイトル:「けん玉」 監督:篠原哲雄

ストーリー:ある日、売れないミュージシャンのあきおは、買い物帰りに他人にぶつかられる。そこで紙袋を取り違え、手に入れたのはけん玉。しかしそのけん玉には秘密が……

寸評:山崎まさよしと篠原涼子の2人が、倦怠期を迎えた平凡なカップルを好演。思わぬトラブルに巻き込まれながらも、両者ともとぼけた味わいで対処する。ラストは、試聴者の予想をスキップでも踏むように軽く裏切って、爽やかな余韻。個人的には一番の好印象。

タイトル:「コールドスリープ」 監督:飯田譲治

ストーリー:コールドスリープから目覚めたフジオ。彼は、人類移住計画のために地球から20光年離れた惑星に送られてきたのだ。彼は記憶を徐々に取り戻すが……

寸評:冬眠カプセル内で目覚めた、謎のエリート調査員、というサイバーな出だしからは、想像できないほどの“バカバカしい”作品。舞台設定がかなりシュールなため、詳しい説明は適さない。単なるアホと化した元調査員の行動ぶりは、見ていて目まいを覚えるほど。角田ともみのセクシーさが光る。

タイトル:「Pandora 〜Hong Kong Leg」 監督:望月六郎

ストーリー:足に秘密の悩みを持つ眉子。薬を求めて喧騒の街を訪れると、そこには「秘密の治療法がある」と語る妖しい男が……

寸評:望月監督自身、「やっぱり僕はちょっとエッチなのがいいかな」と話すように、7作品中随一の官能的映像。脱ぎはまったくないが、吉本多香美の“足”にフィーチャーすることで、匂いたつような妖しい色気を表現した。「箱の中の男」をうらやましい……!と思う男性は、記者だけではないはず。

タイトル:「HIJIKI」 監督:堤幸彦

ストーリー:食卓を囲んでヒジキを食べている女と、妊婦、少女、そしてワケありの男。しばらく経つうち、窓の外から催涙弾が投げ込まれる。そう、男は警察に追われ、いまや完全に包囲されているのだ……

寸評:これは映画というより、舞台作品、コントに近いのではないか? アパートの一室に立てこもった気弱な犯人を、人質のあばずれ女が偉そうに説教する。そのセリフには、人生の悲哀がこもっている。それから惜しみない愛情と、コミカル精神を少々。ラストも劇画調だが、どこか予想通りの展開で、そこがまた哀しい。

タイトル「JUSTICE」 監督:行定勲

ストーリー:退屈そうに授業を聞いていた高校生の東条は、校庭の光景に目を奪われる。そこには、ハードル走をする赤、青、緑のカラフルなブルマを着た女子生徒達が……

寸評:英語で小難しい「ポツダム宣言」を読み上げる教師。しかし生徒は窓の外の“女子ブルマ”に夢中。随所に「自由」「正義」「民主主義」といった教科書的概念への皮肉・批判精神が見え隠れするが、妻夫木聡の屈託のない笑顔がそれを青春ドラマに変えてしまう。試聴後は、ちょっとだけブルマに食傷気味になれる。

タイトル:「ARITA」 監督:岩井俊ニ

ストーリー:ありとあらゆる紙の上に、“ARITA”が現れるという女の子。友だちのノートにはARITAがいないことを知り、その存在に疑問を抱く。ある日、彼女はARITAのいる紙に火をつけてみるが……

寸評:少女の目に触れる全ての紙に、羽の生えた不思議な生き物(もしくは妖精?)「ARITA」が現れるという、神秘的な設定の作品。これが広末涼子の持つ魅力とあいまって透明感ある作品に仕上がっている。個人的には、主人公のセリフの美しさにも注目。「私は自分の魂に火をつけて、燃やしてしまったのかもしれない……」

関連記事
▼ ヤフー「プロモーション型ムービー」を展開
▼ 菊川怜・MEGUMIなど登場するドラマ10本、期間限定で無料配信

関連リンク
▼ 「Jam Films」オンライン試写会について

[杉浦正武, ITmedia]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.



モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!