ニュース	2002年12月6日　02:48 AM 更新

驚速ADSLはこうして誕生した

発売から半年で35万本を出荷し、業界ヒット商品となった「驚速ADSL」。その開発舞台裏を、ソースネクストに聞いた

　12月6日、ソースネクストは今年1年を振り返るプレスパーティを行った。壇上に上がった松田憲幸社長は、2002年度上半期のeコマース売上が、同じくPCソフトを扱うベクターを抜いたと紹介。「2000年度からeコマースに参入したが、急成長を遂げて業界首位に立った」と気勢を上げた。

ソースネクストの松田憲幸社長

　懇親会場では、ADSLを高速化するユーティリティソフト「驚速ADSL」（レビュー記事参照）の開発を手がけた、川竹一氏に話を聞くことができた。

ソースネクストの川竹一氏

　驚速ADSLといえば、発売から半年で35万本の出荷を達成し、パッケージソフトウェア業界の一大ヒット商品となった製品。川竹氏も、「この業界では、10万本売ればヒットといわれている。非常に好調な売れ行きだ」と、満足げだ。

　開発のきっかけは昨年末、ADSLが爆発的な普及を始めた時期に、川竹氏が同僚のADSL回線を最適化してあげたことだったという。

　「MTUなどの知識のない人だったため、自宅まで言ってレジストリをいじってあげた。その時、なんでこれだけの設定を自動でやってくれるソフトがないんだ、という話になって、企画が立ち上がった」。

　この話を社内に持っていったところ、「社長はノリノリだった」（笑）。本当に高速化するのか機能をよく確認すべきだ、という慎重論もあったが、全体にスピーディに開発が進んだという。

　「昨年末の大みそかに実家に帰っていたら、『例の件で企画書を出しておくように』とメールが来ていた。それで企画書を出したら、休み明けに出社したときにはもう開発が始まっていた」。

　その後、1月末にはパッケージ製品がほぼ出来上がるという開発期間の短さ。3月8日には市場に投入され、その後の売れ行きは冒頭に書いたとおりだ。川竹氏は「あの頃、ADSLはよくも悪くも世間の注目を集めていた。このタイミングで、店頭に『ADSL』と大きく書いた製品を出したい、という考えもあった」と、発売のタイムリーさが効を奏したと分析した。

大胆な値下げも

　驚速ADSLといえば、最近になって「Yahoo! BB版」を4900円から1980円に値下げを発表して注目を集めた（記事参照）。この背景として、川竹氏はYahoo! BB版の売上の伸びが原因だと話す。

　「通常、『通常版』のソフトと『特定機種対応版』のソフトがあった場合、売上は4：1ぐらいの比率になるのが普通。しかしYahoo! BB版は、秋頃から急速に売上を伸ばし、最近では通常版を上回ることもあるほどだ。この勢いにのって、もうひと山販売を伸ばしたいと思った」と説明した。

　川竹氏によれば、ソースネクストは、来年春にもADSLに関連したソフトを発売する予定という。「まだ詳細は明かせませんが、期待して下さい」（笑）。

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[杉浦正武, ITmedia]

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