ニュース 2002年12月10日 11:06 PM 更新

加速できるか? 〜発車した無線LAN倶楽部

NTT-BPは12月21日から、公衆無線LANサービス「無線LAN倶楽部」の本サービス開始を発表した。サービスエリアなどに制限も多いが、今後大きく強化される可能性もある

 NTT-BPは12月21日から、駅を拠点とする公衆無線LANサービス「無線LAN倶楽部」の本格提供を開始すると発表した。12月10日から同社ホームページで申し込みを受け付ける。料金は月額1500円で、ほかに契約料として1500円が必要。ただし、12月30日までに申し込んだユーザーは契約料、および1月の月額料金が無料となる。

 無線LAN倶楽部は、京王電鉄、京浜急行電鉄沿線の各駅およびホテルなどにアクセスポイントを用意したサービス(記事参照)。鉄道会社の保有する光ファイバーに、NTT-BPの光ファイバーを接続して、オールファイバーの基幹網を構築している。8月から4カ月間実施された試験サービスに「手応えを得た」(NTT-BP)として、本サービス開始に踏み切った。なお、試験サービス時には無線方式にIEEE 802.11bとHiSWANaを採用していたが、本サービスでは802.11bのみを提供。HiSWANaは技術的検証を継続するという。

 サービスの特徴の1つは、ビーマップが開発したコンテンツ配信システム「AirCompass」を採用していること。PDAから専用ソフトウェアを起動し、無線スポット内で「ダウンロードボタン」を押すだけで、サーバ側で更新のあったコンテンツのみが、端末に自動ダウンロードされる。対応機はPocketPC2002が動作するPDAに限られるが、今後ほかの端末にも対応する予定。

 試験サービスでは無料コンテンツが提供されていたが、本サービスでは「コンテンツショップ」でニュース、雑誌などの各種有料コンテンツが揃えられる予定。ほかに、月額料金だけで楽しめる「コンテンツパック」も用意されており、ニュース、天気予報、カレンダー、エンターテインメント、鉄道沿線情報の5ジャンルのコンテンツが楽しめる。

・コンテンツショップ

ジャンルタイトル
ニュースPDA読売、Mobile産経、日本工業新聞PDA BOOK版、DIGITAL日刊工業など
雑誌、小説PDAフライデー、旺文社 電車で英語、Pocket sabraなど
タウン情報NAVITIME、パソconecoなど

・コンテンツパック

ジャンルタイトル
ニュース時事通信ニュース、今日のスポニチ(仮称)
天気予報ウェザーゲート
カレンダー東京カレンダー(ショウビズカレンダー/新製品カレンダー/10年前カレンダー)
エンターテインメント生本(22名の作家によるオリジナル作品)
鉄道沿線情報京王電鉄沿線情報、京浜急行電鉄沿線情報(予定)

サービスエリア拡大も

 試験サービスの結果を見ると、メインとなるユーザー層は30代前後の男性。土日より、平日にサービスを利用する傾向が強かった。トラフィックのピークは午前8−9時と午後7時−8時頃で、NTT-BPはここから「予想通り通勤・通学時に利用されている」と分析している。

 利用エリアに関するアンケートでは「全駅にアクセスポイントが導入される」ことを望むユーザーが37%に、また「主要ターミナル駅に導入」を望むユーザーが35%に達した。こうした結果をうけ、京浜急行電鉄は来年3月末までに新たに7駅を、京王電鉄は6駅をホットスポト化する計画(下表参照)。「乗降人員が多い駅や、ビジネスユーザーの利用を中心に増やす考えだ」(京王電鉄)

京浜急行電鉄京王電鉄
継続提供品川駅、上大岡駅、ホテルパシフィック東京、レストラン「ローズテリア2」新宿駅、府中駅、聖蹟桜ヶ丘駅、京王プラザホテル
新規提供羽田空港駅、京急川崎駅、横浜駅、金沢文庫駅、横須賀中央駅、京急久里浜駅、YRP野比駅初台駅、明大前駅、京王多摩センター駅、京王八王子駅、渋谷駅、吉祥寺駅

 なお、NTT-BPの小林者社長は「ほかの私鉄とも交渉している」とコメント。「この場で具体的には言えないが、関心をもってもらってかなり突っ込んだ話し合いをしている」と含みを持たせた。

将来はモバイルIP電話も?

 小林社長は「まずは事業を立ち上げて、独り立ちできるようにならないと」と話す。加入者目標として掲げた「5年後に、各路線で5万人」には、やや控えめな印象もうける。

 しかし、サービスを拡大するための準備はある。その手段の1つが、ほかの事業者とのローミングだ。試験サービスの段階から既に、NTT-MEの公衆無線LANサービス「ネオモバイル」やNTTコミュニケーションズの「ホットスポット」と相互乗り入れを行っている(記事12参照)。

 本サービス開始時点では、同様のローミングを行うとは発表されていないが、「料金設定、認証方式の違いなどの課題を解決すべく積極的に話し合いを進めている。早い段階でローミングしたい」と、実現はほぼ確実なようす。

 また、将来の事業構想も2つ示された。その1つが、モバイルIP電話サービスだ。「(加入者電話のインフラを抱える)NTTグループということでは、複雑だが、もはやこの流れは止められない。着信というより、発信重視で、“毎日の帰るコール”が安くかけられるようなサービスを想定している」。

 また、駅内になんらかの常設端末を設置して、駅を地域コミュニティの中心にする構想も明らかにされた。ユーザーはその端末から、随時更新される情報を取得できるほか、掲示板のように自ら情報を書き込むことも可能。無線LAN倶楽部のユーザーは、そこからデータをPDAにダウンロードできるという。



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関連リンク
▼ NTT-BP

[杉浦正武, ITmedia]

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