ニュース 2002年12月16日 03:51 AM 更新

情報通信審議会“DSL作業班”の会合、初回から紛糾

情報通信審議会の答申を受けて設置されたDSL作業班。その第1回会合は、作業班の運営や過去の経緯を巡って紛糾した

 12月16日に総務省庁舎で開催されたDSL作業班の第1回会合は、ビジネス上の利害関係から、本来の目的とは異なる部分で紛糾した。DSL作業班は、情報通信審議会の答申を受けて設置されたもの。技術を議論する場であるはずだが、先日の公開ヒアリングと同様、Annex Aを採用するビー・ビー・テクノロジー(BBT)とAnnex C陣営の対立ばかりが目立つ結果となった。


 情報通信審議会の答申では、現在「未確認方式」とされている12Mbps ADSLの適合性を確認するため、「総務省がスペクトル管理の基本的な要件を策定」し、これに基づいて 情報通信技術委員会(TTC)が未確認方式のスペクトル適合性を評価する手順を要望している。その「基本的要件」を検討するのがDSL作業班の役割だ。位置付けとしては、情報通信審議会・情報通信技術文科会・事業用電気通信設備等委員会の下になる。

 作業班の構成メンバーは、東京大学の相田仁教授をはじめとする学術経験者、各DSL事業者の代表、そして住友電気工業やNECといった機器ベンダーの代表など22人。さらに、GlobespanVirataやCentillium Communicationsといったチップベンダーの代表者も名を連ねた。

 しかし、冒頭からBBTの孫正義社長が「メンバー構成がAnnex Cの機器ベンダーに偏っている。Annex Aベンダーの“応分”の参加を求める」と運営体制に対して疑問を投げかけるなど、会合は波乱含み。結局、Annex Aベンダーの参加は「推薦を受けたあとで検討する」(事務局)ことに落ち着いたものの、それまでは各ベンダーが「DSLサービスの動向」やTTC「JJ-100.01」などの説明を行うたび、BBT側が事務局(総務省)に対して説明者の選定理由を問う、という場面が繰り返された。

 また、TTCが策定したスペクトル管理標準「JJ-100.01」(第2版案)の説明では、方式別の干渉状況を示した図を巡り、意見の対立した発言者が声を荒げることも。このため、別の委員らが「過去の経緯(による論争)は避けてほしい」(NTT東日本技術部長の成宮憲一氏)などと意見する場面もあった。

 第1回会合は、ADSLサービスの現状や海外のスペクトラム標準策定状況といった状況を把握するための説明が主で、具体的な議論には至っていない。「今回の資料紹介は、これまでの経過を確認し、論点を洗い出すのが目的」(事務局)。事務局側のスケジュールでは、まず2月までに5回程度の会合を行い、早期に解決すべき事項について報告をまとめる予定だ。それ以外の検討課題は、3月以降に継続して審議を行うという。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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