ニュース 2002年12月25日 08:53 PM 更新

自宅LANにアクセスしよう(ファイル共有編)

自宅LANにつないだのはいいけれど、どのように情報共有を行えばいいのか分からない。そんな疑問を抱えた読者が少なくないようだ。そこで今回は、「LAPLINK GOLD 2002」「Desktop On-Call Version 5」といったリモートコントロールソフトを紹介する

 以前、この連載の中で、インターネットから自宅のPCへと接続する方法を紹介したが、その後に繰り返し質問を受けたのが、繋いだあとのお話。あのときはDynamicDNSを用いて自宅PCへの接続方法を紹介したが、実際にやってみようと思うと、どのようにファイルをはじめとする情報共有を行えばいいのか分からないという意見が多い。

 そこで今回は、自宅のPCへとネットワークで接続するためのノウハウを、ソフトウェアの面から話してみることにしたい。

Dynamic DNSを使わず自宅PCに接続

 一番最初に考えるべきなのは、自宅PCに接続して何をやりたいのかを、具体的に考えてみることだ。これまでの読者からの反応を見ると、やはり一番多いのはファイル共有である。ファイル共有の手段は、前回に「自宅LANにアクセスしよう」を書いた時にも、Windows XPが持つWebDAVサーバの機能を利用するのが一番簡単だと紹介した。Windows XP以外のWindowsでも、Windows 98以上ならばマイクロソフトはWebDAVに対応したWebサーバソフトを配布している。

 ただ、実際にやってみると何のことやらサッパリ……ということのようだ。実際にメールで質問をいただいた読者に、Webサーバが難しいならとFTPサーバの作り方を指南してみたが、やはりうまくいかない様子。実際に繋がってしまえばあっけないものだが、メールのやりとりだけでは限界もあるため、ファイル転送ソフトを紹介することにした。

 選んだのは、インターコムが国内代理店を務める「LAPLINK GOLD 2002」だ。LAPLINKというと、DOSやWindows 3.xの時代、まだイーサネットが高価だったころに、高速なファイル転送をパラレルポートで実現するソフトの名前として知っている人も多いはず。そのLAPLINKは、現在ではインターネット経由でファイル転送やリモート操作を行うツールへと進化している。

 LAPLINKの良いところは、インターネットにディレクトリサーバを置き、接続したいPCへと簡単に接続できること。出先から接続したいPCのLAPLINKにインターネットアドレスを付けておくと、そのインターネットアドレスを入れるだけで自宅PCへと中継してくれる。このためDynamic DNSを設定する必要がない。


LAPLINKの特徴はリモート接続先の発見しやすさ。この画面はLAN内のホストを検索・表示させたところ。接続可能なホスト名が自動的にリストアップされる


インターネット経由の接続では、インターネットアドレス(メールアドレスなどユニークなIDを割り振っておく)を使ってホストへ接続できる


インターネットアドレスは任意の文字列でディレクトリサーバに自動登録。インターコムが設置しているILSサーバを通じて、コネクションの中継が行われる

ネットワーク経由で様々な操作が可能に

 LAPLINKがサポートしている機能は、ファイル転送、リモートコントロール、プリンタリダイレクション、テキストチャット、ボイスチャット。このうち個人で自宅のPCに接続して便利なのは前者3つだろう。プリンタリダイレクションはLAPLINK経由で、接続先のPCに繋がれたプリンタを利用する機能だ。

 ファイル転送はエクスプローラでファイルをコピーするのと同様の操作で簡単に行えるが、さらに定期的に決まったフォルダを自動同期する機能も備えている。これを使えば、たとえば会社のPCと自宅のPCで、マイドキュメントの内容を常に一致させるといった設定が可能になる。


LAPLINKのファイル転送画面。わかりやすく、転送速度が速く、転送に失敗しても自動リトライしてくれる

 LAPLINKのファイル転送は、まだ通信インタフェースの信頼性が乏しくパフォーマンスも低い頃から使われていたこともあり、ファイル転送でエラーが発生しても自動的にリトライしてくれる上、転送そのものの速度も速い。

 リモートで自宅と接続する目的がファイルの転送ならば、LAPLINKを用意するだけで特別な工夫なく目的を達成できる。その上で、さらにリモート操作を行いたい場合はリモートコントロール機能を利用しよう。僕の場合は、たとえば自宅PCのメーラーを起動しっぱなしにしてしまい、出先でメールチェックできなくなってしまった場合にリモートコントロールでメールチェック、メーラー終了を行ったり、デスクトップPCにしかインストールしていないアプリケーションを使いたくなった場合などに利用している。

 ただし、LAPLINKのリモートコントロール機能は、Windows XP Professinalのリモートデスクトップはもちろん、AT&T Lab.のVNC(無料で利用可能なリモートコントロールソフト)よりもずっと動作が重い。もし自分でDynamic DNSやルータのポートフォワードを自分で設定するスキルがあるならば、それらを利用した方が快適に利用できる。


リモートコントロールは低速というほどではないが、Windows XPのリモートデスクトップやATT&T Lab.のVNCと比べると、あくまで補助的なものと考えた方が良さそうだ


プリントリダイレクション機能を使えば、リモート接続先のコンピュータで利用できるプリンタに印刷が可能

Desktop On-Callなら幅広い端末から接続も

 LAPLINKの難点をひとつ挙げるならば、常にLAPLINKがインストールされているコンピュータからしか接続できない点だ。たとえば自宅PC、会社PC、モバイル用PCと3台のPCがあったら、それぞれに異なるシリアル番号のLAPLINKが必要になる。もちろん、それ自体は致し方ないところだが、出先でLAPLINKをインストールしていないPCが利用できる状況で、自宅PCにアクセスする手段がない。

 そこで、LAPLINKと同種のアプリケーションである日本アイ・ビー・エム(IBM)の「Desktop On-Call Version 5」を紹介しておきたい。Desktop On-Callは、ファイル転送やリモートコントロールのクライアント機能を、Windowsなどの特定OS用ソフトウェアではなく、Javaアプレットとして提供している。このため、Javaが動作する環境であれば、基本的にクライアントの種類を問わず利用できる(動作保証はInternet Explorer 5.5、6、Netscape Navigator 4.7のみ。Opera 6.0xではエラーが発生した)。


Desktop On-CallのサーバはWebサーバとして動作する。これはその初期画面。機能はリモートコントロールと監視カメラ機能の2つに大きくわけられる

 クライアントのJavaアプレットはHTTP経由で自動配布されるので、いちいちクライアントごとにインストールする必要はなく、ライセンスも1個でかまわない。サーバ側は、WindowsはもちろんLinuxやOS/2、MacOS 9.xが同梱されている。


PCでリモート接続したところ。巨大なスクリーンサイズのデスクトップを25%単位で縮小表示することが可能だ


リモート画面を100%まで拡大すると、色数が256色であることに気付くはずだ。カラーパレットを最適化して転送できるため、操作に不自由するほど色数が不足するわけではない


Desktop On-Callではファイル転送もJavaで実装されている

 クライアントのコンピュータにはPDAも利用可能だ。サポートするPDAも幅広く、PocketPC、PalmOS 3.5以降で利用可能なクライアントモジュール(こちらはJavaではない)が同梱されていた。また「ZAURUS」(MI-E1、MI-E21)は、別売りのJava実行環境がインストールされていれば動作する。


コンパックのPocket PC「iPaq」でアクセスしたところ

 加えて、Desktop On-Callには、定期的にUSBカメラなどから画像を取り込むリモート監視機能もある。この場合、クライアント側はPCではなく携帯電話でもかまわない。携帯電話はiモード、EZweb、SkyWebの3種類がすべてサポートされていた。

 このように、特定のOSやクライアントに動作環境を強く依存しないところが、Desktop On-Call最大のメリットといえるだろう。ただ、LAPLINKのように自宅PCへとリダイレクトしてくれるサービスは含まれていないため、(固定IPアドレスを持っているユーザー以外は)接続にはDynamic DNSなどでIPアドレスを知る工夫が必要だ。またDesktop On-Callのリモートコントロール機能は256色でしか表示を行えず、パフォーマンスもリモートデスクトップはもちろん、LAPLINKとの比較でもかなり低い。

 これらのリモート接続用アプリケーションを利用する場合は、デスクトップのリモート操作にあまり大きな期待をかけず、ファイル転送を中心に使いながら補助的にリモート操作を使うことをお勧めする。

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[本田雅一, ITmedia]

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