ニュース 2003年1月10日 06:53 PM 更新

NTTの「県間通信」認可申請に171件の意見書

やはり、NTTの認可申請が業界に波紋をよんでいるようだ。総務省は1月10日、この件に関連して171におよぶ意見書が提出されたと公表した

 総務省は1月10日、昨年11月にNTT東西地域会社が県間通信の実現を目指して認可申請を行った件で(記事参照)、12月27日まで受け付けていた意見募集の結果を公表した。企業、そのほかの団体、個人合わせて171件の意見書が提出されており、この問題に対する業界の関心の高さがうかがえる。

 意見書を提出した企業としては、ISPや通信事業者など、認可申請の動向が利害に影響しやすいところが目立つ。中でも、イー・アクセス、KDDI、日本テレコム、東京通信ネットワークなどの事業者19社は、認可すべきでないとする主旨の意見書を連名で提出している。

 今回の意見募集に際し、総務省は申請内容をガイドラインに照らし、「現在のところ認可する方向」であることを明らかにしていた(記事参照)。これに対し、19社は「総務省の考え方に問題点がある」と明記。総務省側が市場の競争状況などを十分に検証していないとした上で、NTT東西の業務範囲拡大は、NTTの市場独占をいっそう助長することになると主張した。

 19社はまた、「(“認可する方向”などと)結論の方向性が決められた状態でのパブリックコメント招請では、ほかの事業者の反映が保証されていない」と反発。今回の意見募集の結果を受け、再度総務省の認可に対する考え方を提示することを要求している。 

NTTコム、NTT-BPも意見書提出

 NTTグループのNTTコミュニケーションズ(NTTコム)や、NTTブロードバンドプラットフォーム(NTT-BP)も意見書を提出している。その内容を確認すると、NTTコムは「県間接続によるフレッツ・サービスの広域化は、法令および法令に基づくガイドラインに則って実施していただきたい」と、ごく簡潔なもの。一方NTT-BPは、「利用者の利便性の向上を図るための業務拡大であり、大いに歓迎すべき」と、諸手を挙げて賛成の姿勢だ。

 興味深いのは、ISPゼロの意見。ISPにとって、NTT東西の県間通信が実現されれば、どこか1カ所の地域IP網と接続するだけで、NTTが所有するネットワーク全域と接続できることになる。このため、認可を歓迎するISPもある中で、ゼロは反対意見を表明している。

 その理由は同社が「全国展開を完了している」ため。「新たにフレッツ・サービスを展開するISPおよび、一部エリアでのみサービスを展開していたISP事業者が、既に全国展開している事業者と比べて優遇される――」つまり、後発組にとって割のいい話であり、公平性を欠くため納得できないというわけだ。

 総務省の総合通信基盤局事業政策課担当者は、意見募集に寄せられた数を「通常と比較して、多いといえるだろう」とコメント。総務省として、寄せられた意見を踏まえて検討、認可の適否を判断するとした。



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関連リンク
▼ 総務省の意見書公開ページ

[杉浦正武, ITmedia]

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