リビング+:ニュース 2003/01/22 23:50:00 更新

JASRACとレコード協会、電子透かし技術の有効性をアピール

日本音楽著作権協会と日本レコード協会は、昨年実施したオーディオ向け電子透かし技術実験の結果を発表した。インターネットや放送波を経由した場合でも、電子透かし情報はほぼ100%検出できることが確認されたという

 日本音楽著作権協会(JASRAC)と日本レコード協会(RIAJ)は1月22日、昨年実施したオーディオ向け電子透かし技術実験の結果を発表した。これによると、楽曲ファイルに埋め込んだ電子透かし情報は、インターネットや放送波を経由した場合でも、ほぼ100%検出できることが確認されたという。

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 左からRIAJの田中純一事務局次長兼情報・技術部長、JASRACの加藤衛常務理事、同じく菅原瑞夫送信部長、野方英樹ネットワーク課長

 電子透かしは、音楽ファイルなどにコンテンツIDなど固有の情報を埋め込み、著作権管理や不正コピーの検出に利用する技術だ。暗号化やコピーガードと異なり、それ自体が違法コピー防止機能を持つわけではないが、監視システムと組み合わせることで、違法利用の発見や侵害物の特定を可能にする。

 また、電子透かし技術は違法利用の抑止効果も期待されている。「楽曲から電子透かしを検出できれば、これは“同一性の証明”となる。著作権を侵害した相手に対して、民事的・刑事的な責任を問うことができる」(JASRACの加藤衛常務理事)。

MP3からも検出可能

 JASRACが実施した実験は、インターネット上の違法利用を対象としたものだ。CD音源に著作権管理情報を埋め込み、MP3に圧縮したうえで、非公開の“違法サイト”にアップロード。一方で、JASRACが運用している違法著作物監視システム「J-MUSE」に電子透かしを検出するデコーダを実装し、2週間にわたってネットの監視を行ったという。

 「監視システムは、電子透かしが埋め込まれた音楽ファイルを一定の期間内にもれなく収集した。音楽ファイルに埋め込まれたメタデータの検出にも成功し、楽曲名の特定もできた」(加藤氏)。

 一方、RIAJの実験では、エフエム東京およびエフエム大阪の協力のもと、FMラジオ番組のなかで電子透かしを埋め込んだCD音源を使用した。受信した音源からID情報を取り出し、データベースと照合することによって、音源の特定や「放送における楽曲の利用実態を把握する」のが目的だ。放送音源把握システムには、米Veranceの「コンファメディア」が採用されている。

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 RIAJの実験概要

 その結果、「楽曲にナレーションが大きくかぶらない限り、検出率はほぼ100%」(RIAJの田中純一事務局次長兼情報・技術部長)。1曲だけ電子透かしが検出できない曲があったが、調べてみると生放送に出演したアーディストが持ち込んだCDだったという。

音質劣化の懸念を払拭

 JASRACは、今回の実験には2つの側面があると話している。1つは、MP3圧縮やアナログ-デジタル変換、あるいは無線伝送など、オリジナルの状態から手を加えられた楽曲でも電子透かしを検出することが可能であると実証したこと。もう1つは、電子透かしの導入による音質劣化の懸念を払拭することだ。

 「聴覚の鋭い人が音質を判断する、いわゆるゴールデンイヤーテストにおいても、ほとんど(音質劣化は)認められないと確認できた」。

 これらの結果をもとに、JASRACは著作権者やコンテンツホルダーに対して同技術の採用を促していく構えだ。確認作業の自動化など運用面の課題は残されているものの、電子透かしの採用を前提とした管理料の割引きなどを通じて導入を支援していくという。

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関連リンク
▼社団法人日本音楽著作権協会
▼社団法人日本レコード協会
▼米Verance

[芹澤隆徳,ITmedia]



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