リビング+:特集 2003/02/05 23:59:00 更新

特集:ホームネットワークで手軽にファイル共有〜NASを使おう(2)
オフィスユースにも耐えうる多彩な機能〜“NetPocket”

今回紹介する「NetPocket」(LHD-NAS120)は、ほかの2製品と比較すると、オフィスユースも強く意識したものだ。逆にいえば、小規模オフィスや家庭向けのNASとして考えた場合、極めて多機能といえる

 アイ・オー・データ機器、メルコと共にPC用ストレージ分野のメジャーベンダーであるロジテック。店頭販売されることは少なかったが、同社は以前より多機能なNASを手がけていた。今回紹介する「NetPocket」(LHD-NAS120)はエントリー仕様であり、同社の製品ラインアップの中では、もっとも低価格なNAS製品となる。

 本製品は、一見標準的なサイズの外付けHDDにも見えるが、実際にはブックPCの高さを削ったようなサイズ。外付けHDDと比べると、かなり大きい。ただ、置き場に困るというほどのサイズではないし、金属製のシャシーはある種の安心感さえ覚える。なお、同社のNASは、これまで型番がすべて「LAS〜」で始まっていたが、本製品は同社の外付けHDDと同じ「LHD〜」を冠しており、より一般的な製品として位置付けていることが分かる。

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 ロジテックの「NetPocket」(LHD-NAS120)。前面には電源、HDD、LANのインジケータを備えるのみだが、青、赤、オレンジと3色が利用されているので遠くからでも動作状態は把握しやすい

 今回取り上げているほかの2製品(メルコのLinkStation、アイ・オー・データ機器のHDA-i120G/LAN2)と比較すると、オフィスユースも強く意識している。Windows、Mac(OS XではAFP接続のみ)のサポートに加え、NFSもサポートすることでLinux(Unix)からのアクセスもサポート。また、盗難防止用の金属ワイヤー製取付けフックとケンジントンセキュリティスロットを装備している。

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 背面。電源スイッチは一見ハードスイッチに見えるが、実はソフトスイッチ。4秒押し続けると強制的に電源を切断できる。なお本製品の電源切断はブラウザで管理画面から行うのが正常な方
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 LANポートは1段奥まった位置にあり、簡単にはコネクタが抜けないようになっている。もっとも、これが意識したものなのか、構造的な都合なのかは分からない

WindowsからもMacからも容易な導入

 本製品は、DHCPサーバの有無にかかわらず、付属のセットアップツールで本製品を自動検索し、設定画面を呼び出したり、DHCPサーバのない環境では設定作業用に仮のIPアドレスを設定することができる。基本的に、どのようなLAN環境でも、PC側のIPアドレスを変更せず、容易に設定作業を進めることができる。

 セットアップツールは、WindowsとMac OSの両方に対応しており、「InternetExplorer 5.0」以上が利用できればどちらのOSからも設定作業を行える。同社製品は全般的にMac対応を重視する傾向が強いが、この点は本製品でも引き継がれたようだ。

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 セットアップツールで本製品を自動検索し、設定や管理作業を行うことができる。もちろん本製品の複数導入にも対応している

オフィスユースにも耐える多機能性

 小規模オフィスや家庭向けのNASとして考えると、NetPocketは極めて多機能だ。ユーザーごとに容量制限を行えるディスククオーター管理や、障害発生時の電子メール通知機能なども備えている。また、本製品はドメインに参加することが可能だ。つまり、Windows NT/2000 Serverでドメイン管理を行っているオフィスのLAN環境へも容易に導入できる。

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 ユーザー毎に利用可能なディスク容量を割り当てる事ができる。家庭内利用では不要だろうが,オフィス利用は管理を楽にしてくれる便利な機能だ

 だからといって、導入作業の難易度が高いわけではない。基本的にはウィザードに従って初期設定を実行するだけ。デフォルトで「public1」というフォルダが無制限に利用できるようになっており、必要があればフォルダ管理、ユーザー管理を行えばいい。

 フォルダのアクセス管理は柔軟だ。フォルダには、ユーザーとユーザーが所属するグループの両方を指定して、矛盾しない範囲でアクセス権設定が可能。「読み出し/書き込みを許す」「読み出しだけを許す」といった設定もできる。特定のユーザーやグループからのアクセスを拒否する設定もあり、アクセス管理は非常に柔軟といえるだろう。

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 フォルダへのアクセス権は極めて柔軟。ファイルを勝手に書き換えられては困るが、参照は許可したいといった設定も容易だ

 また、本製品はFTPサーバとしても機能する。インターネット経由のアクセスなら、PC上でFTPサーバを運用するよりもセキュリティ面の不安が少ないし、メールでは送受信できないような、大きなファイルの受け渡しも簡単に行える。アクセス管理もLAN内と共通のため、運用も楽だ。常時接続環境であれば、本製品さえ起動していれば出先から簡単にファイルを取り出すことができる。

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 FTPクライアントからのアクセスも可能。ユーザー管理もそのまま適用されるので、FTPだけのために設定を行う必要もない

 反面、オフィスユースはともかく、家庭内で単に共用HDDとして利用するには、これだけの管理機能は不要ともいえる。設定作業自体は難しいわけではないが、機能を使いこなすには、やはり一定のスキル、例えばWindowsのLAN設定をきちんと行える程度の知識は必要だろう。多機能だから、という理由だけで安易に選択すると“宝の持ち腐れ”になる可能性もあるということだ。

単に共有HDDとして利用するにはもったいない製品

 他の2製品が、どちらかといえば「接続インタフェースにLANを利用した外付けストレージ」という位置付けなのに対し、従来からNASに最低限必要とされる機能をしっかりおさえた「よりNASらしい製品」だ。

 同社がもともとNASを手がけていたという背景もあり、価格帯こそ近いものの、他の2製品とは少々毛色が異なるのは当然なのかもしれない。単なる共有HDDとして利用することも容易なのだが、それでは少々もったいないというのが、素直な印象。ただし、家庭や小規模オフィスでFTPサーバとして利用するために購入するのも悪くはないだろう。

 なお、本製品は背面に冷却ファンを備えるが、その動作音はサイズに見合わず控えめで、静かな環境でないと気にならない。これは内部的に余裕のある筐体サイズが生んだメリットといえるだろう。

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[坪山博貴,ITmedia]



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