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2003/02/14 19:45:00 更新

日立と東急不動産、日本初の“地元主導”コミュニティ支援システム

日立製作所と東急不動産が、地域コミュニティを支援するシステムを開発した。従来とは違って、手間をかけずに多くの情報が集まってくるという

　日立製作所と東急不動産は2月14日、インターネットによって地域コミュニティを支援する情報システム「ライフサポートシステム（LSS）」を開発したと発表した。第一弾として東急不動産が街づくりを進めている千葉市緑区の大規模ニュータウン「あすみが丘エリア」にテスト導入、地元NPO（非営利団体）法人が中心となってシステムを運営していく。「大規模住宅団地を対象に地元NPO法人が地域情報サイトを運営していくのは日本初の試み」（両社）。

　LSSは、さまざまな地域情報をインターネットの地域情報サイトに集約し、情報の流通を促進させることで、その地域に住む人々の生活をより豊かにしていくことを目指している。今年3月に専用サイトを開設して4月から本格稼働を始める予定。インターネット閲覧環境がなくても同システムを利用できるように、LSS専用端末を用意。今回のテスト導入では、昨年11月から分譲を開始した「あすみが丘東地区」の約1400戸に、LSS専用端末を設置していく。

LSS専用端末

　LSS専用端末は日立製作所のIA（インターネットアプライアンス）端末「FLORA-ie 55mi」を使用。タッチパネル方式を採用した本体は、バッテリ駆動で無線LAN（802.11b）を内蔵しているため、さまざまな場所に持ち出してインターネットを楽しめる。

無線LAN搭載で、さまざまな場所に持ち出してインターネットを楽しめる

　「FLORA-ie 55miは標準仕様ではLinuxベースだが、LSS専用端末ではWindows 2000にOSを入れ替えている。LSSの地域情報サイトだけでなく、通常のインターネット端末としても使用できる」（日立製作所）。

地元主導で情報がたまっていく地域情報サイト

　東急不動産は「当社では約16年前からあすみが丘で街づくりを行っているが、住民に地域コミュニティに関する調査をしてみると、どこで街の情報が入手できるのか分からないという声が多かった」と、LSS開発の経緯について語る。

LSSのトップ画面

　だがこれまでも、地域の各種情報をインターネット上で見れる地域コミュニティサイトはあった。LSSはこれらとどのように違うのだろうか。

　「これまでの地域コミュニティサイトは一方的な情報発信ばかりで、情報と生活を結びつけるものがなかった。また、従来のサイトでは、運営者がすべての情報を発信していたため取材など情報ソース作りにコストと手間がかかり、結局は情報が少なくなってサイトの価値が薄れてしまう傾向があった」（東急不動産）。

　

　LSSでは、運営者と情報発信者を分離し、街の商店や各種団体など地元の情報源から直接情報が自由に発信できる仕組みを作ることで、手間をかけずに多くの情報が集まってくるという“地元主導”のシステムを構築している。情報発信者にはデスクトップPCベースの専用端末を提供して、専用メニューに従って簡単な操作で情報を発信できるようになっている。

地元主導の情報が集まってくるコーナー「街と暮らしのお知らせ」

　情報発信の参加基準は、「街を住みやすくしていく」という理念のもとに地元NPO法人が判断。「現時点では地元自治会、スーパー、病院、自動車販売店、幼稚園などが参加を予定している」（東急不動産）。

　また、利用者が特に欲しい情報がない時でも、サイトを利用してもらえるコンテンツも用意されている。「地域のピンポイント天気情報がトップ画面下に表示される。また、家族の掲示板代わりになり、指定日には知らせてくれるカレンダー機能も備えた“私と家族の部屋”といったサービスもある」（東急不動産）。

掲示板やカレンダー機能を備えた「私と家族の部屋」

赤外線を使ったホームコントローラーも参考出展

　日立製作所は現在、“ユビキタス情報社会の実現”を掲げて「いつでも・どこでも・誰でも」使える映像系／情報系製品や各種サービスを展開している。同社インターネットプラットフォーム事業部長の篠崎雅継氏は「今回のLSSも、ユビキタス情報社会を実現に向けた事業の1つ。情報の受発信はこのようなユビキタススポットから始まる」と語る。

　発表会場ではLSS専用端末のほかに、赤外線を使って家電製品を制御するホームコントローラー（仮称）も参考出展された。

赤外線を使って家電製品を制御するホームコントローラー

　イーサネット端子を装備してサーバ機能を搭載した本体は、赤外線リモコンで操作できるTV、エアコン、ビデオデッキ、照明器具といった家電製品をインターネット経由で制御できる。このホームコントローラーもLSSと同様に、あすみが丘エリアの10−20世帯で実証実験が行われる予定。「ホームコントローラーの製品化の時期は未定。赤外線という制御方式も含めて、実証実験でデータを取り、製品に反映していきたい」（日立製作所）。

関連リンク
日立製作所
東急不動産

[西坂真人，ITmedia]

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