リビング+:ニュース 2003/02/25 21:34:00 更新


東電が贈るショートドラマ、その実力は?

東京電力と吉本興業、キャスティの3社は、“TEPCOひかり”のコンテンツサイトでブロードバンド・ショートドラマを配信すると発表した。笑いと涙が交錯する、その内容は……

 東京電力と吉本興業、キャスティの3社は、FTTHサービス“TEPCOひかり”のコンテンツサイト「casTY」上で、3月1日からブロードバンド・ショートドラマ「ミツワ」を無料配信すると発表した。31日まで。配信帯域は64Kbps、256Kbpsの2種類が用意されており、TEPCOひかり会員のみ1Mbpsでの視聴も可能。

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 舞台あいさつをする出演者(左から、樋口可南子、板尾創路、曲山えり、中村獅童)

 ドラマはオープニングムービーの後、視聴者がそこに登場する3人の個別のストーリー(各10分程度)を、好きな順に視聴。最後に3分程度の「エピローグ」を視聴するという構成となっている。エピローグでは、3本のドラマが1つに結びつくしかけも用意されている。

ブロードバンドならではの要素は?

 ブロードバンドドラマといえば、やはり“インタラクティブ性”をどう盛り込むかがポイントになる。今回の取り組みでは、3人の登場人物の過去を「好きな順に選択、視聴できる」という部分に、ネットならではの要素を見ることができる。

 また、樋口可南子さんが「監督の計算だろうか、時間が短いぶん、凝縮されて密度のこい演出だったと思う」とコメントしたが、これがまさにドラマの本質をついていたようだ。いずれの作品とも、ハイテンションを保ったままの急展開が持ち味となっており、テレビドラマとは違った作り方を試みていることがうかがえた。

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 ブリーフ一枚での怪演を見せる板尾さん。「(インタラクティブなしかけにより)ユーザーは好きな見方ができますね。たとえば、ひとつだけ見ないとか……」と、とぼける

Yahoo! に追随?

 制作を担当したモンスターフィルムスは、以前「SHORT STOP FILM」という名でYahoo! ムービー内のショートドラマ3部作を制作していたレーベル(記事参照)。最近では日産自動車の提供するショートドラマ「TRUNK」の制作も手がけており(記事参照)、ネット業界への進出に意欲的だ。

 監督は、前出のYahoo! ムービー3部作のひとつ、「男の子はみんな飛行機が好き」を撮影した吉田大八氏。プロデューサーの顔ぶれも、Yahoo! ムービーやTRUNKを手がけた面々となっており、東京電力がヤフーなどの取り組みに追随したと見ることもできるだろう。

 TEPCOひかりのコンテンツサイトを運営するキャスティは、昨年東京電力と吉本興業が設立した、コンテンツアグリゲーションを手がける企業(記事参照)。同社担当者は、ショートドラマを「FTTHサービス“TEPCOひかり”のプロモーションコンテンツ」と位置付けているという。

 「今後も、映像を有料化することは考えていない。コンテンツ配信でビジネスをしようという頭はなく、これがTEPCOひかりの会員増につながればと考えている」と、そのねらいを話してくれた。

 独断と偏見に基づく作品レビューは、以下のとおり。

オープニングムービー

 深夜の十字路で、3方向から3台の車が猛スピードで近づいてくる。ハンドルを握っているのは、ブリーフだけで半裸の正一、包丁とネギを握りしめる清子、一輪のチュ―リーップをくわえる由美。十字路にさしかかった車は、3台同時にクラッシュ! 煙が上がる車内で、3人はみな「みどり」という同じ言葉を口にして、気を失う……。はたして3人に何があったのか?


タイトルEpisode 由美
あらすじ由美(市川実日子)は、占いと花言葉が大好きな乙女座の学生。しかし「試練の日」との占いどおり、由美の1日は最悪なものになる……
総評全編を通じて軽妙な空気が流れており、主人公の独白も誌的。「花束を持った恋人を置き去りにする」といったシチュエーションも、どこか美しく、好感が持てる。本編のどこかに、ラストのオチの伏線が隠れているので、注意しよう。


タイトルEpisode 正一
あらすじ18年間勤めたお線香の会社をリストラされ、慣れない金融関係の会社で、鬱屈した毎日を送る正一(板尾創路)。家族のため耐える彼の前に現れたのは、清楚な女性と宇宙人?
総評やや、ストーリー展開が唐突な印象を受けるが、板尾創路がその不可思議な魅力をいかんなく発揮した作品。安江(曲山えり)との微妙な関係は、もう少し見守っていたかった。


タイトルEpisode 清子
あらすじ離婚後、誠実な男性と再婚して幸せに過ごす清子(樋口可南子)。しかし、浮気性の元夫からの電話に、清子の精神バランスは大きく乱される……。
総評清子とカウンセラー内藤(志賀廣太郎)との、コント風のかけあいがおかしくも印象的な一本。後半は、精神的に追い詰められた清子を、樋口可南子がさすがの演技力で見せてくれる。
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関連リンク
▼casTY

[杉浦正武,ITmedia]



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