リビング+:レビュー 2003/03/05 23:59:00 更新

レビュー:ホームサーバPCの実力[NEC編]
総評〜VALUESTAR TXの存在すべき場所

ホームサーバの定義はまだ確立されていない。だからこそ、このジャンルに対するメーカーの取り組み方もさまざまだ。では、「ホームPCサーバ」であるVALUESTAR TXには、どのような使われ方がふさわしいと考えられるのだろうか?
Pentium 4/2AGHz
SmartVision搭載
DVD-RAM/R/RWドライブ
17.5型ワイド液晶ディスプレイ
実売価格:33万円前後
Photo

 まずは補足から。前回のSmartVisionの説明で触れなかったが、VALUESTAR TXでは全モデルにDVD-RAM/R/RWドライブを採用している。記録速度はDVD-RAM書き換えおよびDVD-R書き込みが倍速、DVD-RW書き換えが等速だ。TV録画機能との連携に関しては、SmartVision上で録画した番組ファイルを選び、「エクスポート」ボタンを押せば、「DVDメニューつき書き込み」を実行してUlead DVD MovieWriter for NECを呼び出すといったことが可能。

画面

ファイルを選択して「DVDメニューつき書き込み」を行うと、Ulead DVD MovieWriter for NECが起動し、そのファイルがあらかじめ登録された状態でDVD作成を開始できる

 さて、VALUESTAR TXには、「VAIO Media」のようにホームネットワーク内のほかのマシンと各種メディアファイルを共有するといったソフトウェアは用意されていない。「インストーラ-NX」などからインストールできる、「Smart Gallery」というマルチメディアファイル管理ソフトは存在するが、これはあくまでも登録したファイルを関連付けされているアプリケーションで閲覧するためのものだ(「インストーラ-NX」は、プリインストールはされていないがハードディスク上に格納ずみの添付ソフトを追加・削除するためのツール)。

画面

TV録画番組、動画、音楽、静止画、ストリーム、ホームページといったコンテンツをブラウズ可能なSmartGallery 3.1。コンテンツをクリックすると、関連付けされたアプリケーションを起動して、そちらで表示する。OSの設定に依存せず、SmartGalleryで独自な関連付けができる

 こうしてハードウェアおよびソフトウェア構成を全体的に眺めていくと、VALUESTAR TXはホームネットワークの中心的役割を果たすというものではなく、あくまでデータを蓄積しておくための「ホームPCサーバ」だという答えが出てくる。ホームネットワーク内でファイルや情報を共有するための、統一されたシステムが用意されているわけではない。つまり、このマシンは仕事部屋や書斎など、通常PCがあるべき場所に置いて、リビングやほかの部屋から共有ファイルを参照するという使い方は主としていないと考えられる。あくまで、家庭の物理的な中心、家族の輪の中心となるべき場所に設置し、直接データを放り込んだり取り出したりという用途が想定されているようだ。そして、逆に仕事部屋などのPCからリモートでテレビ放送や録画ずみ番組を鑑賞してほしい、と。このあたり、前回取り上げたバイオHSとは少し考え方が異なる点だ。もちろん、どちらかが正しくて、どちらかが間違っているわけではない。単なるビジョンの違いである。

 この考えを裏付けるものとして、リモコンがある。VALUESTAR TXに付属するリモコンはDVDビデオ(WinDVD)やTV機能(SmartVision)、音楽再生(BeatJam)ばかりでなく、前述のSmartGalleryやWebブラウズ(IE)の操作にも利用でき、さらには、スティックでのマウスカーソル移動にも対応している。キーボードとマウスがワイヤレスなので、それだけでも十分に自由度の高い操作が可能なのだが、リビングに置くマシンなら、リモコンでほとんどの操作に対応してくれるのはありがたいし、PCに慣れていない家族が使うにも少しは違和感を取り除けるかもしれない。

 ただ、このマシンではWindows XP Home Editionではなく、XP Professionalを採用している。それゆえ、ホームネットワーク内のほかのマシンからログインして、「ホームPCサーバ」内のアプリケーションやデータをそのまま仮想デスクトップ上で利用できる。そういう使い方なら、ホームネットワークの中心となれるだろう。もちろん、リモートデスクトップ接続も万能ではなく、SmartVisionを起動してテレビを観る用途などには向かないが、その場合のみ、SmartVision/PLAYERを使えばいいわけだ。ただ、リモートデスクトップ接続の設定は特に難しくはないが、やはりある程度の知識を持ったうえで管理したほうがいい。前回紹介した「ドット・ゲートサービス」も然りだ。VALUESTAR TXの主な対象がすでに1台以上のPCを所有する中級者以上であると考えると、問題はないのかもしれないが。

 一方で、NECは国内メーカーとしていち早くMedia Center PCへの参入を表明ずみだ。この点を考慮すると、ビデオサーバとしてのSmartVisionと、インターネット経由で外部からのアクセスを行えるドット・ゲートサービスは明確に示されているものの、その隙間となる「ホームネットワーク内でのマルチメディア共有」という部分には、まだあまりスポットが当てられていないのも、なんとなくうなずける……。要は、TX→Media Center PC、ということなのだろうか?(あくまで単なる推測)。たしかに、現在提供している機能がより完全なものとなり、さらに、もし、Media Center PCが持つ機能を採用して、標準化されたホームネットワーク上でのメディア共有が利用できるようになれば、TXの存在価値はさらに高められるに違いない。

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紹介しそびれていたが、当然ながら入出力も万全。前面にはDVD-RAM/R/RWドライブのほか、パネルを開くと、PCカード、SDメモリカードスロット、光デジタルオーディオ出力(S/PDIF)、IEEE1394(4ピン)、USBコネクタが利用できる。背面にはLAN、IEEE1394(6ピン)、USBコネクタ、音声入出力、液晶ディスプレイ(専用コネクタ)、アナログRGB、PS/2キーボードなどが並ぶほか、SmartVisionカードのアンテナ入力および映像・音声入出力がある(映像はS端子だが、コンポジットビデオ端子変換コネクタも付属)。USBコネクタは本体には2基しかないが、キーボードとマウスが接続不要なので納得できる。また、ディスプレイ側にも2基ある(ただし、本体側はUSB 2.0だが、ディスプレイ側は1.1)

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▼プロダクツ:VALUESTAR TX VX970/4F (NEC)
▼プロダクツ:VALUESTAR TX VX700/4F (NEC)
▼プロダクツ:VALUESTAR TX VX500/4F (NEC)

関連リンク
▼NECパーソナル商品総合情報サイト「121ware」
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[浅井研二,ITmedia]



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