リビング＋：ニュース

2003/03/17 21:36:00 更新

CoCoonとブロードバンドAVルータが連携すると？

ソニーとSo-netは、「CoCoon」と“ブロードバンドAVルータ”「HN-RT1」を使ったIPv6接続実証実験を5月に開始する。ブロードバンドコンテンツをCoCoonのHDDに蓄積し、かつTV番組とシームレスに利用できるのが特徴だ

　ソニーとソニーコミュニケーションネットワーク（So-net）は、HDDレコーダー「CoCoon」と“ブロードバンドAVルータ”「HN-RT1」を使ったIPv6接続実証実験を5月に開始する（別記事を参照）。これは、エー・アイ・アイ（AII）などが配信する動画コンテンツをIPv6ネットワーク経由でCoCoonに蓄積し、録画したTV番組と同様に扱えるようにするというもの。実験の内容から、ソニーが目指すネット家電の姿がおぼろげながら見えてきた。

HN-RT1正式発表時の写真。CoCoonとブロードバンドAVルータの連携は既定路線だった

　CoCoonは、“ホームAVゲートウェイ”製品として昨年9月に発表されたHDDレコーダーのブランド。第1号となった「CSV-E77」（チャンネルサーバー）は、イーサネットポートを利用して、EPG（電子番組表）と連携した録画予約機能「おまかせ・まる録2」やソフトウェアアップデートを可能にしたが、インターネット上のコンテンツを視聴する機能は持っていない。

　CoCoonのおまかせ・まる録2は、ユーザーが指定したキーワードに沿って番組を自動的に録りためる機能だが、今回の実証実験でもこれを利用する。つまり、AIIやスカイパーフェクト・コミュニケーションズなどが用意したコンテンツは、ユーザーの嗜好（登録したキーワード）に沿って選択され、自動的にダウンロード。CoCoonのHDD内に蓄積される。

「おまかせ・まる録2」の画面。ここで指定したキーワードに沿ってブロードバンドコンテンツも蓄積される

　また、コンテンツリストは録画番組の一覧と同じ画面に表示される。このためユーザーは、その番組がTV放送なのか、ネット経由で降ってきたコンテンツなのか、意識する必要が全くないという。「ブロードバンドコンテンツをTV番組とシームレスに扱うことが可能になる」（同社）。

ユーザーの幅を広げる蓄積型サービス

　蓄積型コンテンツ配信のもう1つのメリットは、帯域幅への依存度が少ないことだ。たとえば、6MbpsのMPEG-2動画をストリーミングで視聴しようとすれば、最低6Mbpsの帯域幅を確保しなければならない。しかし、ダウンロードであれば、時間はかかっても回線速度以上のビットレートを持つ（高画質な）コンテンツを入手できる。実証実験のモニター応募条件に最低回線速度が含まれず、「Sonetブロードバンド会員」（8/12Mbpsコース）と比較的緩やかなのは、そうした理由による。

ADSLの部分はIPv6トネリング。ブロードバンドAVルータはQoS機能を搭載した「AVポート」が特徴になっているが、今回はとくにAVポートにCoCoonを接続する必要はない

　また、CSV-77の場合はCPUがMIPS/350MHz、イーサネットポートが10BASE-Tというハードウェア的な制限もあり、高ビットレートのストリーミング動画再生に適しているとはいえない。「おまかせ・まる録2」と連携する蓄積型コンテンツ配信は、CoCoonと相性が良いサービスといえそうだ。

　ただし、ソニーは今回の実験を「あくまでも（ハードウェアとIPv6の）技術的な検証であり、サービス化を約束するものではない」としている。CoCoonに蓄積された動画をPCに取り込むことはできない仕様にはなっているが、「配信サービスとするには、課金システムやDRM（Digital Rights Management）の仕組みを確立することが前提条件」（同社）。このため、今回のニュースリリースにも、あえて“配信”という文字を入れず、「IPv6接続実証実験」にしたという。

　IPv6対応とともに、家電、ネットワーク、コンテンツが一体となったサービスを目指すソニー。今回の実証実験では、ネット家電が実現する、将来の“ネットワークAVサービス”を垣間見ることができそうだ。

関連記事
AV機器にコンテンツを配信。「コクーン」とIPv6を用いた実験
ソニーの“繭”から出てくるもの
ソニーが「ブロードバンドAVルータ」を出す理由
家庭用ルータもQoSの時代？　So-netが「ブロードバンドAVルータ」を正式発表
ソニーのネットワークAV家電、「CoCoon」登場

関連リンク
CoCoon（製品情報）
ブロードバンドAVルータ（製品情報）

[芹澤隆徳，ITmedia]

---