リビング+:ニュース 2003/03/19 21:13:00 更新


超小型化でFTTHインフラコストを1/10に

創業サポートセンターは世界最小の超小型光通信実装部品の開発に成功したと発表した。超小型製品のためのメーカー共通のプラットフォームを決めたことがポイント

 創業サポートセンター(正式名称 職業能力開発大学校 起業・新分野展開支援センター)は3月18日 東京の建築会館で世界最小の超小型光通信実装部品の開発に成功したことを発表した。この技術を使えば、価格を従来製品の1/10に抑えることも可能だという。

共通プラットフォームの策定で開発コスト削減

 光ファイバーによる高速通信網のインフラ整備が現在、急速に進められているが、課題になっているのがコスト。特に伝送関連のハードウェアが高価で、事業者にとっての負担が大きいだけでなく、ユーザー層が広がらない一因にもなっている。

 創業サポートセンターではこの問題に対処するため、昨年「マイクロオプティックス実装コンソーシアム」(Micro Optics “JISSO”Consortium 略称MOJC)を発足。68社の参加企業がそれぞれの得意分野を生かして5つのプロジェクトに分かれ、製品開発を進めてきた。

 今回発表されたのは、その成果で、光学系を担当した「光プロジェクト」チームによるもの。

 たとえば、同センターがサンテックと共同開発した16.5×16.5×4.5ミリという世界最小の“MEMS-VOA Array”では、従来製品の47.8×38.2×8.6ミリから体積比で十数分の一の小型化を実現した。この製品では高さが4.5ミリしかなく、基板実装が可能になったことが特に大きなメリットだ。高さが8.6ミリあった従来製品では、厚さが8.5ミリの基板スペーサーに基板実装することは不可能だったからだ。


サンテックが開発したMEMS-VOA Array(左、中)、右の従来相当品の模型と比べるとかなり小型化されているのが分かる


MEMS−VOA Arrayを実現するための基幹デバイス「MEMS型VOA」モジュール。可変光減衰器のミラー部分を小型化し、さらに調芯作業が簡便化されるPassive Alignmentsを取り入れることで生産コストを削減する

 MOJCによれば、光ファイバーデータ通信では、伝送信号の特性などについては規格が決まっているものの、使用する機材については規格がなく、ベンダーがサイズなどを自由に決めていた。これがコスト高やデバイスサイズが大きくなる原因の1つになっていたという。MOJCではこの規格を定め、できるだけ小型化した「共有プラットフォーム」を提供することで、開発・製造コストを削減していく方針だ。

 また、今回のデバイス開発は提唱から半年間という短期間で行われたが、これは従来のような、特定高度研究機関によるトップダウン開発でなく、MOJCに参加した同列の民間企業による共同開発だったことが大きく寄与しているという。

 MOJCは今回提案されたこの超小型共通プラットフォームを、3月25日から米国アトランタで開催されるOFC2003(Optical Fiber Communication 2003)で発表する。


今回提示されたもう1つのモジュールがFiber Collimator。超小型レンズを実装し、接続減衰を-0.5dbと従来品よりやや緩やかに制限することで、レンズ間距離を30ミリまで広げ生産性を上げコストを削減した


Fiber Collimatorの模式図(ただし、写真はOff-axisだったが模式図はOn-axis)。従来ビームの集光径を観察して行っていた調芯を、設置位置固定で行うPassive Alignmentsを実現するために、モジュールを模式図右ある共通のV溝基板に実装する


今回の小型化実現の基本デバイスが写真右にある超小型Collimatorレンズである。左にあるのは従来型レンズ


超小型Collimatorレンズの模式図。このレンズでビーム径を250μメートルに定めたのが、MOJC光プロジェクトチームが提案する「共通プラットフォーム」の基本コンセプトである

関連リンク
▼創業サポートセンター

[長浜和也,ITmedia]



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