リビング+:レビュー 2003/04/02 23:59:00 更新

レビュー:ホームAVサーバ
パーソナルサーバー「HG-01S」のPC連携機能を検証

ソニーのGigaPocket、NECのSmartVisionなど、各社PC向けのテレビ機能では、本体ばかりではなく、ネットワーク経由でほかのマシンから放送中の番組や録画済みの番組を観られることが売りになっている。HG-01S(ガリレオ)でも、クライアントPC側にMedia Paletteというソフトウェアをインストールすることで、同様の機能を利用可能だ。ここで文字どおり「鍵」となるのがPaletteKeyによる認証で、これを外部からのアクセス時にも利用することで、接続のセキュリティを確保している。
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 HG-01Sはハードディスクビデオレコーダという家電としての顔を持ちつつ、その実はかなりPC寄りの製品である。それは単に、本体がLinuxで動作するからというだけではない。コンセプトや用途そのものに、PCとの親和性を大きく意識させるのだ。ただ、だからといって、PCがないと使い物にならないのではなく、普段は本体だけで利用し、外出先から携帯電話でこのマシンに直接httpアクセスし、予約録画、あるいはアルバムへの画像の保存・閲覧を行うというのも1つの正当な活用のかたちといえる(次回で触れる)。それでも、詳細なルータ設定などはPCとの接続によって可能になるので、たいていのユーザーは一度はPCからアクセスを行うだろう。

PCへMedia Paletteをインストールし、認証用のPalette Keyを登録

 PCからHG-01Sへアクセスする場合、Media Paletteというプログラムをインストールする必要がある。対応OSはWindows XP Home/Professional(SP1以上)、Windows 2000(SP3以上)、Windows ME/98SEで、Internet Explorer 5.5(SP2以上)または6.0(SP1以上)、およびWindows Media Player 6.4または7.1以上が必要だ。

 出荷時の設定のままであれば、HG-01SのLAN側IPアドレスは「192.168.100.1」となるので、利用したいPCからInternet Explorerでそのアドレスにアクセスする。すると、「ご利用にあたって、Media Paletteのダウンロードが必要です。Media Paletteのダウンロードはこちら」というメッセージが表示されるので、クリックしてインストーラファイルを保存すればいい。あとは、それを起動し、インストールを実行するだけだ。

 ただし、Media Paletteを起動する前に、1つだけしておくことがある。それはHG-01SへのPaletteKeyの登録だ。ネットワーク上のPCからHG-01Sへ接続する際の認証は、登録時に生成された各マシン固有のPaletteKeyによって行われる。それは自宅(LAN)内でも、外出先から(インターネット経由)のアクセスでも同様だ。PaletteKeyは登録するマシンのハードウェア構成、OSなどの情報をもとに作成されるため、ほかのPCへ流用するなどということは不可能だ。

 つまり、会社のPCから自宅のHG-01Sへアクセスしたいなら、そのPCをいったん持ち帰って登録作業を行うか、HG-01Sのほうを会社へ持っていく必要がある。少々面倒にも思えるが、パスワードや複製可能なキーファイルでの認証を利用するよりは、確実にセキュリティが確保されるので、安心感はある。また、HG-01Sは外部からアクセス可能なファイルサーバとしても利用するので、セキュリティは高いに越したことはないし、録画したテレビ番組を外出先から閲覧できるという機能を有するがゆえに、著作権保護の見地から施された措置とも思われる。

画面

Media Paletteを起動すると、Internet Explorerのブラウザ画面内に各種情報が表示される

 PaletteKeyを登録したあと、Media Paletteを起動すると、再びInternet Explorerから「192.168.100.1」が開かれ、ブラウザ画面内に各種情報およびテレビ画面が表示される。画面のレイアウトはすっきりしていてよい。初期画面の「What's New」では、メイン部分として、左は「テレビ」エリアとして現在受信中のテレビ画面、チャンネルごとの番組名一覧、中央には「ビデオ」エリアとして、「今日の番組」(その日録画した番組)、「昨日までの未視聴番組」の一覧、右には「公開アルバム」が配置されている。

 このほかの「番組表」「ビデオ」「予約」「アルバム」「クイックリンク」「設定」の各機能呼び出しは、上部のタブで切り替える。さらにその上にはステータス表示エリアが用意され、ハードディスクの残量/時間や、3時間以内に放送されるおすすめ番組、録画予約中/録画中、接続元がLAN経由なのかWAN経由なのか、といったインジケータなどが常時把握できる。

画面

「ビデオ」タブをクリックすると、録画した番組の一覧が表示される。左下には各種操作がまとめられ、ここはさすがにテレビ表示時よりも使いやすい

 Internet Explorerで表示しているということは……、そう、これらの画面はすべてHTMLベースで書かれている。すでに触れたとおり、HG-01SはLinuxマシンであり、その上でhttpdサーバが動作している。Media Paletteの画面はすべて、そのサーバ上に用意されたCGIやHTMLファイル、Javaアプレットによって提供されるわけだ。テレビ/ビデオ表示エリアに関しても、Windows Media Playerを埋め込んでいるようだ。ページソースを眺めていると、なかなか面白い。ただ、HTMLベースだからといって、使いにくいわけではない。むしろ、よくできていると思う。サクサク動くとまでは言わないが、Media Paletteでの操作に対する応答速度は不満を感じるほどではない。

 Media Palette内のテレビ画面エリアは、別ウィンドウのテレビビューアとして切り離すこともできる。この場合、220×165〜640×480までの3段階で表示サイズの変更も可能で、さらにダブルクリックで全画面表示にもできる。テレビビューアでテレビを観る場合、選局は「上」「下」および「入力」(外部入力)ボタンしかないので、やや扱いづらいが、メインウィンドウのほうの「現在の番組表」でのチャンネル切替も生きているので、そちらを使うと便利だ。また、「録画」ボタンを押せば、本体側で録画を開始してくれる。録画済みのビデオを再生する場合には、早送り/巻き戻しといったボタンはないが、「再生スケーラ」の任意の位置をクリックしてジャンプしたり(幅が狭いので大まかにしかできないが)、前後への30秒送りボタンが使える。

 また、Media Paletteでは、録画済みファイルを再生するだけでなく、MPEG2ファイルとしてPC側のハードディスクへコピー可能だ。記録型DVDへの保存などに利用できるが、「標準(VBR・4Mbps)」モードで録画したものは問題なくそのまま書き込みできたが、「高画質(VBR・8Mbps)」はDVD対応MPEG2ファイルへのコンバートが必要なようだ。

画面

番組表はテレビ表示時と同じくチャンネルごとの一覧。PCでは画面に余裕があるのだから、もう少し表示にバリエーションがほしい

無線LAN、ルータ機能などに対し、より詳細な設定が可能に

 本体の設定画面では、特にルータ周りの設定が最小限のものしかいじれなかったが、Media Palette上で設定画面を呼び出せば、豊富なオプションを利用できる(LAN接続時のみ可)。たとえば、無線LANでは本体ではオン/オフのみだったのが、

  • ESS-IDの変更
  • 通信レート(自動選択/1/2/5.5/11Mbs)
  • 無線チャンネル(1〜14)
  • 暗号化(WEP:暗号強度64/128ビット、文字コードASCII/16進、暗号化キー)
  • MACアドレスフィルタ(最大16件)
  • ESS-IDのANY拒否

と、一般的な無線LANアクセスポイントと同様の設定が行える。ルータ機能では、次回で述べるPCや携帯電話による外部からのアクセスに必要な設定も、Media Palette上でのみ可能だ。

 また、ルータ機能に関しても、

  • ローカル側IP設定(アドレス、サブネット)
  • DHCPサーバ(使用する/しない、先頭アドレスおよび最大個数)
  • DNSリレー(使用する/しない)
  • ポートフォワーディング
  • パケットフィルタ(NetBIOSパケット破棄、SMBサービスパケット破棄、IPアドレス偽装対策、ICMP破棄、ステルススキャン拒否、DoS攻撃対応のオン/オフ、およびパケットフィルタリングの項目設定)

といった項目が用意されている。

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 機能ももちろんだが、最も気になるのは、これまで使っていたルータや無線LANアクセスポイントと比べてスループットに変化があるのかどうか、だ。うちのブロードバンド接続環境はYahoo!BB 12Mサービス(コンボモデム)で、これまではルータにNetGenesis SuperOPT70を使っていた。WAN側がADSLなので、特に高いスループットでなくていいわけだが、置き換えてから有線LAN接続のデスクトップPCから下り速度測定をしたところ、やはり7〜8Mbps程度と以前と変わることはない。ノートPCでの無線LAN経由接続に関しても、3〜4Mbpsとほぼ変わらず、これまで利用していたのが小型筐体タイプのアクセスポイントだったせいか、むしろやや接続速度が向上した程度だった。

 ただ、HG-01Sでは同じマシンでHDDレコーダとルータの役割を果たす。そのため、ルータ設定の項目として「通信速度切換」もあり、WAN/LANポートの通信速度を100Mbpsと10Mbpsから選択するようになっている。それぞれ、高速通信優先、録画画質優先と併記され、さらに「100Mbpsを選択するとWAN・LANポートの高速通信を優先しますが、番組の録画などで映像によっては画質が劣化することがあります」と書かれている。初期設定値は10Mbpsだ。うちはADSLなので初期設定値のままだが、FTTHを利用しているユーザーなどは高速通信優先にしたいかもしれない。状態によって、自動で両者を切り替えるようになっていればよかったのではないだろうか。

関連リンク
▼シャープ:ガリレオ
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[浅井研二,ITmedia]



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