リビング+:レビュー 2003/04/03 23:59:00 更新

レビュー:ホームAVサーバ
HG-01SのVPN機能で録画済み番組を外出先から視聴

3回にわたってシャープの「パーソナルサーバー HG-01S」(ガリレオ)をレビューしてきたが、ビデオレコーダにネットワーク機能をつけただけの製品ではないことはもはや明らかだろう。家の内外問わずコンテンツを公開できるマルチメディアファイルサーバといえばいいだろうか。ただ、それにしては、音楽サーバ機能の類はないのだが……。ともかく、今回はこの製品の最大の売りである「外部からのアクセス」に関して見ていこう。

 前回、PaletteKey登録すれば、Media Paletteを使って外部からのアクセスも可能になると書いたが、実際には当然ながら、もう1ステップ必要だ。インターネット経由で接続するための、ドメインを取得しなければならない。ただ、これは簡単に行える。Media Paletteの設定画面の右メニュー一番下にある「ユーザー登録」をクリックし、ユーザー登録をしたうえでSST情報サービスに入会。そして、ダイナミックDNSサービスのサブドメイン名を取得すればいい。筆者の場合はザウルスを利用している関係もあり、すでにSST情報サービスの会員番号を持っていたので、「入会済ID入力」を行うだけで、ドメイン取得まで進めた。

 ここで取得したドメインは、Media Paletteを利用したPCからのアクセスでは、ユーザーが特に意識する必要はない。「サブドメイン名+dhs1.sst.ne.jp」のアドレスは、後述するとおり、携帯電話で自宅内のHG-01Sにアクセスする場合や、メディアコンテナを利用した個人Webサイト公開の際に利用する。

 自宅内でMediaPaletteを起動した場合、Internet ExplolerのURLアドレスには「http://192.168.100.1/S3/MediaPalette/xxxxxx」など、MediaPaletteのステータス表示エリアには「接続:LAN」と表示されていたが、外部からアクセスした場合には、これがそれぞれ「http://localhost/S3/MediaPalette/xxxxxx」「接続:WAN」となっているはずだ。また、外部からの利用では設定および放送中の番組視聴はできないので、「設定」タブが消え、テレビ画面部分も黒いままだろう。

画面

外部から接続した場合、インジケータがWANになっている。この画面は、外出先から録画済番組のMPEG4作成を実行したところ。「MPEG4作成中」とステータスが出ている

 この「宅内」か「宅外」なのかという切り替えは、基本的にはMedia Paletteが自動的に行ってくれる。ただ、時々おかしくなるときもあった。自宅内でしか使っていないのに「localhost」のほうを呼び出して「接続:WAN」となり設定のできないモードになっていたりという具合だ。そのときは、手入力でURLを「localhost」「192.168.100.1」を適宜変更すれば対処できたので、特に困りはしなかったが。

 前述の制限事項以外は、宅外でも宅内と変わらない操作でさまざまな機能を利用できる。かんじんの外出先からのビデオ再生は使い物になるかという問いには、ちょっと返答に困る。自宅や外部での接続環境にも左右されるが、筆者の場合にはなにしろADSLなもので上り速度がせいぜい数百Kbps程度となり、MPEG2の再生には間に合わない。もちろん、MPEG4を使えば問題なく再生できている。ただし、そのためにはあらかじめMPEG4ファイル作成を予約時にセットしておくか、ビデオ一覧の番組詳細でMPEG4作成を実行(外部接続時でも可)する必要がある。しかも、このMPEG4作成には時間がかかる(出来上がるのは、320×240ピクセル・286KbpsのASFファイル)。30分の番組であれば、最低でも90分は要する(予約時にセットした場合、この作成予測時間も予約時間として計上して表示される)。また、画質も決してよくはない。だから、実際に利用しているのは、10分程度のニュース番組を予約+MPEG4作成をセットしておき、それを会社で再生するという用途のみである。

 ここで疑問に思うのが、「なぜ、リアルタイムMPEG4エンコードが可能な仕組みを搭載しなかったのだろう?」ということだ。もし、リアルタイム変換できれば、この製品の位置づけはまったく変わっていたはずだ。SmartVision HGのように指定したビットレートで再変換しつつMPEG4配信する機能があれば、外出先からの番組再生もかなり実用的に感じるだろう。まあ、あっちはCPUの力技なわけで、HG-01Sでは専用チップなりが必要になるだろうが、もしリアルタイム変換だったら、画質が少々粗くても不満はない。もちろん、回線速度そのものが向上してMPEG2のまま再生できるようになることにも期待したいが、宅内においても活用して、PCだけでなくPDAなどへ放送中や録画済みの番組をMPEG4リアルタイム配信できれば面白かったかもしれない。

携帯電話でも直接アクセス。急な録画予約やアルバム閲覧が便利

 携帯電話でもHG-01Sのhttpdサーバに直接アクセスできる。この場合、「取得したサブドメイン名+dhs1.sst.ne.jp」をURLとして入力すればいい。きちんとドメイン登録できていて、本体側の設定も完了していれば、携帯電話の画面に「Media Palette Mini - 本体にログインします」と表示されるので、自分で設定しておいたIDとパスワードを入力すればいい。トップメニューとして、「予約確認」「番組ナビ」「番組表」「ビデオリスト」「公開アルバム」が呼び出せるはずだ。

 このうち、最も利用しがいのあるのは、「番組予約」と「公開アルバム」だろう。メールを利用したり、定期的にサイトへアクセスする仕組みの予約機能ではなく、直接本体に設定を行うので、番組開始の直前に気づいたとしても確実に予約できる。予約は時間やチャンネルといった予約情報を直接入力するか、番組表を見てクリックすればいい。携帯電話の狭い画面と遅い反応ではテレビでの表示以上につらいので、ここでは「番組ナビ」をうまく活用したい。確実とはいえないが、きちんと学習させていれば、それなりに目的に沿った選択肢を選んできてくれるだろう。

画面

あらかじめサンプルとして収録されているアルバム。これはMedia PaletteによるPC上での表示だが、テレビ画面上でもほぼ同じような体裁で閲覧できる

 アルバム機能はテレビ画面でもPC上でも利用可能だが、前回まではあまり触れなかった。アルバムへの登録はMedia Palette(宅内・宅外どちらでも可)からのほか、携帯電話から「投稿」というかたちでも行える。残念ながら、本体のPCカードスロットに挿入したメモリカードからの吸い出しはできないようだ。PCからアルバムへ画像を登録する場合、「参照」ボタンを押して、ファイルダイアログを開き、1枚ずつ呼び出すほかに、メディアコンテナにあるMyAlbum(サブディレクトリは不可)内のすべての画像をコピーという手段も用意されている。大量に入れた場合はそこそこ時間がかかるが、アップロード中もほかの作業は可能であり、仮にその状態で録画を開始しても、アップロード休止となるだけで、録画終了後に再開してくれる。

画面

スライドショウも可能だが、表示間隔などの細かな設定機能はない

 アルバムは保存に用いるだけでなく、「公開」設定しておけば、ほかのPCやiモードおよびJ-skyの携帯電話でも閲覧可能になる。アルバム一覧で「友達に紹介」をクリックするとそのアルバムにアクセスするためのURLが表示されるので、それをメールなどで伝えればいい。PCの場合はMedia Palette上と同様の表示で閲覧でき、J-Skyの場合は120×120ピクセル以下、iモードの場合は78×78、64×96、96×64ピクセル程度に変換された画像がテキストによるメニューで表示される。携帯電話からの投稿では、同様に投稿を許可したい相手にURLとID・パスワード(Media Palette Miniのものとは別)をメールで伝え、そのページに用意された「送信」リンクを押し、画像添付メールを送ってもらう形式となる。自分や周りの人たちがiモードやJ-Skyのカメラつき携帯電話を利用しているなら、存分に活用したい機能だ。

画面

メディアコンテナは、HG-01Sのハードディスク内のデータをWebフォルダとしてネットワーク上で共有できるもの。あらかじめ「MyMusic」「MyVideo」「MyBook」「MyData」なども用意されているが、いまのところ特にそれぞれ固有の意図や機能は持たないようだ。前述の「MyAlbum」および「MyHomepage」のみが特定の役割を持たされている。「MyHomepage」とは個人Webサイト作成に使うもの。つまり、ここへHTMLファイルを置けば、「http://取得したサブドメイン名+dhs1.sst.ne.jp/MyHomepage/xxx.html」などのアドレスで公開できる。

 結論としては、即座に実戦力としてハードディスクビデオレコーダの機能を主に使いたいというユーザーには向かないが、たとえばサブレコーダとして使い、同時にビデオやアルバムのネットワーク共有機能をいろいろと試してみたいという人には面白い存在となるだろう。ただ、その前提として、今後のシャープのサポートにも期待したい。本体のみで自己のソフトウェアをバージョンアップする機能を持っているので、積極的に改善・改良を行ってくれるだろう。そして、この製品を利用したユーザーからの声で、どうしてもハードウェア構成に依存する部分は、後継機(つまり、これで終わりにしてほしくない)へと反映してほしい。マニュアルにはHG-01SをPCからさまざまなかたちで活用するためのツール類も今後提供していくと書かれており、そちらのほうも楽しみにしている。

関連リンク
▼シャープ:ガリレオ
前 パーソナルサーバーHG-01S 3/3

[浅井研二,ITmedia]



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