リビング+:ニュース 2003/04/05 16:02:00 更新

ROBODEX 2003
東芝が描く“ロボット情報家電”の未来図

東芝が「ROBODEX 2003」に参考出展した「ApliAlpha」は、ホームネットワークに繋がり、人間と家電の“仲介役”を果たす家庭用ロボットだ

 東芝が“2年後”の製品化を目指す家庭用ロボットとして「ROBODEX 2003」に参考出品したのが「ApliAlpha」(アプリアルファ)だ。ApliAlphaは、「Advanced Personal Robotic Interface Type α」の略。名称が示すように、人と家電の“インタフェース”になることを目指している。

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直径35cmほどの丸い体にカメラと液晶ディスプレイを備える。下部には2輪のタイヤがあり、移動能力は毎秒0.5m。燃料電池を補助バッテリーに使うことでも注目されたロボットだ(関連記事)

  東芝研究開発センター、ヒューマンセントリックラボラトリーの小川秀樹主任研究員は、ApliAlphaの役割を「ホームネットワークに繋がり、人間と家電の仲介役として、わかりにくい家電の操作を代行すること」と説明する。

 たとえばビデオデッキ。複雑なボタン操作を覚えられず、録画予約ができないという人もいるはずだ。そんなときはApliAlphaに声をかければいい。赤外線リモコンやIEEE 802.11b、Bluetoothといった伝送手段を駆使して、家電製品を代わりに操作してくれる。ホームサーバと連携して録画予約をしたり、電子メールを読み上げることもApliAlphaの仕事だ。

 もちろん、携帯電話やPDAによる遠隔操作も可能。外出先から留守宅の様子を確認できる。東芝はネット家電「FEMINITY」シリーズを販売しているが、Bluetooth対応の冷蔵庫とApliAlphaが繋がれば、買い物の途中で冷蔵庫の中を確認することも可能になるだろう。

 ただし、ここで重要になるのは、もう一方のインタフェース。つまりロボットと人を繋ぐ手段だ。ApliAlphaは、遠くからの呼びかけに応えたり、人を追って動き回ることもできるが、「そのとき、“誰に呼ばれたか”を判断する必要がある。そこが開発のポイントだった」と小川氏は語る。

 そこで、ApliAlphaには高度な顔認識機能とHDDを使ったデータベースが搭載された。これにより、100人までの顔を記録・判別する能力を実現。さらに相手にあわせたコミュニケーションをとることができるようになったという。つまり、おじいさんやおばあさんが相手のときには、スピーカーの音量を大きくするといった細かい配慮が可能になるわけだ。

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東芝のロボット展開計画。2年後にはApliAlphaのようなロボット情報家電が登場し、家事支援ロボットへと進化する

東芝が「ORCA」を提案する理由

 一方、東芝はApliAlphaのコア部分をモジュール化して、オープンなロボットコントローラ「ORCA」(Open Robot Controller Architecture)を提供することも明らかにしている。これは、産業技術総合研究所で開発された分散オブジェクト技術「HORB」を使い、ロボットの各種インタフェースを標準化。メーカーが異なる場合でも、ロボットへの機能追加や周辺機器の接続を簡単にしようというものだ。

 「ロボットの各モジュールをHORBで結べば、OSやCPUなど固有の制約から解放できる。1社だけでなく、各社が分担して市場を盛り上げればいい」。(同氏)。

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展示会場には、東芝の「TX49」チップをベースとするORCAの試作ボードも展示されている。最大24個のモーターを制御できるほか、各種センサーの入出力、LAN、USB2.0、IEEE 1394インタフェースなどを装備。Linux OSで動作する

 たとえば、ApliAlphaには“1眼”と“2眼”のバージョンがあるが、これらは頭部にあるカメラモジュールを付け替えただけだという。単に画像を見るだけなら目は1つで十分だが、2つの目があれば「3D認識も可能になる」。また移動手段も、「2輪ではバリアフリーな住宅でしか動けないが、4輪のモジュールを付ければ敷居を乗り越えることはできる」。

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2つの目を持つApliAlpha。愛嬌のある顔をしている

 このほかにも、通信モジュールやセンサーモジュール、アクチュエーターモジュールなどが任意に追加できるという。いずれもプラグ&プレイの簡単接続。そのうえで動くソフトウェアはオブジェクト化され、再利用も容易だ。

 「ORCA仕様が広がれば、ロボット全体のコストダウンが期待できるだろう。われわれはApliAlphaを“PC+α”程度の価格で販売したいと考えている」。

 ORCAが実現するのは、現在のWindows PCと同様のフレキシブルな環境だ。ユーザーは、それぞれの利用環境や用途に合わせてロボットの機能を拡張できる。東芝ではNEDOなどの業界団体を通じて、各社にORCAを提案していくという。

 仮にORCAプラットフォームが標準的なロボットアーキテクチャになれば、コアモジュールを提供する東芝がロボット業界の“インテル”となる可能性もあるだろう。そして、マニアの間では、自作PCならぬ“自作ロボット”が流行るのかもしれない。

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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