リビング+:ニュース 2003/04/07 21:04:00 更新


So-netのブロードバンド演劇を観てきました

So-netが提供するブロードバンドシアター、「ROOFTOP」のチケットが手に入った。さっそく、現場で観てきました

 So-netが提供するブロードバンドシアター、「ROOFTOP」の公演が始まっている。これは、舞台上に360度撮影可能なカメラを設置し、5方向からの映像をインターネット配信するという、なかなか目新しいものだ(記事参照)。

 これを「インターネットで観てみました」と、報告することもできるが、今回はたまたま、生で視聴できるチケットが手に入ってしまった。そんなわけで、少し趣向を変えて、「配信現場ではどんな雰囲気だったか」をレポートしてみたい。

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 主演の3人。左から高木りなさん、山本耕史さん、壤晴彦さん

劇場は手作り感?

 公演が行われている場所は、銀座ソニービルの8階、SOMIDOホール。一度行ったことがある人なら分かると思うが、ここは劇場と呼ぶには、やや手狭な場所。実際、記者会見でも役者から「あんなに、天井の低いところでやるのは、とまどいもあった」との正直なコメントが聞かれた。

 現場で用意された座席は、全部で120席。足場を組んで段差になった部分に、ざぶとんが並べられている――といった構図で、手作り感が漂う。もちろん、これだけでは、事業がペイしないから、ネット上でプラスアルファの100席をどれだけ埋められるかが、今後のポイントとなるだろう。

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 場所が狭いだけに、役者さんとの距離も近い。講演前には山本耕史さん以下、出演者がかくし芸を披露するなど、アットホームな雰囲気

 入口でチケットを渡して、入場。ちなみにこのチケットには、「本公演は複数のカメラにより劇場内を撮影し、インターネットライブ配信を行います」とある。

 以下の文面は、「お客様が撮影される場合もありますことを予めご了承ください」。観劇中にマヌケな顔をしていては、全国に配信されるかもしれない? なるほど、これは油断がならない。

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 360度カメラ「FourthVIEW」は、柱に偽装されて設置されている(写真左)

 で、公演が始まるまでヒマなので、パンフレット(500円也)をパラパラとめくってみる。この中で面白かったのが、上演に至る経緯をドキュメントタッチでまとめたコーナー。開演にこぎつけるまでに、関係者が相当苦労したことが見てとれる。

 たとえば2002年夏には“台風1号”が襲来したとのこと。詳細は明らかにされていないが、「コンセプトの違いから、主演俳優と脚本を失う」とある。その後、8月になって現在の主演俳優が内定している。

 また、2002年12月には“台風2号”が到来し、「ソニー側と演劇制作側の間に溝が深まる」とのこと。この理由は、連絡手段としてメールを利用したことにあった。1日に何度もメールチェックするソニー側と、あまり頻繁に見ない演劇チーム側で、「連絡した」「知らない」の行き違いから、不協和音が発生したのだそうだ。

 以前インタビューした際に(記事参照)、So-netのネットワークビジネスクリエイションディビジョン、滝内泉氏は「最初はソニー側と演劇側ですれ違いもあった」と話してくれた。やはり、異業種間で協力するには、双方の歩み寄りが必要だったと推察できる。

個人的には感動

 そうこうしている間に、講演開始。ROOFTOPのストーリーは、ビルの屋上(=銀座ソニービル、という設定)から身投げしようと、悲壮な覚悟を抱いた中年男性が登場するシーンから始まる。まさにビルの下をのぞき込んだその時、中年男性の前に謎の青年が現れる。かくして、この2人の会話を中心に舞台は進んでいく。

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 劇中には、随所に幻想的なシーンや回想シーンが挿入されるが、場面場面に動きがある。たとえば青年が「下を見てごらんなさい、大騒ぎだ!」発言した瞬間、“飛び降り事件”を報道するテレビカメラ、そのリポーター、野次馬、新聞記者などが一斉に舞台に上がり、ところせましと駆けずり回る。

 このゴチャゴチャに混じって、ちゃっかり配信用のカメラも舞台に上がっていたりする。これによりPCの前で視聴するユーザーは、より多くの視点で観劇することが可能なわけだ。運営側が、いろいろと工夫していることが見てとれた。

 ストーリーだが、これは公演の期日が若干残っている(ROOFTOPのサイト参照)ので、詳細には触れないでおく。ただ、全体にコミカルな調子で、しかし随所に泣かせるセリフもあり、なかなか感情の起伏の激しい舞台だと評価しておこう。

 最後のオチは、事前の伏線からなんとなく分かるのだが、それでもやはりジーンとくる。個人的には“感動の一本”なのだが、なにぶん記者は何事にも感動するクセがあるので、皆さんが同じように泣けるかどうかは保証できない。

 “ブロードバンドを活かす”という部分でいうと、これが正解かどうかの判断はおくとして、「低予算の会場に複数台のカメラを入れて、多くの視点を提供する」――という意図は伝わってきた。So-netは第2弾として、ミュージカルの配信を予定しているようだが、今後も新しい試みを続けてほしいところだ。

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関連リンク
▼「ROOFTOP」サイト

[杉浦正武,ITmedia]



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