リビング+:ニュース 2003/04/15 19:52:00 更新


“IP電話で110番”実現には何が足りないか?

IP電話の課題といえば、110番などの緊急通報を行えない点が挙げられる。では具体的に、どのような機能が足りないのか? 総務省がまとめた資料から、その答えを探った

 IP電話の課題といえば、110番などの緊急通報が行えない点が挙げられる。もちろん、現在は加入者電話と同様の緊急通報を実現できるよう、技術開発が進んでいる段階だ。それでは、具体的にどのような機能が足りず、またどのような点を検討する必要があるのか?

 総務省はこのほど、「電気通信事業における重要通信の在り方に関する研究会」でまとめた報告書(案)を公開し(総務省のページ参照)、意見募集を開始した。報告書には、IP電話での緊急通報のあり方にも触れられている。

既存固定網に備わっている機能

 IP電話の緊急通報を考える前に、まずは従来の加入者電話網で、どのような緊急通報が実現しているのか確認しよう。

 まず、既存の固定電話からの緊急通報は、たとえ通信規制時でも優先的に取り扱われている。この通報は、発信した場所に応じて、市内交換機から所轄の“指令台”(=警察、消防などの通信設備)に接続される。

 この際、通話を切っても指令台で回線を保持する「回線保留機能」、一度回線を切断したユーザーを再び呼び出せる「再呼び出し機能」、さらに「発信者番号取得」の機能を利用して、通報者の位置を特定する機能が用意されている。

 携帯電話からの緊急通報の場合は、基地局のセル単位の行政区域に応じて、交換機から所轄の指令台に接続する。この場合は、発信者番号の取得は行われないが、「回線保留」と「再呼び出し」が可能だ。

 今後、接続回線のISDN化を進めることで、携帯電話の発信者番号取得も可能になる見込み。警察で2003年から、消防では2004年から、それぞれ対応を予定しているという。

IP電話の場合

 それでは、IP電話の場合はどうか。IP電話は、基本的にロケーションフリーで、地理的に固定されないサービス。そのため、発信場所に対応する指令台に、どう接続させるかが1つの課題となる。

 また、現状では各事業者が、さまざまなネットワーク構成、方式でIP電話サービスを提供している。このため、緊急通報時に各社のネットワークをどう接続するのか、調整も行う必要がある。

 再呼び出し機能などを、IPネットワーク内でどう実現させるかも、今後の課題。電話線のように1対1の線がひいてあるわけではないため、通報者の“なりすまし”にも注意が必要だ。さらにいうと、これらの問題を解決する技術は、ITU、IETFといった国際的な標準化団体とも協調していく必要があるという。

解決策は?

 報告書によれば、これらの問題を解決するには、いくつか不可欠なことがある。

 まずは、通信事業者と関係機関が、円滑に連携すること。事業者がどのような事項を遵守すべきか、国がルールを定める必要性にも言及している。

 また、各通信事業者間で調整を図るべく、安全・信頼性協議会などを活用することが適当だという。国と事業者、あるいは事業者相互をつなぐような情報伝達ネットワークを構築し、各種シミュレーション、訓練を行う必要もあるとしている。

 技術面では、現在、通信総合研究所などで研究開発が進んでいる状況。同研究所では既に、Web上で個人の安否情報を登録、検索できるIAA(I Am Alive)システムの実験運用を進めており、安否確認の通信手段としてIPネットワークを通じた緊急通報にも取り組んでいる。報告書では、同研究所に「一層の取り組みを期待する」としている。

関連記事
▼IP電話向けの電話番号を設定へ〜総務省
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▼IP電話の発展を妨げるのは何?

関連リンク
▼報告書(案)公開ページ

[杉浦正武,ITmedia]



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