リビング+:特集 2003/04/30 20:37:00 更新

特集:ブロードバンドで5.1chサラウンド(番外編)
ヘッドフォンでWindows Media 9のマルチチャンネルは楽しめるか?

Windows Media 9に対応したマルチチャンネルオーディオ機器は増えつつあるが、家屋や時間帯の問題でヘッドフォンを使いたいという方も多いことだろう。今のところ対応する製品は存在しないが、同様の効果を得ることはできる

 先週、4回にわたって紹介してきたように、Windows Media 9に対応したマルチチャンネルオーディオ機器は増えつつある。しかし、家屋や時間帯の問題もあり、これらを利用していつでも5.1chサウンドを満喫できるという人は少ないのではないか。そう、ヘッドフォンを使ってWindows Media 9のマルチチャンネルオーディオは楽しめないのだろうか?

 ドルビーデジタルでは、既に「ドルビーヘッドフォン」と呼ばれる技術を採用し、6chの音声信号を2chにミックスダウンすることで、普通の(左右の耳用に1つずつユニットを持つ)ヘッドフォンを使い、仮想的なマルチチャンネルオーディオ再生を実現している。ドルビーヘッドフォンは、既にメジャーなソフトウェアDVDプレーヤーが採用しており、ノートPCユーザーを中心に利用している人も多いのではないだろうか。

 Windows Media 9はどうだろう。ドルビーヘッドフォンのようにPC上で適切なミックスダウンを行うソフトウェアがあれば、特別なハードウェアを必要とせずにヘッドフォンだけで仮想的なマルチチャンネルオーディオ再生が可能だ。しかし現状では、このような製品は存在しない。

 では、ソフトウェアDVDプレイヤーでWindows Mediaのファイルを再生することでドルビーヘッドフォン機能を流用することはできないのだろうか。残念ながら、これは無理だ。ドルビーヘッドフォンはドルビーデジタルで記録されているマルチチャンネルオーディオ、もしくは2chオーディオにのみ有効だからだ。実際、ドルビーヘッドフォン機能を持った「WinDVD Platinum」で再生を試みたところ、サラウンド効果は得られるものの、本来のマルチチャンネル再生からは外れていた。

 もちろんWindows Media 9のマルチチャンネルオーディオをヘッドフォンで楽しむ方法がないわけではない。今回の特集で取り上げたヤマハの「CTS-20USB」は「サイレントシアター」と呼ぶ機能を持ち、ヘッドフォンでの仮想的なマルチチャンネルオーディオ再生を可能にしている。この機能はWindows Media 9のマルチチャンネルオーディオでも有効なのだ。

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ヘッドフォンを接続すると「Speaker」設定画面が「サイレントシアター」設定画面に切り替わる。ここで仮想マルチチャンネルの距離感なども設定可能だ

 その有効性を確認するためにマイクロソフトが公開しているテスト用の音楽ファイルを再生してみた。これはフロント左右、センター、リア左右、サブウーファーの音声チャンネルが順に再生される音楽ファイル。これを再生すると、どのチャンネルの音がどのように再生されるか非常に判り易い。ヘッドフォンには、パイオニアの「SE-DIR1000C」を使用した。

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パイオニアの「SE-DIR1000C」。2chヘッドホンでありながら、響きや部屋の反射音の成分を左右のヘッドホンへ合成出力することで他チャンネルのサラウンドと同様の効果を得る。トランスミッター部に光入力があり、ドルビーデジタルをはじめ、DTS、ドルビーサラウンドに対応。6.1chフォーマットのドルビーサラウンドEXやDTS-ESも再生可能だ。価格はオープン

 実際に再生してみると、フロントの音は前面から、リアの音は後ろからちゃんと聞こえてくる。もちろん6ch分のスピーカーを利用した場合に比べれば前後の距離感は小さいのだが、単に2chのソースを再生した場合と比較すれば、あきらかに立体的だ。

 実際の音楽ではどうだろう。さすがに6chのスピーカーを利用した場合と比べれば音の立体感は失われるが、音の前後感はしっかり確保されている。左後ろから右前、といった音源の動きもしっかり感じることができた。2chで収録されたMP3ファイルと聞き比べると、その差は明白だ。

 結論は、現時点でWindows Media 9のマルチチャンネルオーディオをヘッドフォンで楽しむには、USB、もしくはアナログでマルチチャンネル音声を入力し、これを元にヘッドフォンでのマルチチャンネル再生が可能な機材が必要ということだ。そして、該当する製品はまだ多くない。

 Windows Media 9マルチチャンネルオーディオのヘッドフォン再生に対応する製品としては、ここで取り上げたヤマハ「CTS-20USB」のほか、同社の製品である「RP-U200」「RP-U70」「DP-U50」などが挙げられる。また今回はチェックできなかったが、変り種の製品としてアナログ4ch入力を持ち、左右に2つずつのスピーカーを搭載したヘッドフォン「MM Gear」なども利用できるはずだ。

 Windows Media 9マルチチャンネルオーディオの普及はまだまだこれから。だが、ブロードバンドでの映像、音楽配信では、今後広く採用されていく可能性が高い。これからPCでマルチチャンネルオーディオ対応環境を整えるという人は、Windows Media 9マルチチャンネルオーディオも念頭において、製品を選択すると良いかもしれない。

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関連リンク
▼SE-DIR1000C
▼CTS-20USB
▼RP-U200
▼DP-U50
▼MM Gear

[坪山博貴,ITmedia]



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