リビング＋：ニフティ、ブロードバンド会員60万人も「やや不満」？

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2003/05/08 21:59:00 更新

　ニフティは5月8日、2002年度の決算を発表するとともに、今年度の事業方針を説明した。会場では、現在同社のブロードバンド会員数が60万であることや、セキュリティ関連の新サービスを提供することなどが明かされた。

　ニフティの古河建純社長

　ニフティの2002年度の業績は、売上高が677億円で、営業利益ベースで34億円の黒字。ブロードバンド会員数は、1年間で28万人から60万人まで増えた。しかし古河社長は、この数字に満足していないようだ。

　「目標にしていた、売上高700億円、ブロードバンド会員75万人に、いずれも届かなかった」。業績が思うとおりにならなかった理由として、昨年1年間で飛躍的に会員数を増やした、Yahoo! BBの存在を挙げた。

　2003年度は会員増のペースを上げ、ブロードバンド会員数を106万人にまで増やしたい考え。うち、15万人はFTTH会員を見込むなど、光サービスにも注力するという。

　同社の主な収益源は、いまのところ接続サービス料金。2002年度で見ると、売上高677億円のうち、573億円を占めている。

　今後は、ADSLサービスのラインアップを再編成する予定。具体的には、「廉価な1Mbpsコース」「標準的な12Mbpsコース」「20Mbps超の高速ADSLコース」の3本柱にして、ユーザーに分かりやすくするという。

　「これまで、1.5Mbps、8Mbps、12Mbpsと技術が進歩する中で、サービスメニューが複雑化してしまった。ユーザーの問い合わせも多く、反省している」（同）。

　また、接続サービス以外の有料コンテンツ、eコマース、広告などによる売上も増加傾向にある。

　今後のサービス強化策として紹介されたのは、IPテレビ電話サービス「Eyeballパティオ」に、ブロードキャスト機能を追加すること。これにより、多人数が同時にビデオチャットに参加できるようになる。「アイドルと会話できるコンテンツや、英会話コンテンツなどに活用したい」（同）。

　新サービスとしては、「@niftyBBセキュリティ」が紹介された。センター側でユーザーのセキュリティを一括管理し、Webウイルス、メールウイルス、不正侵入などを排除するというもので、ユーザーはセキュリティソフトのアップデートなどを意識する必要がない。

　なお、3月から開始されているIP電話サービス「@niftyフォン」は、現在14,000人が契約している。もっともこの人数は、当初期待していたほどではないようす。

　「伸び方は順調だが……こんなものかな？という印象」（同）。キラーアプリとして、爆発的人気を集めるという結果には至らなかったようだ。

　ISP業界は現在、顧客獲得競争が加熱し、無料キャンペーンが常態化しつつある。先頭に立ってこの状況を作りだしているのが、マーケティング活動に巨費を投じているといわれる、Yahoo! BBだろう。

　こうした競争を、“過当”との認識を持ちつつ、ある程度の獲得費用もやむなしとする、So-netのようなISPもある（記事参照）。しかしニフティは、競争から“降りる”姿勢を明らかにする。

　「（モデムを配布するようなマーケティング活動は）コストが非常にかかる上に、効率が悪い。それよりも、“顧客中心モデル”でやっていきたい」（同）。

　顧客中心モデルとは、良いものをじっくり選ぼうとするマジョリティ層に対し、ニーズに合ったサービスを親切に提供する――というスタンスのこと。サービスの質を高め、ネット業界の“コンシェルジュ”を目指すという。

　先に述べたように、ADSLラインアップを分かりやすく再編成するのも、顧客中心モデルの一環といえる。古河社長は、「強引に会員を獲得するのではなく、ユーザーのライフタイムバリューを高める」と説明した。

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[杉浦正武，ITmedia]

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