リビング+:特集 2003/05/09 23:59:00 更新

特集:いま、固定→携帯通信が変わる
どうなる、IP電話→携帯の料金設定

固定電話発信、携帯電話着信の通信の未来を探る特集、最終回は“IP電話”の料金設定についてとりあげる。世間の注目度も高いこの問題が、どう結論づけられたのか?

 固定電話発信、携帯電話着信(固定→携帯)の通信の未来を探る特集、最終回は“IP電話”についてとりあげる。

 もともと、「料金設定の在り方に関する研究会」がまとめた報告書案では、一般の加入者電話から発信する場合での議論が重ねられていた。しかし、最終章では視点を変えて、最近になって普及が進むIP電話に着目。いずれの事業者に料金設定権が帰属するのが適当か、検討されている。世間の注目度も高いこの問題が、どう結論づけられたのか見てみよう。

いまだ協定を経て実現しない「IP電話→携帯」

 IP電話→携帯の通話で、IP電話事業者と携帯事業者が接続協定を締結して実現しているものは、実はまだない。もちろん、原因は両事業者間で“料金設定権”の綱引きが起こっているためだ(記事参照)。

 IP電話事業者が料金設定すべきとする根拠は、「ネットワーク構成上、NTT東西の交換機を経由しておらず、裁定がなされた接続形態(事業者設備直収初――携帯着のケース:記事参照)と同様である」というもの。一方携帯事業者も、固定→携帯の場合で主張したように、「ネットワークコストや主要な機能の大半は、携帯側にある。よって料金設定権も携帯側にあるべき」と譲らないでいる。

 研究会は、この問題を「競争促進」「利用者利益」「電気通信の健全な発達」の3つの側面から検討する。

 まず、いずれの場合が競争が促進されるかだが、、IP電話事業者側が料金設定を行った方が、顧客獲得、維持のための努力に報いることができ、「事業活動の意欲を促進することができる」(報告書案)。明快に、IP電話事業者支持の姿勢が示されている。

 利用者利益を考えた場合はどうか。IP電話事業者は、利用者料金を負担する発信利用者の利用形態、要望などを把握しやすい。さらに、これに応えることが利用者獲得、サービスの継続的な利用の確保に、直接つながることになる。「このため、IP電話事業者が利用者料金を設定する方が、料金の低廉化、多様化が促進される」(報告書案)。

 さらに、IP電話はこれから普及が見込まれるサービスのため、固定→携帯通信の場合と違って料金設定権を発側に認めても、携帯事業者に多大な負担を強いることがない(得をするのはどの事業者か?参照)。つまり、電気通信の健全な発達を阻害することはない、という。

「IP電話事業者に料金設定権」

 以上の理由から、報告書案でははっきりと「IP電話事業者が料金設定を行うことが適当」としている。固定→携帯の場合に引き続き、これまで携帯事業者が押さえていた料金設定権が、次々とほかの事業者に明け渡されていることが分かる。

 研究会は今後、事業者が総務省に裁定を申請した場合は、上述の結論に従って裁定を行うべきとコメント。関係事業者には必要な協議、システム改修などを行い、早期に接続を実現させることを望むとして、報告書案を締めくくっている。

 昨年来から、多くの事業者を巻き込んで議論が続いてきた、固定→携帯問題。今回の内容が発表された後、NTTドコモが固定→携帯の料金値下げを発表したように、事業者の動きも活発化しているようだ(記事参照)。一通信ユーザーとしても、早期に、ユーザーに利便性の高いサービスが登場することを望みたい。(特集終)

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関連リンク
▼料金設定の在り方に関する研究会報告書(案)
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5/8掲載分
特集:いま、固定→携帯通信が変わる 4/4

[杉浦正武,ITmedia]



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