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2003/06/12 23:59:00 更新 |
VoIPとメールを統合すると……こうなる?
家庭での普及が進むIP電話だが、これをメールやIPテレビ電話と統合するとどうなるか? 一部オフィスで実現されつつある、ユニファイド・メッセージング環境を体験してみた
ブロードバンド化の流れの中で、IP電話はいまや家庭に自然に溶け込んでしまった。IPテレビ電話にしても、徐々にではあるがユーザーに親しみやすいものになっている。これらのアプリケーションを、テキストメールと統合すると、さらに先進的な“未来型”コミュニケーションインタフェースとなるだろう。
この種のユーザー環境――いわゆる、ユニファイド・メッセージング・サービスは、企業向けでは既に提供されつつある。たとえば、企業の基幹系アプリケーションのSI、およびネットワークコンサルティングなどを手がけるソフトバンク・テクノロジーは、上述の統合オフィス環境を「BB-Office」として、クライアントに提案している。このBB-Officeを、ショウルームを兼ねた同社オフィスで見学した。
ソフトバンク・テクノロジーの飯田橋オフィス。LANケーブルに直接接続するタイプのIP電話端末が設置されている
同社では、Cisco IP Phoneを導入して、職場のIP電話化を実現している。各ユーザーの机にある端末のアドレスはサーバ側で管理されており、固有の“内線番号”をふられている。ロケーションフリーな仕組みであるため、仮に端末を会議室に持っていっても、自分の内線番号で電話を受けられる。
別途、ユーザーIDとパスワードが発行されているため、ほかのユーザーの利用する端末に、自分のIDでログインすることもできる。たとえば、支社にある端末を借用してログインし、自分の端末にかかってきた、録音メッセージなどを参照することも可能だ。
このIP電話が、各ユーザーのメールクライアントとシームレスに統合されている。メーラーの住所録から特定のユーザーデータを呼び出し、そのままPC上で、相手に電話を発信できる。また、IP電話に吹き込まれた録音メッセージを、メールクライアントで聴くことも可能。この場合、音声データはメールに添付された.wavファイルとして参照できる。
メーラーから、IP電話の発信を行える
IP電話の録音メッセージを、PCで再生できる
逆にIP電話端末から、PCで受信したメールを確認することもできる。IP電話から所定の操作を行うと、未読メールの本文を音声変換して、読み上げてくれる。記者も実際に試してみたが、普通のテキストメールなら十分、聞き取ることが可能。もっとも、英語と日本語が混在するメールなどは、音声変換が難しいようだった。
このほか、FAXをメールから閲覧することもできる。その場合、FAXデータはTIFF形式の添付ファイルとして、メールで受信する。逆にメールからFAX発信する場合は、Wordファイルなどを作成した上で、PC上から送信する。
IPテレビ会議も統合
BB-Officeではさらに、Exchangeなどのグループウェアと、IPテレビ電話の統合も実現している。
NotesやExchangeといった汎用グループウェアと、米Ciscoや米Polycomといった企業の提供するIPテレビ会議用のMCU(多地点制御装置)を仲立ちするミドルウェアとして、ソフトバンク・テクノロジーが独自開発した「Viredia」を利用。これにより、WebやExchangeから多地点接続のテレビ会議予約を行える。
このシステムでは、センターサーバに時間帯予約を行えば、自動で各拠点のIPテレビ電話端末が起動し、映像を映し出す。相互に端末を起動し、セッションを張る、といったわずらわしさから解放されるという。会議終了が迫ると、画面上に「あと10分」といった表示が現れ、時刻終了とともに自動でセッションが切れる。
デモでは、IPテレビカメラ端末としてPolycom製「ViewStation」を利用した。東京――大阪間を、専用線を利用して512Kbpsで接続している
こうした統合コミュニケーション環境は、現状ではコストや管理の難しさといった問題から、企業ユースに留まっている。しかし将来的には、ブロードバンドのさらなる普及、技術の進歩に伴う導入コストの低減とともに、コンシューマレベルでも利用できる日がくるだろう。
関連リンク
ソフトバンク・テクノロジー
[杉浦正武,ITmedia]