リビング+:ニュース 2003/06/13 16:47:00 更新


標準化でますます羽ばたく802.11g

802.11gが標準として承認された。同技術は一部では既に採用されているが、互換性問題から慎重姿勢を取ってきた企業も採用に乗り出すだろう。新仕様802.11nに関する作業も始まっている。

 無線LAN業界のスループット拡大は続いている。標準化団体が6月12日、新しい仕様を承認し、さらに高速なデータ転送を約束する別の仕様に取り組み始めた。

 予想通り、米電気電子技術者協会(IEEE)のStandards Board Review Committeeは、802.11g仕様を標準として承認した。業界関係者は、これを形式的な承認と見なしている。承認前の802.11g仕様をベースにした部品を使った製品が既に市場に出回っており、またこの仕様は安定していると考えられていたからだ。

 802.11gは今後、Wi-Fi Allianceの相互運用性テストに通れば、すべての半導体メーカーと製品メーカーの製品において互換性が保証されることになる。これらのテストは先般から実施されており(2月27日の記事参照)、Wi-Fi Allianceは向こう数カ月以内に802.11gの認定を発表する見込みだ。

 互換性の認定と標準としての承認は、無線LAN業界にとって重要だ。業界は、コンシューマーは承認を受けた無線LAN製品を使えば、いつでも同じような体験を得られると保証しているからだ。一部の人々は、標準化と互換性テストを、無線LAN市場で成功するための重要な要因としている。

 調査会社In-Stat/MDRのアナリスト、アレン・ノジー氏は「標準化はデバイスやチップの量産を促進する。そして量産により製品の価格は下がる。プロプライエタリな技術の場合、たいていそうはならない」と語る。

 Apple Computerのソフトウェア担当副社長、マイク・ベル氏もこれと同意見で、802.11gの標準化は、同技術を取り巻く市場の不安を和らげる役に立つはずだと付け加えた。Appleは、802.11bと802.11gをいち早くサポートした企業の1つ。

 「(標準があれば)誰も取り残されることはない。これは誰にとってもいいことだ」とベル氏。

 802.11gベースの無線LANでは、2.4GHzの周波数帯を使って54Mbpsの速度でデータを転送できる。またこの標準は、旧版の802.11b標準を採用した無線LAN機器と互換性を持つ。こうした無線LAN標準(Wi-Fiと呼ばれる)は、ケーブルを使わずにネットワーク上のリソースにアクセスし、これを共有することを可能にする。

 Dell'Oro Groupの調査によると、802.11gは標準として承認される前から、成長する世界の無線LAN機器市場を支えていたという。同社の調査では、802.11g製品は1〜3月期、売上高の16%、出荷台数の17%を占めていた(5月15日の記事参照)。

 全体では、1〜3月期の世界の無線LAN機器の売上高は4億1100万ドルと、前四半期から1%拡大した。出荷台数は6%拡大して480万台に達したとDell'Oro Groupは報告している。

 802.11gの標準化を受けて、法人市場をターゲットにした製品が増加するだろう。Hewlett-Packcard(HP)やMicrosoftなど比較的慎重な企業は、802.11gベース製品のリリースに消極的だった。標準化前の802.11g仕様を使った製品でメーカー間の互換性問題が取りざたされていたからだ(2月3日の記事参照)。

 「802.11gに移行しない理由は1つだけで、もろもろの議論はおおむね煙幕だった。今やその煙幕も消えた」とAppleのハードウェアプロダクトマーケティング担当副社長、グレッグ・ジョズィアック氏。

 Appleやその他802.11g製品メーカーは、802.11g標準に準拠するため、今月中に製品のアップデートをリリースする見込みだ。

 802.11bは、無線LANを構築する共通の基盤を提供することで、業界をまとめ上げる助けになり、そして802.11aと802.11gはより高速なスループットへの要望に応えているとIn-Stat/MDRのノジー氏は語る。しかし、新たな仕様はもっと小さな市場に対応し、「さらなる喜び」をもたらしそうだ。

 IEEEは非公式に、次の規格「802.11n」の需要や市場を探るグループを任命したと、同団体の802.11広報担当ブライアン・マシューズ氏は話している。802.11nのスループットは決まっていないが、100Mbps以上になるもようだ。

 「今の技術は市場の90%のニーズを満たしている。標準が増えれば、市場は複雑になっていくだろう。人々がほとんどのアプリケーションで、54Mbpsから100Mbpsへの変化に気付くかどうか、議論の余地のあるところだ」(ノジー氏)

原文へのリンク

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[ITmedia]



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