リビング+:ニュース 2003/06/16 17:41:00 更新


東芝がRD-Styleにマルチドライブを搭載した理由――開発者インタビュー (3/3)


 「すべてのOSやすべてのWebブラウザに正式対応したというわけではありませんが、スクロールができるようになったので、PDAなどでもネットdeナビを使える確率は上がると思います」(片岡氏)

 また、東芝のデジタルハイビジョンTV「D-4000」シリーズを、RD-XS31側から制御する機能が追加されたという。D-4000にはLAN端子が搭載されており、RD-XS31のLAN端子と接続することで、BSデジタル放送のiEPG予約が可能になる。

 「要はテレビ側のチューナーを遠隔制御する機能です。BSデジタル放送をネットdeナビでiEPG予約をした場合に限られるんですが、時間がくるとまずRDが起きて、テレビ側に『○チャンネルにしろ』と命令を出して録画ロック状態にします。そして録画が終わるとテレビ側の録画ロックを解除するという仕組みです」(片岡氏)

 その他、ネットdeナビの細かい部分が改良されているという。例えば、ネットdeナビを使えば、現行機種でも携帯メールなどを使って外部から録画予約をすることが可能だが、RD-XS31では複数台のRD-Styleを使い分けられるようになったという。

 「RDを2台持っておられる方が、メールを使って『この番組はこっちのデッキで録画』と指定できるようになりました。今までは片方のデッキが録画予約のメールを見つけると、もう片方のデッキ用のメールも全部持って行ってしまったんですが、自分宛のパスワードが記されたメールしか受け取らなくなりました」(片岡氏)

 その他にもいくつかネットdeナビの変更点はあるが、いずれもRD-Styleを使いこなしているユーザーならば「確かに便利」と思える機能ばかり。改良点は小粒でも、ネットdeナビの完成度は確実に増していると言えるだろう。

秋にはマルチドライブ搭載の単体DVDレコーダーが登場

 RD-Styleシリーズは、その優れた設計思想と斬新な機能とが相まって、これまで民生用DVDレコーダーの市場を引っ張ってきた。RDユーザーならずとも、今後の展開は大いに気になるところだ。一つ確実に分かっているのは、9月に欧米でマルチドライブを搭載したDVD単体レコーダー「DR-1」が発売されるということだ。

 東芝の米国法人である東芝アメリカコンシューマープロダクツ社の製品で、東芝としては、初のDVD単体レコーダーとなる。価格は599米ドル程度の予定。ただし、「国内でDVD単体レコーダーが発売されるかどうかは検討中」(片岡氏)だという。

 一方、「本家」であるHDD搭載型DVDレコーダーについては、今後マルチドライブとネットdeナビが全機種に搭載されることが正式にアナウンスされている。「それ以外の今後」について片岡氏はこのように語る。

 「うちの製品は『現実解』という言葉が合うんです。夢は持っているんだけど、一足飛びに夢を語ったりはしないんです。夢を語って期待をあおっても、その期待に応えられないとかえって不満が出ますので。だからRD-Styleの場合も、『ホームサーバ』などと呼ばずに、まずレコーダーとして必要なものは何かを考えてきました。今後もどんな『現実解』が求められているのかを考えながら、新機能などを取り込んでいきます」(片岡氏)。

 その「現実解」について、片岡氏はこう話す。「あくまでもライブラリ作りとタイムシフトという二大需要に応える製品を作っていきます。デジカメ画像の取り込みやDV端子などを望む声があるのは知っていますが、そういう『付加機能』に注力して録画ユーザーが必要とする『本質的な機能』がおろそかになったら、それは『現実解』としては正しいものではないと考えています」(片岡氏)

 また、松下やパイオニア、ソニーなど、東芝以外のメーカーがDVDレコーダーにマルチドライブを搭載する可能性は極めて薄い。となると、今後ともRD-Styleシリーズはマルチドライブを搭載していることが大きな特長になる。マルチドライブ搭載のメリットを、より強く打ち出すという「現実解」も考えられる。

 その際には、DVD-Video作成機能や編集機能が重要になってくる。もともとRD-Styleの編集機能は、現行機種でも「かゆいところに手が届く」だけのものが備わっている。今後さらに編集機能が充実して、より凝ったDVD-Videoが作れるようになると、必然的にDVD-Rを焼く前にDVD-RWを使って試し書きをしたくなる。編集機能やオーサリング機能の充実によって、マルチドライブ搭載のメリットがより生きてくるわけだ。

 その編集機能について片岡氏はこのようにコメントしている。「私自身、もともとがオーサリング屋だったので、DVD-Videoが大好きなんですね(笑)。またDVD-Videoにこだわるのは(二大需要である)ライブラリ作りの一環でもあるからなんです。DVD-Videoの作成機能や編集機能は、将来にわたって力を入れていきたい分野だと考えています」(片岡氏)

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[浜野高正,ITmedia]



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