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2003/06/18 21:49:00 更新 |
京都から世界へ 〜公衆無線LAN“みあこネット2”の展望
京都発の公衆無線LANサービス、「みあこネット」が事業内容を拡充している。6月18日には、新たにサービスをVPN対応とすることや、インテルとの提携などが発表された。
京都発の公衆無線LANサービス、「みあこネット」が事業内容を拡充している。6月18日、みあこネット事業統括責任者の高木治夫氏は都内で記者会見を行い、新たにサービスをVPN対応とすることや、インテルとの提携などを発表した。
みあこネット事業統括責任者の高木氏
みあこネットは、情報化による地域活性化を目指すNPO法人、日本サスティナブル・コミュニティ・センターが企画・運営する、無料の公衆無線LANサービス。京都大学や、京都高度技術研究所などが技術支援を行っており、2002年の実験開始以来、現在4600人のアカウント登録を集めている。対応するアクセスポイント数は、5月末時点で230局を数える。
現在はサービスを休止したMISから、“地域パートナー”として技術提供を受けており(記事参照)、これをベースに、Mobile IP対応などを実現している。また、全基地局をIPv6対応としているほか、基地局に応じたローカル情報提供なども行っている。
今回、新たにVPN対応も実現することで、外出先からみあこネットを利用して、職場のサーバなどにアクセス可能になった。「みあこネットのセキュリティレベルは、世界一高い。セキュリティがない公衆無線LAN環境は、作る気がない」(高木氏)。
また、インテルと提携関係を結ぶことも併せても発表された。Centrino技術を活用したモバイル・インターネットの普及をねらう同社と協力することで、公衆無線LANサービスの環境整備、認知度向上を目指す。また、Centrino搭載PCと無線アクセスポイントの接続性を検証するほか、無線LANが利用できる場所に、目印となるロゴを貼るという(関連記事参照)。
会場で配られたシール。無線LANが利用できる“目印”として利用したいという
みあこネットはほかにも、日本通信の「bモバイル・サービス」とローミングを行ってユーザーの利便性を高めている(記事参照)。企業との協力関係を、積極的に結ぶ方針のようだ。
ビジネスモデルは模索中
新たな事業展開をアピールするみあこネットだが、そのビジネスモデルは、いまだ「模索を続けている」(高木氏)段階だという。同サービスでは、アクセスポイントを無償公開してくれる「基地局オーナー」を募り、サービスエリアの拡大を図っている。
具体的には、ADSLなどのブロードバンド環境を持つユーザーを対象に、専用端末を無償貸与し、みあこネットに接続させて、一般ユーザーの無線アクセスポイントを基地局化している。しかし、基地局オーナーは月額4700円の費用を自己負担する必要がある割には、何の見返りも期待できない。このため、なかなか急速にオーナー数を増やせないでいる。
「オーナーには、何のリターンもないことを説明している。来客の備えとして、客間、生け花、お茶があるように、高いセキュリティを持った公衆無線インターネットの入り口も、今後はオフィス、家庭の必需品。そういう主旨に賛同してもらったユーザーに、参加してもらっている」(同)。
とはいえ、同サービスは着々と基地局数を増やしている。そのエリアは京都のみにとどまらず、地域振興をはかる各団体と協力して、全国に展開しつつある。
たとえば松山大学、愛媛大学と連携して道後温泉駅前を“みあこネットエリア”に変えたほか、インターネット倉敷の協力を得て、倉敷市観光案内所の倉敷館内にも基地局を設置。ほかにも富山の “名水の里”として知られる黒部や、沖縄など、各地で無線スポット設置の動きはある。年内には、基地局数を350にまで増やせる見込みだという。
同サービスは、もともと2003年12月末までの、期間限定の実験という位置付けだった。しかし今回、1年延長して2004年12月末までは、サービスを続けることが決定した。高木氏は、現在は“みあこネット2”の段階にあると位置付ける。
「1年間やってきて、ここまできた。“みあこネット2”からさらに接続性などを向上させて、世界に発信できるスケーラビリティを持つ“みあこネット3”にしたい」。その先には、何かが見えてくるのではないかと、高木氏は話した。
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みあこネット
[杉浦正武,ITmedia]