リビング+:ニュース 2003/07/03 23:59:00 更新


動き出す24Mbps ADSL 〜来週にも諸手続き開始

7月3日、TTCで第1回「スペクトル管理 SWG会合」が開かれた。事業者間の協議では、早速24MbpsのADSLサービス提供に向けて、来週にも諸手続きを開始することが確認された

 社団法人の情報通信技術委員会(TTC)は7月3日、第1回「スペクトル管理 SWG」(サブワーキンググループ)の会合を開いた。会場ではADSL事業者やチップベンダー、機器メーカーなどが集まり、来週にも24Mbpsサービスの提供に向けた、諸手続きを開始することを確認し合った。

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会場にはADSL関連事業者が集結。NTT東日本、イー・アクセス、アッカ・ネットワークス、ソフトバンクBBなどがそれぞれの代表者を参加させた

 TTCでは以前から、国内の事業者間でスペクトル管理(記事参照)を適切に行うべく、第4部門委員会第6専門委員会SWG5(4-6-5委員会)で話し合いの場を持っていた。しかし、昨年のソフトバンクBBの動議提出などもあり(記事参照)、会合が紛糾。一時休会して、DSL作業班に議論の場を移していた。

 このDSL作業班が、今年4月に報告書をまとめたことから(記事参照)、DSL専門委員会の下部組織で検討が再開されることになった。再開にあたっては、“4-6-5委員会”を上述の“スペクトル管理 SWG”と改称。合議体制も一新し、リーダーには元アッカ・ネットワークス副社長、現東京工業大学教授の池田佳和氏を迎えた。3名からなるサブリーダーには、住友電気工業、ソフトバンクBB、NTT東日本の人間をあてたほか、3日の会合ではオブザーバーとして総務省の人間が同席した。

24Mbps ADSLのスペクトル適合性が計算可能に

 会合ではまず、DSL作業班で既に話し合われた事項を、確認するかたちで進められた。具体的には、たとえばスペクトル適合性を確認するための計算では、ケーブルは「0.4ミリ径ポリエチレン絶縁ケーブル」を想定すること、などが確認された。

 こうした基本案件で合意形成を重ねた上で、注目が集まる20Mbps超ADSLサービスも、スペクトル適合性が協議された。今回、アッカ・ネットワークスやソフトバンクBB、NTT東日本といった事業者は、それぞれが提供を予定する20Mbps超サービスの、スペクトル適合性を示す計算結果を提出。これにより、NTT東西地域会社のインフラに、自社回線を接続することの正当性を主張した。

 特にソフトバンクBBは、20Mbps超サービスを早急に提供したい考えのようだ。同社の孫正義社長は、「今日は、いろいろなことを決めてしまおうと考えてきた。(提出した)計算結果を、来週月曜朝10時までに確認してもらい、同日午後1時には(NTTの接続約款変更を)総務省に申請してもらいた」とコメント。あまりの気の早いスケジュールに、会場全体がとまどう一幕もあった。

来週から諸手続きが動き出す

 ソフトバンクBBが示した、スペクトル適合性の計算結果を検証するには、同社以外の複数企業が個別に計算を行い、同様の結果が出ることを確認する必要がある。国内でこうした計算を行える企業は、住友電気工業、NEC、NTT東日本など数社に限られる。

 孫社長は、「われわれが計算を行うのに要した期間は、2日。ほかの企業も同じ期間で計算できるはずだ」として、これら企業に土日を費やし、確認のための計算を済ませることを要請。事業者からの反発もあったが、結局来週8日の火曜夜10時までには、各社が計算を完了して相互確認することが合意された。翌日の水曜には、この結果がTTCのサイトに掲載されるという。

 この議論の中で、NTT東日本も自らが提出した計算結果を、ほかの企業に確認してもらうことを希望した。また、イー・アクセスは協議の対象となっている20Mbps超の“ダブルスペクトラムADSL”に加え、最大50Mbpsともいわれる“クアッドスペクトラムADSL”についても同社の提出資料を確認してほしいと要求。同社は「ダブルスペクトラムとクアッドスペクトラムを、同時に開発している」と明かした上で、両者を一度に認めてほしい考えを示した。

 イー・アクセスの訴えは、「クアッドスペクトラムADSLのスペクトル適合性で、十分な議論が尽くされていない」として退けられたが、少なくともダブルスペクトラムADSLに関しては、来週にも事業者間の諸手続きが動き出す見込み。孫社長は同席した総務省の人間にも「NTTから新たな接続約款が申請されたら、できるだけ早く認可してほしい」と、注文をつけていた。

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関連リンク
▼情報通信技術委員会(TTC)

[杉浦正武,ITmedia]



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