リビング+:ニュース 2003/09/01 21:48:00 更新

ISAGA2003レポート
ビジネスとして見たオンラインゲーム

8月29日まで開催された国際シミュレーション&ゲーミング学会で、オンラインゲームの事業者や研究者を招いたセッションが設けられ、オンラインゲーム事業者各社からオンラインゲームの収益モデルの特徴が紹介された。

 8月29日まで開催された国際シミュレーション&ゲーミング学会で、オンラインゲームの事業者や研究者を招いたセッションが設けられ、オンラインゲーム事業者各社からオンラインゲームの収益モデルの特徴が紹介された。

 コーエーで「信長の野望 Online」を手がける松原健二氏は、MMORPGについて、パッケージゲームよりも投資効率が悪いと指摘、開発や運営のコストをいかに下げるかがポイントだと述べた。

 開発コストの低減方法として、フィールドなどの3Dグラフィックスへの既存CGの流用が効果的だという。MMOはスタンドアロンゲームよりフィールドが広く、3Dグラフィックスのコストが非常に大きくなる(1フィールドあたり、真・三國無双で約1平方km、信長の野望Onlineで約2.5平方km)。

 また、運営コストは、最大のコストはGMなど人件費だということだが、ここは削れないため、それ以外のところをどれだけ減らせるかに注力している。そのうちの一つがバリューチェーンの水平統合。コーエーがゲームを開発し、コーエー子会社のGAMECITYがサーバホスティングや顧客管理などをとりまとめる。ホスティングについては、信長の野望Onlineの場合、ハードウェアのみで月額30万円程度の償却になるということで、メンテナンスの人件費を含めてもアウトソースするよりも低いコストでの運営ができているという。

 さらに、顧客管理ではクレジットカードなど課金決済システムをGAMECITYが自前で持つことにより、課金手数料の節約を実現する。1ヶ月の決済額合計が5000万円になれば、2%を節約できれば100万円に達するということで、決して小さくない額となる。ただし、自前ホスティングも自前決済システムも初期投資はかかるため、体力のない企業では難しいところだ。

 ちなみに、MMOがパッケージより「投資効率が悪い」というのは、20万本クラスのPS2用パッケージと比べてのもの。松原氏の示した試算では、パッケージの場合に2年のスパンで開発費4億円、利益3億円(利益率60%)のところ、MMOでは3.5年のスパンで開発・運営費15億円、利益6.6億円(利益率44%)になるという。利益としてはMMOが大きいが、利益率の面でビジネス的にはパッケージソフト販売の方がうまみがあるとのことだ。20万本クラスの販売数というのは、PS2ではそこそこのヒット(昨年の500タイトルの内65本が達成)ということで、ミリオンセラー「真・三國無双」シリーズなど大ヒットタイトルを複数持つコーエーにしてみれば、たしかにMMOの数字は魅力的でないのかもしれない。

 また、ビー・ビー・サーブの孫泰蔵氏は、MMORPGを海外から導入する場合のコスト構造について解説した。

 初期投資としてプロモーションコスト、人件費、設備費用(オフィス、サーバ、ネットワーク、ホスティング等)、イニシャルライセンスフィーがかかる。ランニングコストでは、マーケティング費用、販売手数料(決済マージンやネットカフェなどへのセールスインセンティブ)、人件費、設備費用(オフィス、サーバ、ネットワーク、ホスティング等)、ロイヤリティ支払いがある。したがって、売上高からこれらランニングコストを引いた残りが営業利益となる。ちなみに孫氏の手がけたラグナロクオンラインは月次で黒字になっているという。

 コストについて時間軸で見ると、オープンβ時期のユーザー増加に合わせてサーバの増強などを実施すると、いざ有料化すると利用者が減少し、過剰設備(コスト過大)になってしまう点を指摘。ビー・ビー・サーブによるBB Gamesのインキュベーション事業は、ベータ期間中に設備やサポート人員の増減があっても料金を請求しないことで、初期段階でのゲーム開発会社の負担を軽減するという。

 オンラインゲームは、ビジネスとしてはサービス業(長く利用してもらって利益を得る)に近く、パッケージゲームの映画的収益構造(制作物をどんと売り出して短期間で回収)とはまったく異なる事業となっている。将来的には、多くのゲーム会社が「パッケージ」と「オンライン」という二つの柱を持つようになると思われる。

関連リンク
▼IGDA東京
▼ISAGA2003 公式サイト

[記事提供:RBBTODAY]



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