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2003/09/08 14:45:00 更新 |
CEDEC2003レポート
今後のオンラインゲームではゲームマスターのキャリアパス整備が課題
CESA主催のゲーム開発者カンファレンス「CEDEC2003」で、ガンホー・オンライン・エンターテイメントの堀氏のセッション「オンラインゲーム運営の現実」が設けられた。セッションではMMORPGの開発からリリース、アップデートにかけて発生する問題のほか、ゲームマスターの役割の変化やキャリアパスについても語られた。
CESA主催のゲーム開発者カンファレンス「CEDEC2003」で、ガンホー・オンライン・エンターテイメントのテクニカルサービス部ゼネラルマネージャー堀誠一氏のセッション「オンラインゲーム運営の現実」が設けられた。セッションではMMORPGの開発からリリース、アップデートにかけて発生する問題のほか、ゲームマスターの役割の変化やキャリアパスについても語られた。
ガンホー・オンライン・エンターテイメント 堀誠一氏
MMORPGでは、アップデート(マップ拡張や新機能実装、バグフィックスなど)が必須となっているため、ファーストリリースが完了しても開発スタッフをすぐには移動できない。このため、注意をしないと開発スタッフへのさまざまな悪影響が出るという。新プロジェクトを始めたいという開発スタッフを引き留め続けることによるモチベーション低下や、逆に長期間手がけることによるタイトルへの過剰な愛着、そして開発者としての新規スキル習得の阻害など。また、開発スタッフが運営スタッフ化することでもモチベーションは低下する。こうした問題への対策として、堀氏はバグフィックスやアップデートをおこなうセカンド開発チームを準備してそこへの引き継ぎをおこなわせることや、開発チームと運営チームのバグ情報などを含めた情報共有を実現すべきだと語る。
また、運営段階においてユーザと直接対応するゲームマスターについても、その教育・育成が重要なだけでなく、安心してGMという職業を選べるよう、そのキャリアパスを整備することが重要だと述べた。
さらに、今はひとくくりでGMと呼ばれている職業についても、今後「キャスト」と「ガーディアン」の2種類の役割で分化が進むだろうと指摘した。キャストというのは、東京ディズニーランドのミッキーマウスの中の人やアリエルの人のように、その世界でお客を楽しませる役目のこと。一方、ガーディアンはシステムを守護する役割で、不正行為の取り締まりなどをおこなう役割。こちらは、いわば警察官である。ガーディアンGMは安定的な職業に、キャストGMは人気商売的な色合いが濃く、生存競争の厳しい職業になるだろうと述べた。
このほか、大人数の集まるMMORPGではネットワークも問題となりやすく、パッチの配布もままならなくなる(ナローバンドユーザの長時間ダウンロードが配布サーバのポートをふさいでしまう、データセンタのトラフィックコストが運営コストに影響する、など)、ファイアウォールなしでゲームサーバを設置する必要がある(ゲームプレイに影響を与えずにトラフィックを処理できるファイアウォールが存在しないのがその理由。個人情報データなどクリティカルなデータをゲームサーバが必要としない仕組みにして最悪の事態を回避することになる)、実はデータセンタ内のサーバ間トラフィックが問題になりがち、などさまざまな点を考慮しなければならないという。
ガンホー・オンライン・エンターテイメントは、韓国Gravity社の開発したMMORPG「ラグナロクオンライン」を日本国内で運営しているパブリッシャー企業。
関連リンク
コンピュータエンターテインメント協会(CESA)
ガンホー・オンライン・エンターテインメント
[記事提供:RBBTODAY]