リビング+:特集 2003/09/15 15:13:00 更新

特集:何が違う? 1クラス上のブロードバンドルータ
各モデルの実効スループット&VPN接続速度を比較

今回取り上げた「BLV-04D」「RT57i」「Web Caster 7000」の3台は、いずれも店頭で3万円前後の値札をつける高機能機だ。各モデルの個別レビューに続き、最後はルーティング速度、VPN接続時の速度を3台まとめて比較・評価してみよう。

 さて、最後に取り上げた3機種のスループット計測結果を紹介する。各モデルを比較しながら、試用してのコメントを記しておくことにしたい。

 スループットの計測は、Pentium 4/3.06GHz、1GバイトメモリのPCにWindows Server 2003をインストールし、Windows Server 2003に標準装備されているFTPサーバを起動。各ルータのWAN側ポートにサーバを接続し、LAN側ポートにはWindows XP ProfessionalをインストールしたPentium M/1.6GHz、1GバイトメモリのノートPCをつないだ。クライアント側のソフトウェアは、Windows XPのコマンドプロンプトから呼び出すftp.exeを用いている。なお、全ルータともステートフルパケットインスペクションを有効にしてある。

 計測に試用したファイルは100Mバイト超のサイズ(114697852バイト)で、これをFTPでダウンロードした時の時間を計測し、それを元にスループットを割り出している。サーバ側のパフォーマンスが最大になるように、各計測の1回目は記録せず(メモリ内へのキャッシュを行わせるため)、2〜5回目の平均値を利用した。

 VPNを利用せずにアクセスした場合、ルータをVPNサーバとしWAN側からVPNクライアントで接続した場合について計測。VPN接続時のキービット数が指定できる場合は128ビットと40ビットの両方、また暗号化を行わずに接続した場合の速度も掲載した。なお、BLV-04DはVPNゲートウェイの機能しか持たず、同一条件での計測が行えないためテストの対象外としている。

速度面でダントツのWebCaster 7000、総合力のRT57i

 まずステートフルパケットインスペクションとIPマスカレードをオンにした状態でのスループット。低価格機では若干の速度低下が認められる設定である。

photo

“ストレート”はステートフルパケットインスペクションとIPマスカレードをオンにした状態

-ストレートPPTP IPSEC128bitPPTP IPSEC40PPTP 暗号なし
WebCaster 700064.68.68.513.3
NetVolante RT57i66.52.7-4.3
BroadRunner BLV-04D30.6---

 ステートフルパケットインスペクションが有効な状態でも、WebCaster 7000およびRT57iは60Mbpsを超える実効速度を叩き出している。BLV-04Dは実効スループットで30.6Mbps。ステートフルパケットインスペクションをオフにすることで速度は大きく回復するが、それならば、より低価格な機種でもかまわないという話になる。

 また、ファームウェアの完成度面では不安な面を見せたWebCaster 7000だが、強力なプロセッサパワーを利して、VPNサーバとして動作させた際の速度ではRT57iを圧倒している。WebCaster 7000は暗号化処理を行った場合の速度の落ち込みが少なく、暗号化を行った場合でも8.6Mbpsのスループットが得られた。暗号化を行わない場合の速度は13.3Mbpsで、RT57iのそれぞれ2.7Mbps、4.3Mbpsと比較すると目立って速い。インターネットから自宅に高速回線で接続し、大きなデータのやり取りもストレスなくこなしたいなら、WebCaster 7000の速度は魅力だ。

 もっとも、RT57iの上り回線3Mbps以上のというのも、決して悪い数字ではない。ホットスポット用に使われている回線の多くは数Mbpsの速度であり、10Mbps以上の高速VPN接続が行えたとしても、メリットを享受できるケースは少ないだろう。また、上り実効速度が10Mbps近い回線を持っているユーザーも割合的には少ないと考えられる。

 ファームウェアの完成度や(手順は少々面倒ながら)設定の柔軟性から、総合力ではRT57iの方が勝る。ヤマハのサポート実績、VoIPの標準サポート、ISDN TAの統合などを考慮すれば、VPN接続時の速度面での不利を考慮しても魅力的な製品である。個人的に1台を選ぶならば、RT57iを真っ先に選択するだろう。

 それでも速度を優先したいというならば、WebCaster 7000のファームウェアが熟成するのを待ってからの方が良いだろう。同じプラネックス開発のルータ「BA5000Pro」は、初期ファームウェアの完成度で不評を買ったが、その後のバージョンアップで安定性や機能が大きく改善された経緯がある。

 今後、このクラスの製品はより低価格な製品にも実装されていくだろう。かつて、ステートフルパケットインスペクションのサポートが進んだ際、ベンダーごとに機能の品質や安定性に大きな差が表れ、その後、ファームウェアのアップデートと共に、問題は収斂していった。VPNサーバをはじめとする、新しい機能にも同じことがいえる。“ルータの善し悪しはソフトウェアとしての品質次第”という原則を忘れてはならない。

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▼VPN機能とは

関連リンク
▼ヤマハ
▼RT57i製品情報(ヤマハ)
▼プラネックスコミュニケーションズ
▼BLV-04D製品情報(プラネックス)
▼NTT東日本
▼NTT西日本
▼Web Caster 7000製品情報(NTT東日本)

[本田雅一,ITmedia]



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