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2003/09/17 23:58:00 更新 |
WPC EXPO 2003レポート
サイバー&ポップなテレビ、「モバイル放送」に登場
2004年のサービス開始を目指す移動体向け衛星デジタル放送「モバイル放送」の受信端末が「WPC EXPO 2003」で初めてお披露目された。懐かしいブラウン管テレビを思わせる端末や、ウエアラブルなヘッドマウント型ディスプレイが目を引く
2004年のサービス開始を目指す移動体向け衛星デジタル放送「モバイル放送」の受信端末が「WPC EXPO 2003」会場で初めて一般公開された。端末メーカーとして参画しているのは、タカラ、ミノルタ、東芝など。懐かしいブラウン管テレビを思わせる端末や、ウエアラブルなメガネ型ディスプレイが並んでいる。
モバイル放送ブランドで発売される東芝製の端末。3.5型液晶ディスプレイを搭載し、サイズは75(縦)×112(横)×22(高さ)ミリ、重さ約200グラム(バッテリー、アンテナ含む)。バッテリーで2時間程度の駆動が可能。メモリを内蔵し、データ放送を蓄積しておくこともできる
モバイル放送は、静止衛星(MBSAT)を使った有料のマルチメディア衛星放送だ。QVGAのMPEG-4動画による多チャンネル放送(11局)にくわえ、MPEG-2 AACの音楽専用チャンネル(55局)、データ放送チャンネル(2局)が用意される(9月17日現在の予定)。衛星の打ち上げは2003年秋の予定で、各種実験を経て来年夏のサービス開始を目指す。
MBSATは、1215ワットという大出力で放送波を送出するため、地上では小型のアンテナだけで放送を受信できるのが特徴だ。そのメリットを活かし、端末もPDA型、車載型などさまざまなスタイルのものが計画されている。
とくにミノルタが参考出品した「ホログラフィックシースルーブラウザ」はユニークだ。
ヘッドマウントディスプレイ型のサイバーな奴。TV画面の向こう側が透けて見えるが、画面に気をとられるといけないので、歩行中などは使用しないほうがいいかも
形は、ウエアラブルPCなどに使われるヘッドマウントディスプレイそのまま。眼鏡の右目部分にホログラムレンズが組み込まれ、上部の液晶が表示した映像を眼前に映し出す仕組みだ。「ちょうど一眼レフカメラのプリズムのように光を屈曲させ、ホログラム素子に映像を映す。ホログラム素子は85%以上の外界光透過率があるため、視界を遮ることもない」(同社)。
解像度はモバイル放送に合わせたQVGA(320×240ピクセル)、フルカラー表示が可能で、輝度も200カンデラと十分なレベルを確保している。実際にデモンストレーション用のディスプレイを覗いてみたところ、目の前にTV画面が浮いているような印象だった。これなら、電車の中でも“さりげなく”、また仕事中でも上司にばれずにテレビを楽しめるだろう。
ミニチュアテレビ?
手前が液晶テレビ本体。後ろはクレードルだ。クレードルは前部が開く仕組みで、その中に本体をセットする
タカラが出品したのは、懐かしいブラウン管小型テレビを思わせる3.5インチ液晶テレビだ。外出時はバッテリー駆動のモバイルTVとして使い、帰宅したら専用クレードルに合体。クレードルには充電器とスピーカーが組み込まれており、普通の小型テレビとして視聴できる。
さらに、同社は魅惑的なアクセサリー群も取りそろえた。まずは液晶テレビ本体をつつむカラフルなガワ。その日の服装に合わせてコーディネートできるだろう。また、ツインヘッドフォンを使えば、1台のテレビを2人で楽しめる。寄り添って画面を覗き込めば、2人の仲も急接近だ(書いててちょっと恥ずかしい)。
ガワ
ツインヘッドフォンのコードは巻き取り可能のため、邪魔にならない
最後はプロジェクターユニット。液晶テレビの上部に装着すると、前方に「A4サイズ程度」の映像を投射できるフロントプロジェクターになるという。大勢でテレビを見たいときには便利だ。ただし、こちらは「非常にコンセプチュアルな出展」のため、すぐに商品化というわけにはいかない模様。
プロジェクターユニットは完全なモックアップだった
タカラの“テレビっぽいテレビ”は、モバイル放送のサービス開始と同時に発売される予定だ。価格は未定だが、同社では「5万円を切るレベルを想定している」という。
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ニュースリリース
[芹澤隆徳,ITmedia]