リビング+:ニュース 2003/09/17 23:52:00 更新


“本気”の姿勢でホームネットワーク分野開拓に乗り出したIntel

Intelは開発者向け会議「IDF Fall 2003」において、ホームネットワーク市場の立ち上げに向けて“本気”の姿勢を打ち出していくことを明らかにした。

 Intelは、PC開発者が集まる「Intel Developer Forum Fall 2003」で、ホームネットワーク環境整備に向けた“本気”の姿勢を見せつけた。

 同社はこれまでも、PCとデジタル家電を結ぶネットワークについて提案を行ってきたが、コンセプトや個別の技術要素については明示するものの、あらゆる製品がPCとつながる世界を完全には描ききれずにいた。しかし、いくつかの要素がそろってきたことで、Intelはいよいよ本気でホームネットワーク市場の立ち上げに向けて加速していく。

家庭環境の再構築にこそビジネスチャンス

 デスクトッププラットフォームグループジェネラルマネージャ兼副社長のルイス・バーンズ氏は、まずホームネットワークでデジタルデバイスが接続された家庭環境「デジタルホーム」の可能性について、次のように述べた。

 「年間2140億ドルもの金額が、自宅の改装・改築に使われている。この市場は非常に大きい。彼らはより過ごしやすい家庭環境を実現するために、非常に多くの金額を支払ってくれる。それとともに、家電市場はデジタル化の波が押し寄せており、米国だけで2002年の940億ドルから2003年には1200億ドルにまで市場が拡大すると予想されている」

 「さらにコンテンツ、デバイスが次々にデジタル化され、さらにはワイヤレス技術の進歩などもあってホームネットワーク市場が立ち上がりつつある」と、ホーム市場に大きな可能性があることを開発者に対してアピール。

 デジタルデバイスの相互接続やそこから生まれる新しい使い方、あるいはホームネットワークへの関心の高まりなどを加速し、デジタルホームを実現するための鍵を三つ挙げた。一つはより簡単な方法でデジタルコンテンツを扱えるようにすること。もう一つは誰もがシームレスにデバイス同士を接続できるよう接続性を高めること。そして、ホームネットワークやデジタルデバイスを使う上でユーザーがより良い“体験”を得ること。これらを業界全体が揃えていくように努力する必要性を訴えた。

 Intelはすでにその三つの鍵を手に入れるための動きとして、家電ベンダー、携帯電話ベンダー、そしてPCベンダーなど17社で結成したDigital Home Working Group(DHWG)に参加している。DHWGの詳細については過去記事を参照していただきたいが、Intelはソニーとともに、DHWG結成の実現に大きな役割を果たしたと言われている。

 DHWGでは現在、デザインガイドラインを策定中で、来年の前半にはガイドラインの正式版を発行する予定。これによりコンテンツサーバ、コンテンツ編集、コンテンツディレクトリ、コンテンツの取り込みなど、さまざまな形でホームネットワークを利用したコンテンツの相互運用が可能な製品群が投入可能なインフラを整える。

 そして来年の後半には、そうしたガイドラインに沿った製品がそろうとの見込み、そして業界全体が一つの目標に向かっていることをバーンズ氏は示し「今からでも遅くはない。我々のグループに参加してほしい」と呼びかけた。


DHWGについて紹介するルイス・バーンズ副社長

デジタルホームのためにIntelができること

 次にバーンズ氏は、Intelが取り組んでいるテーマのうち、デジタルホームに関連する技術をいくつか紹介した。そのうちの一つは、家庭向けPCのパワーをさらにアップさせるPentium 4 with Hyper-Threading Technology Extreme Editionで、もう一つはバックアップ電源を搭載することで、停電や不意のトラブルにも対処できる自動サスペンドとでも表現できる新コンセプトだ。

 またVanderpool Technologyも、デスクトップPC側のOS実行ステータスにかかわらずネットワーク向けのサービスを維持できるという点で、デジタルホームの中心に座るPCには不可欠の存在と言えるかもしれない。

 このほか、PCそのもののパフォーマンスを高める要素として、DDR2メモリ、PCI Expressなど新技術の積極的な導入計画、BigWaterの名で知られたコンセプトデザインを実現するためのBTXマザーボード規格、静かで小型のPCを設計するデザインノウハウなどを紹介した。

 ネットラジオや音楽、音楽ビデオのネットワーク販売事業が立ち上がりつつあることを例に挙げ、より高い付加価値のコンテンツをネットワーク上で有益なものにする計画についても言及した。

 日立製作所、東芝、ソニー、松下電器産業など大手家電ベンダーが交渉役となって、コンテンツベンダーとの間で合意しているコンテンツ配信のためのセキュリティプロトコルDTCPを、IPネットワーク上で実現するDTCP over IPが、PCのコンテンツプレーヤーとしての可能性を高めるいう。

 DTCPではコンテンツの暗号化、および復号を行うために公開鍵を必要とするが、公開鍵の取得は独立組織による承認が必要になる。DTCPのコンセプト、すなわちコンテンツベンダーの権利を守るという趣旨に反する仕様を持つ機器には、公開鍵が発行されない。

 バーンズ氏はPCプラットフォームがDTCP over IPをサポートすることで、例えば映画館で上映するのと同じタイミングで、インターネットからのストリーム配信による視聴が可能にするというコンセプトを紹介した。

 ネットワークの映像コンテンツが、より広い層に対してアピールするには、より品質の高いコンテンツを流通させる必要がある。そのためにコンテンツプロバイダ自身が認めているDTCP over IPへ対応する。


インテルがリファレンスデザインを提供するWyse社製のデジタルセットトップボックス。i815チップセット、低電圧もしくは超低電圧Celeronプロセッサ(Tualatinベース)を採用し、Linux、Windows CE、組み込み用Windows XPをOSとしてサポートしている。進化版のi835(i830Mのマイナーチェンジと考えられる)チップセット版リファレンスデザインも開発中だ

 「コンテンツベンダーは、彼らの権利をきちんと守れる仕組みを提供すれば、PCに対するネットワーク配信も検討するだろう。もちろん、そのためには我々もコンテンツが守れるプラットフォームであることを証明しなければならない。しかし映画業界をはじめとして、コンテンツベンダーにとっても新しいビジネスチャンスだ」と、バーンズ氏は勝算アリとの論旨を展開させた。実際、Warner BrothersがDTCP over IPへのIntelのコミットに対して、エンドースのコメントを出していた。

 もっとも、家電業界が、どこまでPCに対して協力的でいてくれるかについては疑問も残る。さまざまなデバイスが相互接続するための標準を作ることで合意しているとはいえ、どこまでPCに対して好意的かはベンダーそれぞれ、異なる考えを持っているはずだ。

 これに対してバーンズ氏は「最終的にはコンテンツがすべてを決める。コンテンツベンダーが、我々PC業界の取り組みを認め、コンテンツ流通が開始すれば、家電業界の我々に対する見方も変わってくるだろう」と、家電業界との密な関係構築に自信を見せた。

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[本田雅一,ITmedia]



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