リビング+:ニュース 2003/09/19 23:51:00 更新


FTTH放送に走るKDDI 〜「1xEV-DO」で新局面?

「WPC EXPO 2003」3日目、KDDIの小野寺正社長は特別講演に登場し、同社の戦略を語った。ブロードバンド関連では、FTTHに注力することを改めて表明した。

 「WPC EXPO 2003」3日目となる9月19日、KDDIの小野寺正社長は特別講演に登場し、同社の戦略を語った。ブロードバンド関連では、FTTHに注力することを改めて表明。同時に、携帯電話によるデータ通信にも注目していると話した。

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KDDIの小野寺社長

 日本のブロードバンドインフラの普及は、現状ではADSLが牽引しているといえる(記事参照)。だが、小野寺氏は今後を中長期的に見据えるなら、やはりFTTHに注力すべきとの立場を崩そうとしない。

 同氏は、ブロードバンドの主体は“TV”になる、とも断言する。「TVは、各家庭で間違いなく一番使われている端末」(同)。FTTH回線にSTBをつなぎ、TVでコンテンツを視聴する……というのが、同社の描く近未来のブロードバンドライフだ。実際、今秋からこうしたサービスを提供する(記事参照)。

 こう考える背景には、「本格的なブロードバンド社会は、まだ来ていない」という分析があるようだ。小野寺氏の説明を、順を追って聞いてみよう。

 同氏はそもそも、なぜ米国ではADSLやFTTHが普及しなかったのかを考える必要がある、と指摘する。

 「これは、日米の電話の仕組みの差が大きかった。米国では、同一市内の通話料は定額制。つまり、アナログでつなぎっぱなしでも、電話料金は変わらない」。

 一方、日本では市内通話であろうと、電話料金は従量制。このため、インターネットをある程度利用するユーザーなら、ADSLに新規加入した方が安く上がる。

 つまり、日本のインターネットは“安く上がるから”という理由だけでADSLを選択している、というわけだ。逆にいうとユーザーは、“本当の意味でのブロードバンドサービス”(同氏)、すなわちリッチコンテンツを視聴したくて、ADSLに加入したわけではない。

 しかし、「今後これだけで普及していくわけがない」(同)。より広帯域を利用したアプリケーションの人気が高まった時こそ、高速で安定した通信を実現する、FTTHが必ず求められる、とした。

「なぜ、auを別会社にしないか」

 次に小野寺氏は、海外を訪れた際に、アナリストから「なぜauを別会社にしないのか」と聞かれたことを話す。

 国内の大手キャリアを見ると、NTTグループにしても日本テレコムホールディングスにしても、固定網と携帯キャリアは別会社に分かれている。アナリストたちは、auを別会社にすれば、そちらの企業価値が高まるのではないか、と考えているようだという。

 しかし、小野寺氏にはこうした考えはない。理由は、「ユーザーは固定&携帯のシームレスな通信を要求してくる」からだ。

 同社はこれまでも3G携帯電話により、リッチコンテンツの提供を試みてきた。そして、「ムービーメール」や「着うた」といった新サービス投入後は、パケット料による収益も増えている(下図参照)。

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 こうした延長線上には、携帯電話による高速通信、ブロードバンドサービスがある。今秋にはCDMA 2000 1xEV-DO(用語参照)による、2.4Mbps通信を開始する予定。これにより、FTTHと携帯電話はますます連動してくるようだ。

 小野寺氏は「たとえばの話」と断りながら、携帯電話を監視カメラ代わりに使い、映像配信するサービスなどを例に挙げる。「こうしたサービスは、提供しようと思っている」。

 また、「個人認証を一番しやすいのは携帯だ」とも。自宅のSTBと携帯電話を連動させ、TV画面でショッピングを楽しみつつ、認証、課金は携帯電話で行うといったサービスにも言及した。

 このほか、GPSによる位置情報を活用したカーナビゲーションサービスにも、注力したい考え。携帯電話をパーソナルゲートウェイとした、新しいネットワーク社会に向け布石を打っていると話した。

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[杉浦正武,ITmedia]



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