リビング+:レビュー 2003/09/24 21:00:00 更新

レビュー
“ビデオカメラの香り”がする、SDマルチカメラ「D-snap SV-AV100」 (1/2)

PanasonicがSDメモリカードの活用例の1つとして提案してきたムービーカメラ製品「D-snap」シリーズに、先ごろ新たな4機種が投入された。今回取り上げる「SV-AV100」は唯一、MPEG4動画だけでなくMPEG2動画撮影/再生にも対応した最上位モデルだ。
撮像素子:1/6型CCD(68万画素、動画記録時有効34万画素)
記録方式:MPEG2/MPEG4動画(SD-Video規格準拠)、JPEG静止画
価格:オープンプライス(実売10万円弱)
512MバイトSDメモリカード付属
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「D-snap」シリーズは、PanasonicがSDメモリカードの活用例の1つとして提案してきたムービーカメラ製品。先ごろ、この「D-snap」へ新たに4機種が投入され、「マルチカメラ」としてさらに幅広い展開を見せている。今回取り上げる「SV-AV100」は唯一、MPEG4動画だけでなくMPEG2動画撮影にも対応した最上位モデルだ。実売で10万円弱程度と価格も高めだが、512MバイトのSDメモリカードが同梱という点を鑑みると、妥当な線ともいえる。

 最上位モデルとはいえ、実はSV-AV100のCCDは68万画素(1/6型、有効34万画素)と、今回同時に発表された4機種の中で、解像度だけに目を向ければ最も低い性能となる。すなわち、ほかの機種が動画の録画・再生も可能なデジタルカメラというスタンスなのに対し、SV-AV100は最も「純粋なビデオカメラ」に近い位置づけに置かれたということだろうか。

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(左)本体手前には撮影時に最も重要な操作ボタン類が並ぶ。上から、撮影ボタンとズームレーバー、電源スイッチ、AUTO/MANUAL撮影モード切換スイッチ、そして、AVクレードル用コネクタ
(中央)ズームはデジタルのみではなく、光学10倍レンズを採用
(右)バッテリは右側面に収納。動画記録時で約1時間の連続使用が可能

 実際に製品を触ってみても、ひと昔前のDVカメラをそのままぐっと小さくした印象を受ける。「ひと昔前」というと語弊があるかもしれないが、要は「デジカメの後を追いメガピクセルCCDの時代に突入する前のDVカメラ」の記録メディアをテープからメモリカードへと取り替え、その分、本体サイズを極限にまで小さくしたという感じ。前述のとおり68万画素(有効34万画素)CCDを搭載、そのほかも、光学10倍ズーム(デジタル最大100倍)、電子式手ぶれ補正、約12.3万画素の2.5インチ液晶モニタ、標準バッテリによる連続使用での録画可能時間が約1時間と、どれをとっても先の印象を裏付けるスペックばかりだ。しかし、古臭いといっているわけではなく、これら「(ひと昔前とはいえ)本物のビデオカメラ」とほぼ等しい性能が、幅33.2×高さ89.8×奥行き64.9ミリ、使用時質量190グラムと、片手にすっぽり入ってしまうまでに小さくなったのには、時代の流れを感じる。

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 撮影は、基本的にいわゆるタテ持ちで行う。左側の液晶モニターを持ち上げ、画面をくるっと90度回転させて手前に向ける。ビューファインダーはないので、撮影時はモニタを必ず利用することになる。メニューやモード切換などに利用する捜査ボタン類は、この液晶モニターを開いた部分に配置。本体手前部分には電源ON/OFF、AUTO/MANUALの撮影モード切換スイッチ、そして、ズームレバーと撮影/停止ボタンが並ぶ。こうした配置もDVカメラで見慣れたものだ。

 一見すると、本体が小さすぎて、握ったときにレンズを指で隠してしまいそうだが、意外とホールド感は悪くない。接近して配置された撮影ボタンとズームレーバーを親指で操作するのも、さほど苦にはならない。ただ、前面のレンズ下にあるリモコンセンサーを中指で覆ってしまうのは問題ないにしても、右側面手前にあるホワイトバランスセンサーを人差し指が隠してしまうとまずいので、そこにだけは気を配らなければならない。フォーカスはマニュアルでも可能だが、フォーカスリングや専用レバー/ボタンが用意されているわけではないので、汎用のボタンを流用することになり、操作は少しやっかいになる。

 電源を投入すると、MPEG2/MPEG4/PICTUREのいずれかの撮影モードが立ち上がる。いずれか、というのは、前回電源を落とした際のモードが保持されているというわけだが、撮影モードではなく、いずれかの再生モードで終了したとしても必ず撮影モードで起動する。MPEG2/MPEG4/PICTUREは、それぞれMPEG2動画、MPEG4動画、静止画のモードを示し、切換は本体左側面のMODEボタンを押してトグルさせる。撮影/再生モードの切換は、その隣のREC/PLAYボタンで行う。撮影は通常スタイルのほかに、液晶を被写体に向ける対面撮影にも対応しており、当然ながら液晶を回転させると自動的に画面が上下反転してくれる。その際、画面表示も撮影モードや記録画質、残り記録可能時間などといったステータスが一切表示されなくなる。液晶モニタの回転角度で、撮影時に必要な情報表示を行うかどうか決めているようだ。しかし、それならばもう一歩踏み込んで、同時に電源オン時のデフォルトモードも変更してほしい。つまり、通常撮影・対面撮影のいずれにしてもカメラスタイルであればRECモード、ビューワースタイルで電源投入すればPLAYモードをデフォルトにと自動切換すべきということだ。

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付属のAVクレードルを利用すれば、ACアダプタやAV入出力ケーブルとの接続を簡便化できる。もちろん、双方とも本体に直接つなぐことも可能。右がビューワースタイルとなる

MPEG2とMPEG4ではいずれも一長一短あり、
用途や場面に応じてうまく使い分けたい

 撮影した動画を見てみると、MPEG2はさすがに、まさしくビデオカメラレベルの品質を確保している。音声も明瞭だ。木々の緑など情報量の多い場面や動きの速い場面ではさすがにきついらしく、ノーマルでは粗くブロック化、ファインでも輪郭にジャギーが出てくるが、それ以外の点では問題ない。動きも滑らかで、色情報も大きく失われるようなことはない。それよりもMPEG2を利用することで問題になるのは、やはり記録時間だろう。同梱の512Mカードで、ノーマルでも最大約20分、ファインでは10分となる。前述の撮影対象の向き不向きも併せて考えると、運動会や発表会の撮影には向かない。風景や記念撮影を、スチルではなく少しでも「動く場面」として記録しておきたいという用途であれば、意外と尺は回さないものだ。まったく問題なく使えるだろう。

※もちろん、パソコンを常時携帯しているなら、ハードディスクへ動画データを転送し、フォーマットして撮影を続けるという手段もなくはない。ちなみに、512MバイトいっぱいにMPEG2動画を記録し、そのデータ(カード内のSD-VIDEO:PRG001:MOV001.MOD、実際には488MBとなった)をSDスロットつきのノートパソコンへコピーした場合、転送時間は4分半程度ですんだ。フォーマットも十数秒で完了する。さらに蛇足を付け加えておくと、この製品で撮影したMPEG4動画はスーパーファインも含め、ザウルスSL-C750で再生可能だった。Sigmarion IIIでは映像は再生できたが、音声がデコードできなかった

MPEG2記録
モード解像度ビットレートコマ/秒最大記録
ファイン704×4806Mbps30約10分
ノーマル352×4803Mbps30約20分

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[浅井研二,ITmedia]



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