リビング+:ニュース 2003/09/29 23:56:00 更新


ぴあ、10月から電子チケットの本格商用サービスを提供

ぴあは、携帯電話やICカードを利用した電子チケットの本格商用サービスを10月に開始する。併せて、イベントの開催場所に近い飲食店などの電子クーポンを配信するサービスも提供。NTTドコモのCMでお馴染みになった、あのシーンが身近なものになりそうだ。

 ぴあは9月29日、携帯電話やICカードを利用した電子チケットと電子クーポンの本格商用サービスを10月に開始すると発表した。オンラインでチケットを購入し、携帯電話にダウンロードすれば、わざわざ店舗に出向く必要がなくなる。また、イベントの開催場所に近い飲食店などの電子クーポンも入手可できるという。

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電子チケット利用時の専用ゲート「デジゲート」と、ぴあの矢内廣会長兼社長。NTTドコモのCMで“お馴染み”になった、あのシーンが身近なものになる

 電子チケットを利用するには、まず、ぴあの新しい会員制度「@ぴあ会員」に無料登録する必要がある。@ぴあ会員には、電子チケットセンターのサーバに「デジポケ」(デジタル・セキュリティ・ポケット)と呼ばれる“電子私書箱”が用意され、チケット販売サイトで購入したチケットを保管する仕組みだ。

 ユーザーは、パソコンや携帯電話から「@電子チケットぴあ」「電子チケットぴあi」にアクセスしてチケットを購入する。ここまでは従来のオンライン販売とあまり変わらないが、デジポケを使うことでチケット受け渡し方法の幅が広がった。

 もっとも簡単なのは、携帯電話からネットワーク経由でデジポケに接続し、電子チケットをダウンロードすることだ。あとは会場に携帯電話を持っていくだけ。専用の入場ゲート「デジゲート」でチケット情報を送信すれば入場できる。ただし、デジゲートとのやり取りは赤外線ポートを通じて行うため、サービス開始当初はNTTドコモの携帯電話のみをサポートする。

 対応する携帯電話は「504i」シリーズ、および「504iS」シリーズの各モデル。そしてFOMAの「FOMA2051」「FOMA2701」「FOMA2102V」の3機種(2003年10月現在)。ほかのキャリアへの対応は「2004年になる」(同社)という。

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デジゲートではNTTドコモ「504i」シリーズなどに搭載されている赤外線通信機能を使って認証を行う。デジゲートは当初40カ所に設置される予定で、順次拡大する

 もう一つは、非接触ICカードを使う方法。こちらはNTTコミュニケーションズの電子マネー「ちょコム」が利用できる。チケットがデジポケに入るところまでは携帯電話の場合と同じだが、ダウンロードにはパソコンもしくはファミリーマート店頭にあるキオスク端末「Famiポート」(2003年12月に開始予定)を使う。

 ICカード内に電子チケット情報を取り込めば、後は携帯電話と同じだ。非接触ICカードは電波方式のため、デジゲートを通過する際、携帯電話よりも早く認証が済む。また、ちょコムの場合は、チケット購入時の決済手段としても使えるメリットがある(決済手段はクレジットカードもしくはちょコム)。

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赤外線通信の携帯電話は認証に2秒ほど必要だが、非接触ICカードなら一瞬で済む。緑色の光は、チケットデータを正常にやり取りできた証拠

 ぴあが本格サービスを開始するのは10月22日から。利用料金は一律210円かかるが、「将来的にはチケット代の中に含める形にする」としている。もちろん、従来通りチケットの郵送や電子チケットぴあ端末による紙チケットの発行も継続するが、紙チケット発券時には1枚につき100円の手数料がかかる。

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電子チケットサービスを利用する際の流れ(クリックで拡大)

電子クーポンとの連携

 @ぴあ会員になるメリットは、チケット購入だけにとどまらない。飲食店の割引チケットなど“クーポン券”が電子化されて携帯電話やパソコンに届くようになる。もちろん、フリーペーパーのようにクーポン券を雑誌から切り抜く必要もない。

 同社によると、電子クーポンを発信するトリガーは二つあるという。一つは、ユーザーがチケットを購入した時。イベント会場の近くにある飲食店などのクーポンをメールで発送する。ライブやイベントに参加したあと店に寄ってもらうのが目的だ。

 「NTTドコモとの実証実験では、イベント絡みでユーザーが来店・購入する確率は10〜20%に上った。いわば“イベント行動連鎖”による利用確率の高いプロモーションが可能になる」。

 もう一つは、日常的な行動のなかで使いそうな電子クーポンの発送だ。@ぴあ会員登録時には、年齢や性別といった基本属性とともに「よく行くエリア」「好きなエンタメジャンル」などを登録する必要があり、これをもとにメールマガジンを制作・配信する。会員の性別や趣味嗜好にマッチした内容の“クーポンメール”を発行することで、日常的に活用してもらうのが狙いだ。なお、「よく行くエリア」をもとにしたクーポンメールは当初、銀座、渋谷、新宿、池袋、上野の5エリアを対象としており、順次拡大していく方針だという。

電子チケット事業は“第3の創業”

 月刊情報誌「ぴあ」の発行元として知られるぴあは、1984年に国内初のオンラインチケット販売サービス「チケットぴあ」を開始し、これを“第2の創業”と位置づけている。現在、ぴあのチケット販売事業は、総売り上げ約540億円にふくらみ、2本目の柱になった。しかし、オンライン販売に限ると、その売り上げは年間約80億円。全体に占める割合でいえば15%ほどだ。

 同社では、電子チケットサービスのインフラを整えることで、「今年度の下期からオンライン販売が伸び、2003年度で20%超、2004年度は30%超(約200億円)の売り上げを見込んでいる」(同社サービス流通事業統括本部長の白井衛氏)という。一方の電子クーポンも「今後2〜3年で数十億の売り上げを期待できる」。挨拶に立った同社の矢内廣社長も、今回の電子チケットサービスを「第3の創業」と表現し、同社の中核事業に育てていく構えを示した。

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関連リンク
▼@ぴあ
▼ちょコム

[芹澤隆徳,ITmedia]



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