リビング+:ニュース 2003/10/03 20:39:00 更新


イー・アクセス上場 〜「ADSLは3000万加入まで伸びる」

イー・アクセスは10月3日、マザーズに新規上場した。上場発表記者会見では、同社の戦略を千本社長が説明。ADSL市場の予測や、FTTHに対するスタンスなどを、独特の“千本節”を交えつつ話した。

 イー・アクセスは10月3日、東証マザーズに新規上場した。同社経営陣はこれに合わせて、上場発表記者会見を行い、今後の戦略などを話した。

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イー・アクセスの千本倖生社長

 同社株式の公開価格は18万円だったが、38.8%増となる25万円で初値を付けた。その後、29万円まで買い進まれる展開となっている。

黒字化をアピール

 同社は昨年12月にもマザーズ上場を発表したが、当時の株式市場などを考慮し上場を見合わせた経緯がある(記事参照)。イー・アクセスの千本倖生社長は、当時の状況を振り返りながら、「(営業損益で)赤字は減っていたが、“赤字”だった」と説明する。

 「機関投資家に、赤字が減ってますよ、黒字になりますよと100回言っても、なかなか信じてくれなかった」(同氏)。やむなく上場延期を決めてからは、“どうしても利益を出そう”と、それに専心してきたと話す。

 そのかいあって、同社は2004年度第1四半期に4億5900万円の営業利益、1億4300万円の経常利益を出している(記事参照)。「今回は、完璧に黒字になった。機関投資家も黒字を見せると、何も言わず、ほとんど説明する必要がなかった」(同)。

 特に同氏がアピールするのは、EBITDA利益率で33.9%を達成している点。「これは高い率。ほかの通信事業者は、ほとんど20%台だ」(同)。EBITDAの“DA”(減価償却費)の部分でも、設備を7年で償却する事業者もある中で、同社は4年で償却していると強調する。

 「加入者を獲得しつつ、採算性も確保するという、極めて難しいバランスをとってきた。どこかにガタッとかたよって、シェアばかり追いかけている……といった経営の仕方は、イー・アクセスとしてはあり得ない」と、ソフトバンクBBを意識したコメントも飛び出した。

新型モデムもお披露目

 会場ではまた、11月から提供される「ADSLプラスQ」向け新型モデムの説明もあった。従来のIP電話機能内蔵モデムに、専用の無線LANカードを加えた多機能モデムになる見込みだ。

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 機種は、NECアクセステクニカ製「WR605 CV」。端末に、無線LANカードを挿して利用する。無線LANは、IEEE 802.11a/b/gに対応するという。

「ADSLは3000万加入まで増える」

 ADSL市場は、ここへきて成長にかげりが見られるとも言われる(記事参照)。しかし、千本氏はまだまだマーケットが拡大すると、強気の予想を立てる。

 「ADSLの伸びが落ちているというが、そういうことはないと思う。1000万でサチる(saturationする=市場が飽和する)んじゃないかと言われているが、携帯電話でもそういう話はあった」。

 「韓国では、人口4000万のところに、現在1000万の加入者がいる。日本が今の韓国の普及率まで行くとすると、3000万加入まで伸びることになる。しかも、韓国のADSL市場は成長が止まっていない」。

 同氏は、市場の伸びが鈍っているのは確かだが、「かつてが異常で、今が普通。そんなに悲観することはないんじゃないか」との見方を示した。

 一方、FTTHサービスとの距離感は微妙なところだ。千本氏は、「ADSL以外のサービスも検討はしている」とその可能性を否定しない。

 会場からすかさず「それはFTTHサービス開始ということか」と質問が飛んだが、同氏は苦笑しつつ「ノーコメント」とかわす。

 いずれはFTTHにするのが当然では、と重ねて質問されると、「光をローカルでバンバン使っている国がありますか。NTTがラストマイルまで光を、と言っているだけのことだ」と反論。当面は、ADSLで事業を進めるとのスタンスをとった。

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[杉浦正武,ITmedia]



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