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2003/10/22 21:19:00 更新

伸び悩む110度CS　〜「地上デジタルに便乗」で打開？

契約者数の伸びに悩む110度CSデジタル放送が、現状打開に向けて動き出した。10月22日、110度CSデジタルに関連する企業が協働して、普及促進を図るべく「110度CSデジタル放送推進協議会」を発足させると発表した。

　契約者数の伸びに悩む110度CSデジタル放送が、現状打開に向けて動き出した。10月22日、110度CSデジタルに関連する企業が協働して、普及促進を図るべく「110度CSデジタル放送推進協議会」を発足させると発表した。

　以前から、業界内でワーキンググループを持って協議を行っていたが、今回本格的に組織化する。会員には、委託放送事業者18社、受託放送事業者2社（JSATと宇宙通信）、プラットフォーム事業者2社（プラット・ワンとスカイパーフェクト・コミュニケーションズ）のほかに、番組供給事業者30数社が名を連ねており、業界をあげての取り組みといえる。

推進協議会の会長には、衛星放送協会の会長でもある西村泰重氏が就任した

　11月1日から12月末にかけて、普及促進に向けたキャンペーンを実施する。具体的には、期間中に110度CS対応アンテナを購入し、「プラットワン」または「スカパー！2」に新規加入したユーザーに5000円をプレゼントする。さらに、加入時に選択したパック・セットの視聴料金が1000円以上だった場合は、5000円をプレゼントする。

契約者数は低迷中

　推進協議会の会長に就任した西村泰重氏は、110度CSデジタル放送の契約者数が、思ったようには伸びていないことを認める。

　「現在、BSデジタル対応の受信機（チューナー・アンテナ）は、230万台出ている。このうち、110度CSデジタルにも対応したものは、90万台と推定される。だが、契約は約9万件（「スカパー！2」が6万件、「プラットワン」が3万件）。加入率は、10％ということになる」（同氏）。

　この数字は、事業者、視聴者ともに慣れていない初期のマーケットとしては「必ずしも悲観するものではない」ものの、「期待を下回る結果であったことも否めない」（同氏）。このため、テコ入れに乗り出したと説明した。

　追い風になるのが、12月からの地上デジタル放送の開始だ。これに伴い、各メーカーから地上デジタル、BSデジタル、110度CSデジタルの“3波共用放送受信機”が、年末商戦に向けて投入される。

　多くのユーザーがこれを購入するようなら、必然的にCSデジタルの視聴環境も整うことになる。CSデジタル業界としても、この流れにうまく乗りたい考えだ。年末にはキャンペーンをぶつけることで、「最低限でも現状の2倍」の契約者を獲得したいという。

　スカイパーフェクト・コミュニケーションズのプラットフォーム事業部門、企画課の奥永孝仁課長は、現在スカパー！2は58チャンネルを揃えていると話す。

　110度CSデジタル環境では視聴できない、従来の「SKY PerfecTV!」では、280チャンネルを揃え、300万加入を獲得している。しかし、110度CSデジタルでも「主力となるコンテンツは提供している」と同氏。

　両者を比較すると、SKY PerfecTV!が若者向けのコンテンツを提供しているのに対し、スカパー！2では視聴年齢層がより高くなっているため、こうしたユーザーを意識したラインアップになっているとした。

　西村泰重会長は、110度CSに限らず、放送業界全体として“オールデジタル”のプロモーション展開を意識していると話す。

　同氏はデジタル放送を考える上で、「地上デジタルでは、やはり地上波放送と同じ番組が提供されることもあるだろうし、BSデジタルも比較的チャンネル数が少ない」と指摘する。110度CSデジタルの多チャンネルは、ユーザーにとって十分魅力を持って映るはずだという。

　「さしでがましいが、CSのコンテンツで（デジタル放送全体を）我々なりに支援する考えだ。実際に、そうなってもらいたい」（同）。

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[杉浦正武，ITmedia]

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