リビング+:ニュース 2003/10/27 23:59:00 更新

インタビュー:バンダイチャンネル(前編)
“ガンダム”が拓く日本のVoD

サービス開始から、ちょうど一年を迎えるバンダイチャンネル。53作品973話のラインアップと1話100円という手頃な値段も手伝い、10月には累計視聴数が300万話を突破した。国内有数のコンテンツ事業者へと成長した同社が次に目指すものは?

 いきなり私事で恐縮だが、「機動戦士Zガンダム」のテレビ放送が開始されたときのことをよく覚えている。物理の授業中に「ガンダムの続編が始まる」ということを知り、迷うことなく部活を“病欠”すると、テレビに直行したのだ。クワトロ大尉を指さして、「シャアがオジサンになった」などと喜んでいたのだが、後で部員の過半数が“病欠”していたことを知って青くなった。

 それから20年近くが過ぎたが、やはりガンダムと聞けばちょっと気になる。しかも、最新の「機動戦士ガンダムSEED」は、オンエアを見逃しても、録画予約を忘れても、ブロードバンドですぐに見ることができたのだ(NTT東西のフレッツユーザーに限られていたが)。なんというか、時代の変化を感じる。

 そんなサービスを提供しているバンダイチャンネルは、10月にサービス開始から一周年を迎えた。同社によると、この一年間の有料視聴数は300万件を超え、アダルトや一部のグラビアを除けば、日本でもっとも利用された動画コンテンツだという。

玩具を売る手段に

 バンダイチャンネルとバンダイIT推進室のリーダーを兼任する安食孝徳氏は、そもそものきっかけを「映像を劣化させずに保存するため、旧作品のデジタル化を進めていたことだった」と話す。もちろん、制作会社なら他社でも一般的に行う作業ではあるが、同社の場合は、ちょうど急速な普及が見えてきたブロードバンドを“キャラクター・マーチャンダイジング・メディア”として捉えた点が違った。

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バンダイチャンネル、バンダイIT推進室のリーダーを兼任する安食孝徳氏

 もともと、玩具メーカーのバンダイは、コンテンツそのものより、むしろ関連のキャラクター商品を販売する利益のほうがメイン。つまり、テレビではなかなか再放送の機会が与えられない過去の作品にも光をあて、関連商品の販売につなげる手段としてブロードバンドに注目したわけだ。

 また、国内の映像作品は著作隣接権などの処理が煩雑でなかなかブロードバンド配信に結びつかないが、サンライズアニメの場合は「テレビ放映から数年が経過すると、すべての権利をサンライズに集約する仕組み。このため、サンライズ一社の判断でブロードバンド配信が可能になった」(安食氏)という。

 バンダイチャンネルが持つアニメ作品は、400タイトル(1800時間分)におよび、このうち53タイトル(973話)を配信中だ。配信パートナーはBIGLOBE、ニフティなどISPや回線事業者が19社(9月末現在)。KDDIなど実験サービス中のところを含めると23社となる。

 「サービス開始当初は、ガンダムシリーズが全体の7割を占めていたが、最近では5割ほど。もちろん、ガンダムの視聴数が減ったのではなく、全体が増えて相対的に割合が下がったという意味だ」。

 前述の通り、バンダイチャンネルではテレビアニメを一話100円、劇場版アニメは300円でストリーミング動画を1週間何度でも視聴できる。パートナーとコンテンツの幅広さにくわえ、値段の手頃さもユーザーに支持された要因だろう。

SEEDにみるブロードバンド配信の効果

 今年放映された「機動戦士ガンダムSEED」では、新しい試みをいくつか取り入れた。NTT地域会社との協業により、テレビ放映の直後から、その日に放送されたぶんを「フレッツ・スクエア」で配信したのだ。

 狙いは、視聴者の目に触れる機会を増やし、そのタイミングを逃さずに関連商品の販売につなげること。同時に、従来は放送から数カ月〜数年を要したDVDパッケージの販売が前倒しされ、バンダイビジュアルからは放送中にも関わらずDVDパッケージが次々とリリースされた。さらに、放映開始時には、プラモデルのラインアップも充実させた。

 「お子さんがテレビ放送をみて、お父さんは夜にブロードバンドでみる。視聴機会が増えて、アニメのみならず玩具やDVDのビジネスも拡大すると考えた」。

 プラモデルのCMをみたことがある人は、「親子で作る」というシチュエーションが多いことに気付くだろう。既に確立されているガンダムのブランドを活用し、“ガンダム世代”と、その2世を取り込もうとする戦略だ。

 成果は顕著に表れている。たとえば、バンダイビジュアルの集計によると、ガンダムSEEDのDVDパッケージは1〜8巻(以下続巻)で累計80万枚を売り上げ、「従来にない勢い」。一方のプラモデルも、ガンダムSEEDのシリーズだけで800万体を販売した。さらに、「それに牽引される形で、ガンダムシリーズ全体の累計販売数も去年に続いて売り上げ記録を更新している」という。

後編「バンダイチャンネル、次の一手」

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▼バンダイチャンネル

[芹澤隆徳,ITmedia]



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