リビング+:ニュース 2003/11/14 17:32:00 更新

開発者インタビュー
「PSX」の足りないトコロ、足せるトコロ (1/2)

「CEATEC JAPAN 2003」で派手なデビューを決めたソニーの「PSX」。話題性は十分だが、まだ情報が少ないPSXについて、開発を担当したソニー、ブロードバンドネットワークカンパニーの松岡氏に話を聞いた。同氏に見せてもらった「PSX」は、CEATECの時とは少しだけ違っていた……。

 「CEATEC JAPAN 2003」で派手なデビューを決めたソニーの「PSX」。ただ、HDD&DVDレコーダーと「プレイステーション2」のハイブリッド機ということは知られているが、まだ情報が少ない。一方、ソニーの製品には「CoCoon」「スゴ録」といったレコーダーがラインアップされており、PSXの位置付けも気になるところ。PSXの開発を担当したソニー、ブロードバンドネットワークカンパニー企画管理部門企画一課の松岡賢次統括課長に、開発経緯とコンセプト、そして大詰めを迎えた開発状況を聞いた。

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ソニー、ブロードバンドネットワークカンパニーの松岡氏

「PSX」の噂の真相

 松岡氏は、Blu-ray Discレコーダー「BDZ-S77」の開発に携わっていた経歴を持つ、いわばディスクレコーダーのプロだ。これは「ポストビデオ」を狙うPSXが、ゲーム分野から派生したものではなく、AVジャンルから生まれた製品だということを裏付けている。

 もとより、PSXはソニー・コンピュータエンタテインメント(SCEJ)の製品ではなく、ソニー本体が販売するもの。ゲーム機ではなく、AV機器に分類される商品だ。しかし、「PSX」という名称がプレイステーションを思わせることや、初代「プレイステーション」の開発コードネームが“PSX”だったこともあり、5月以降はさまざまな憶測を呼んでいた。

 「名称の候補はいくつかあったが、“プレイステーション2の技術を使ったDVDレコーダー”に適していて、かつ音楽や映画など楽しいものを取り込む製品ということで決めた。PSXの意味は、“プレイステーションの技術とクロスオーバーしていく”ということ」(松岡氏)。

 噂の中には「PSXは、開発コードをそのまま製品名にしたらしい」というものもあったが、それも事実とは異なるという。「実際の開発コードは別にあり、5月の段階で製品名はPSXに決まっていた」。

PS2技術を使った理由

 PSXがレコーダーとして開発されたのは理解できたが、ならばPS2の技術を採用したのは何故だろうか。ゲーム機能が付加価値になるのは確か。だが、そのぶん安くできるほうが一般ユーザーにとってはありがたい。PS2は世界で6000万台(9月時点)が出荷されており、既に所有している人も多いからだ。

 「テレビやゲーム、映画、音楽など、ユーザーが手にするどんどんコンテンツは増えていく。その中でユーザーが何を求めるか? と考えたとき、やはり操作性だろうと思った。ゲーム機の処理速度が、AVのそれと格段に違うのは分かっていたから、PS2のエンジンを使ったら面白いものができる。SCEに話を持ちかけたら、先方もさまざまなアイデアを持っていた」。

 つまり、PS2技術の採用は、高速なCPUとグラフィックエンジンを使い、リッチでストレスのないユーザーインタフェースを構築するのが当初からの目的だったという。量が増えるにしたがって煩雑になるメディアの検索性と操作性を高め、同時にソフトウェアによる機能を追加することもできる。

 「一般的なAV機器では、ある機能を追加するためにASIC(特定用途向けIC)を開発することが多いが、ASICの開発や生産には相応の時間とコストが必要だ。また、動作は保証される反面、機能はハードウェアに制限されてしまう」。

 汎用的なCPUとソフトウェアで機能と拡張性を確保するのはコンピュータの考え方だが、最近はAV機器にも浸透している。高性能で価格もこなれたPS2チップを持つソニーが、それを活用するのは、むしろ当然の流れなのかもしれない。

 「とくにPS2のアーキテクチャは、OSとカーネルが“直結”しているようなもの。メディアを切り替えたときも、ロスなく動くのが良いところだ。ここがパソコンとの大きな違いで、逆にパソコンのような部分を(ユーザーに)見せてしまったら、それはAV機器とはいえないだろう」。

 目指したのは「取り扱い説明書をほとんど読まない人でも、すぐに理解できるGUI」という。極論かもしれないが、PSXのゲーム機能はユーザーインタフェースの副産物なのかもしれない。そう考えると、ゲーム機能を持ちながら、ゲームコントローラがパッケージに付属しない理由もわかる(リモコンで操作は可能)。もちろん、単なるコスト削減という可能性も否定できないが……。

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PSXでは、DVDやCDをドライブに入れると画面上にアイコンをマウントするが、ソフトウェアを勝手に立ち上げたりはしない。「ユーザーの意志で操作するほうが理解しやすい部分もある」

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基本的な操作はカーソルキーと決定ボタン。「オプション」ボタンを押すと、選択したものに対して実行可能なメニューを一覧表示する。パソコンの右クリックと同じだ

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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