リビング+:ニュース 2003/11/21 23:58:00 更新

Inter BEE 2003
“ケータイ早押しクイズ”は駅伝より過酷?

“寝正月の友”として多くの人々に愛されている「箱根駅伝」のテレビ中継。ただ、そのテレビ中継を担当する日本テレビ放送網が、今年は携帯電話を使った新しい試みを行ったことはあまり知られていない。

 「箱根駅伝」は、正式名称を東京箱根間往復大学駅伝競走といい、大手町〜芦ノ湖間の往復216.4キロを10人の選手がタスキをつなぎながら2日間にわたって走り抜く過酷なレースだ。いわずとしれた年始の好例行事であり、そのテレビ中継は“寝正月の友”として多くの人々に愛されている。ただ、そのテレビ中継を担当する日本テレビ放送網が、今年は携帯電話を使った新しい試みを行ったことはあまり知られていない。

 「Inter BEE 2003」と併催された放送事業者向けのカンファレンス「民放技術報告会」では、日本テレビ技術統括局の岡田直紀氏が「箱根駅伝ケータイクイズ」の成果報告を行った。ケータイクイズを一言でいえば、番組連動型の早押しクイズだ。岡田氏によると、この新しい試みを通じて、携帯電話インフラやWebサーバの性能を把握することができたという。

 箱根駅伝ケータイクイズは、パケット通信対応の携帯電話を持ち、日本テレビの中継放送を視聴できる人なら誰でも参加できるイベント。内容は、箱根駅伝の歴史や地域にまつわる“早押し4択クイズ”と、トップの大学がタスキを渡す瞬間に合わせて携帯電話のボタンを押す“早押しゲーム”の2つ。いずれも放送波は一切使わず、携帯電話の十字キーと決定ボタンだけで操作する形だ。

 事前に登録したユーザーにはIDとパスワードが発行され、専用サイトに接続できるようにする。すると、CMが入るタイミングで、「栄えある箱根駅伝第一回の優勝校は? CM終了と同時に早押しスタート」といった問題が出題される。早押しのタイミングは、0.001秒の時間差まで計測可能。解答の正確さはもちろん、タイミングの正確さと早押しの技術も求められる過酷なクイズだ。これを箱根駅伝と同じ時間〜つまり2日間、合計6時間にわたって繰り返した。

 ユーザーには知識と集中力が必要だが、Webサーバや通信インフラにも相応の能力が求められる。当然のことながら、解答のタイミングにトラフィックが集中するからだ。

 「利用したサーバは、同時アクセス数を高めた独自のもの。こうした技術が、番組の演出ツールとしてどのように活かせるかどうか。それを検証するのが(イベントの)目的の1つだった」(同氏)。

 サーバや集計システムの構築を担当したのはイースとフォアキャストコミュニケーションズで、Webサーバは1万5000人の同時アクセスに対応できる仕様にしたという。また、アクセス1回あたりのイベント処理時間を短くすることで、待ち時間を少なくした点も特徴だ。「コンテンツはヘッダ情報などを極力省いて軽量化したほか、集計処理も“待ち”が発生しないように配慮した独自システムとなっている」。

 その結果、イベント期間中にトラブルは発生せず、ユーザーの評価も上々だったという。事後アンケートの結果によると、アクセス性に関してはユーザーの6割が「よかった」と評価している。「もう1つ、注目してほしいのは、アクセス数自体が2日間にわたってあまり変化していないこと。これは、途中で投げ出すユーザーがほとんどいなかったことを示している」。

 また、ユーザーの85%が「是非もう一度参加したい」と回答するなど、「箱根駅伝ケータイクイズ」はまずまずの結果を残したといえる。ただし、アクセス性に関する評価を携帯電話キャリア別に整理すると、評価の高いキャリアと低いキャリアの差が意外と大きかったようだ。

 日本テレビでは今後、Javaアプリを利用した携帯電話向けコンテンツなども検討していくほか、地上デジタル放送の双方向サービスにも今回の結果を活かす方針だという。岡田氏は、「地上デジタル放送では、地域によって映像・音声の到達時間が異なる場合も考えられるため、対応すべき課題は多い。しかし、今回のイベントにより、番組連動の“早押し”という過酷な条件でも実用に耐えるシステムが開発できることを確認できた」と話している。

関連リンク
▼箱根駅伝公式サイト

[芹澤隆徳,ITmedia]



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