リビング+:ニュース 2003/12/10 23:59:00 更新


“家電制御”もブロードバンドのサービスに?

韓国PLANET INT Co.,Ltdは、宅内の電力配線を使って照明やエアコンなどを制御できる電灯線ホームネットワークシステムを1月中旬に発売する。配線のいらない導入の容易さを武器にマンションなどへの導入を進めるが、一方で回線事業者やISPにも採用を促すという

 韓国PLANET INT Co.,Ltdは、同社が開発した電灯線ホームネットワークシステム(Power Line Communication:PLC)の国内販売を1月中旬に開始する。宅内の電力配線を使って照明やエアコンなどの機器を制御するというもので、主にホームオートメーションやホームセキュリティ用途を想定。一世帯あたり平均16万円程度という導入コストも魅力だ。

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電灯線ホームネットワークのデモ

 日本ではブロードバンドのラストワンマイルとなる高速通信規格として注目を集めた電灯線ネットワーク技術だが、アマチュア無線などへの干渉問題から規制緩和が見送られ、現状では10〜450KHzという狭い周波数帯でしか利用できない。しかし、既にある配線を使うメリットは大きく、狭い帯域でも利用可能なホームオートメーションの通信手段として再び脚光を浴びつつある。

 PLANETのシステムは、国内規制の枠内となる120KHz帯を使う。プロトコルは独自開発。伝送速度は360bpsにとどまるが、照明など住宅設備機器の制御にくわえ、赤外線アダプターを介した家電制御やパソコン連携もサポートするという。

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PLANET INTの朴基成理事

 来日したPLANET INTの朴基成(Ki Sung Park)理事によると、同社の通信技術は、米国で広く使われているホームオートメーション技術「X10」に近いものだという。異なるのは、双方向通信が可能になること。つまり、「PLCネットワークに直接つながっている機器であれば、オン・オフといった操作だけではなく、パソコンや電話から機器の状態を確認できる。X10を欠点を補完し、より利便性の高いホームオートメーションを提供する製品だ」(同氏)。

簡単工事&低コスト

 PLCのメリットは、既存の配線を使えるため導入が容易になること。PLANET INTの場合も、工事らしい工事といえば、壁面のスイッチパネルを専用の「FRCスイッチ」に交換することだけだ。家中に張り巡らせた電灯線が媒体だけに、どの部屋にいても各部屋の照明を制御できる。

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FRCスイッチはリモコン用の赤外線インタフェースを備え、専用リモコンで操作可能。スイッチは1口から4口まで4つのバリエーションがある

 「IRジェネレーター」と呼ばれる赤外線アダプターは、いわば電灯線ネットワークに参加できるプログラマブルリモコン。最大25の操作をプログラムできるため、リビングルームに1台設置しておけば、エアコンやTV、ビデオなどをカバーできるだろう。

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「IRジェネレーター」。赤外線の到達距離は約15メートル

 また、「セミフォン」「コントロールフォン」と呼ばれる電話アダプターを使うと、電話回線を通じて外部から機器の状態確認と操作が行えるようになる。音声ガイドを聞きながら、電話のトーン信号でコマンドを入力する形式のため、携帯電話、固定電話の両方に対応しているのが特徴。消し忘れ防止や帰宅前にエアコンのスイッチを入れておくといった用途のほか、いわゆる“いるふり防犯”にも使える。赤外線センサーを備えた「ISセンサー」を設置すれば、より本格的だ。

 「セキュリティ機能は、基本的に“入られない”ことだ。だが、入られてしまったときは、センサーが検知してくれる。防犯ブザーとの連携や、予め登録した7件までの電話番号に通知する機能も備えた」(同社)。

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「コントロールフォン」にはリモコン機能もある

 パソコンをネットワークに参加させるには、2004年半ばに発売予定の「PCモジュール」(価格未定)を利用する。韓国内で販売されている製品はシリアルインタフェースだが、プラネット アイエヌティ ジャパンの荒川信也代表によると、USBの採用も検討中だという。「パソコンと連携すると、プログラミングによって用途が広がる。たとえば、朝になったら電動カーテンを開け、テレビのスイッチをつけるといったスケジューリングも可能だ」(同氏)。

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パソコン用ソフトの画面。照明などをクリックするだけでオン・オフが可能

通信キャリアに採用を

 韓国では、IT設備をウリにする“サイバーマンション”が人気だ。この時流に乗り、大手のデベロッパーや機器メーカーと提携することで、同社は初年度2万件の受注を見込んでいるという。

 日本でも基本的には同じ手法を使い、まずは代理店と施工店のネットワークを構築するという。ターゲットは、マンションや戸建てなど「電気がきているところは全部」。輸入は日本法人のPLANET INT JAPANが担当し、関連会社の日本プラネット販売を通じて販売する予定だ。これにより、初年度は約1万世帯、16億円の売り上げを見込んでいるという。

 さらに、同社はもう1つの有望な販売ルートを開拓しようとしている。それは、ADSLやFTTHの回線事業者やISPだ。現在のIP電話や無線LANのように、モデムやブロードバンドルータにPLCとインターネット(IP通信)をつなぐゲートウェイ機能を組み込み、外部からIP網経由のアクセスを容易にする。この場合、ISPはホームオートメーションやホームセキュリティを自社の付加価値サービスとして提供する。一方の同社は、大量受注が見込める販売ルートを確保できる。

 朴氏によると、韓国では既にPLC内蔵のホームゲートウェイ(HGW)もラインアップに加えており、来年1月にもインターネット経由の家電制御サービスを提供する予定だという。「HGWはVPN機能を持ち、外部から安全にアクセスできる。日本でもパートナーを捜して同様のサービスを展開したい」(同氏)。

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ソウルの本社とつなぎ、インターネット経由で家電を制御するデモ。右側は本社内に置いたカメラの映像だ

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▼PLANET INT Co.,Ltd

[芹澤隆徳,ITmedia]



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