リビング+:ニュース 2003/12/16 22:01:00 更新


NTT東の「映像通信網サービス」は“波長多重なし”でスタート

NTT東日本は12月16日、「映像通信網サービス」を開始すると発表した。コスト面や伝送速度を考慮して、IP通信を同時に利用するための「光波長多重」技術は使わない形でスタートする。一方、NTT東の発表により、スカパー!のFTTH放送サービスの開始時期もみえてきそうだ。

 NTT東日本は12月16日、「映像通信網サービス」の提供を開始すると発表した。同日、総務大臣に対して契約約款の認可申請及び料金の届出を行い、認可が下り次第、サービスを開始する予定だ。映像通信網サービスは、放送事業者に対して光回線などのインフラを提供するというもの。ホテルやオフィスへの導入を想定しているほか、既に“FTTH放送”を発表しているスカパー!も採用する可能性が高い。

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映像通信網サービスの概要(クリックで拡大)

 映像通信網サービスの場合、まず特定のNTT収容ビルでCS放送などを受信し、近隣のNTT収容ビルに中継、そこからマンションやオフィスまで光ファイバー(契約者回線)を敷設する形となる。マンション内には映像信号専用のONU(終端装置)を設置し、ここでケーブルテレビなどと同じ同軸ケーブルに切り替える。

 光伝送時に使う波長は1.5マイクロメートル。70〜90MHz帯でFMラジオ、90〜468MHz帯でアナログ映像、90〜770MHz帯でデジタル映像を伝送する。デジタル映像の1チャンネルがMPEG-2の6Mbps(SDクオリティ)として計算した場合、約400チャンネルぶんを伝送可能という。またIP伝送と異なり、映像信号には変更を加えないため、不正コピー防止技術などは従来のまま利用できるメリットがある。

 ただし、NTT東日本によると、今回はIP通信を同時に利用するための「光波長多重」技術(関連記事)は使わず、光ファイバーを映像の専用線として扱う形になるという。この点について同社では、「映像通信網サービスは、マンションやオフィスビルなど複数ユーザーによる利用を想定したもの。したがって、通信を同時に提供しても、100Mbpsを共有する形になり、実質的に利用できる帯域幅が限られてしまう。今後は帯域幅が不足することが予想されるだろう」と説明した。帯域不足から、いずれ光ファイバーを追加することになるのであれば、映像は独立したファイバーを使ったほうがコストメリットが大きいという判断だ。

スカパー!のFTTH放送は2004年にずれ込む?

 NTT東日本が申請した料金体系は、電気通信役務利用放送事業者(有線)が支払う第1種契約のうち、中継回線の利用料金が1事業者あたり288万円。サービスの起点となるNTT収容ビル(図中の1)は133万6000円から、収容ビル(図中の2)が33万6000円からとなっている。コロケーション費用や工事費は別途必要だ。

 一方、エンドユーザーに関わる第2種契約の料金は、契約者回線ごと(マンション1棟あたり)に月額1万8000円となっている。たとえばスカパー!のサービスを10世帯が入居するマンションで利用する場合、通常のスカパー!視聴料金にくわえて、一世帯あたり1800円を負担することになるだろう(初期費用は別)。ただし、これもマンション単位で一括して支払う形のため、エンドユーザーが直接NTT東日本に料金を払うわけではない。

 NTT東日本が契約約款の認可申請を行ったことで、スカパー!のサービス開始時期もみえてきそうだ。ただし、当初の予定より遅れてスタートする可能性が高くなった。

 同社は中央区の既築マンションを第1号として、都内2エリア(2電話局)で年内にサービスを提供するとしていたが、NTT東の認可にかかる期間にくわえ、FTTH放送のために設立したオプティキャストの電気通信役務利用放送事業者(有線)申請にかかる時間、また著作権ホルダーとの間に“ケーブルライツ”(有線放送を前提とした権利処理)を交わすための期間などを考慮すると、年内のサービス開始は難しいという。同社では「サービス開始時期がわかり次第、改めて発表する」としている。

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スカパー!のサービスで利用するSTB。チューナー部に一部変更を加えただけで、デザインや機能は現在のスカパー!チューナーと全く同じ。もちろんEPG(電子番組表)も利用可能だ

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関連リンク
▼ニュースリリース(NTT東日本)

[芹澤隆徳,ITmedia]



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