リビング+:ニュース 2003/12/18 23:04:00 更新


スカパー!とプラット・ワンの合併でCS 110度放送は変わる?

CS110度は、数あるペイテレビの中でも“失敗例”として語られることが多い。しかし、プラット・ワンとスカイパーフェクト・コミュニケーションズの合併により、状況は大きく変わるかもしれない。スカパー!の描く、合併後のストーリーとは?

 プラット・ワンとスカイパーフェクト・コミュニケーションズ(以下、スカパー!)は12月18日、両社の東経110度CSデジタル放送のプラットフォーム事業を統合するため、2004年3月1日を目処に合併することを明らかにした。存続会社はスカパー!。プラット・ワンは解散し、希望するユーザーはスカパー!のサービスに移行できる。

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18日に行われた記者会見の模様。左がプラット・ワンの片岡久寛社長、右はスカパー!の重村一社長

 CS110度は、数あるペイテレビの中でも“失敗例”として語られることが多い。124/128度CSで成功したスカパー!は黒字化に持ち込むことができたものの、110度CSの「スカパー!2」は加入者数が約7万件と低迷中だ。プラット・ワンは約3万人の加入者を持つが、累計損失は約30億円におよぶという。「CS110度放送は両社合わせても加入者は約10万人。伸びているとはいえ、十分とはいえないのが現状だ」(プラット・ワンの片岡久寛社長)。狭い市場で競合しているよりも、プラットフォームの統合により、CS110度放送そのものを充実させたほうが得策と判断した。

 一方、スカパー!の重村一社長は、合併の理由として地上デジタル放送の開始でデジタル放送3波の共用受信機が増えている状況を挙げた。CS110度対応の受信機が普及すれば、今後は加入者の増加が見込める。「3波共用で風が吹き出した。視聴者の利便性を考えれば、これ以上のタイミングはない。この機会を捉え、プラットフォームを統合したほうが良いと考えた」(重村氏)。

 両社は、17日午後に基本合意書を交わしており、2004年1月上旬に合併契約書の締結を目指す。合併期日は3月1日。合併比率は1対0.165とし、プラット・ワン株式1株に対してスカパー!株式0.165株を割当交付する。その際、発生するスカパー!株2万9700株は新規発行とする予定だ。

 なお、両社は2月末まで現在のサービスを引き続き提供するが、3月以降は新編成のスカパー!2に統合される。プラット・ワンの視聴者は、希望すればスカパー!に移行可能だ。また、プラット・ワンにチャンネルを提供している放送局も「基本的には放送事業者それぞれの判断」(重村氏)でスカパー!プラットフォームで放送を継続できるという。

CS110度の復権?

 CS110度放送が盛り上がらなかった理由の1つとして、独自チャンネルが少ないことが挙げられるだろう。スカパー!にしても、124/128度CSのテレビ180チャンネル、ラジオ104チャンネルに対して、CS110度はデータ放送を含めて57チャンネルと少ない。しかも、このうち44チャンネルが124/128度CSとの重複チャンネルだ。

 しかし、重村氏によると、今回の合併後はコンテンツと使い勝手の向上が期待できるという。もともと、CS110度放送は共用受信機を利用するため、対応機器を購入した視聴者はプラット・ワン、スカパー!のどちらにも登録可能だ。だが、両方に登録したユーザーは視聴時に放送を切り替える必要があるなど、煩雑な作業も多い。

 合併が実現し、デジタル3波対応チューナーが普及すれば、これらを解消できるというのが重村氏のスタンス。「3波対応チューナーのリモコンを見たが、あれはシンプルで使いやすい。合併により、契約や放送切り替えの手間がなくなれば、高齢者にも喜んでもらえるサービスになるのではないか」。

 また、重複チャンネルの多いスカパー!2にプラット・ワンのチャンネルが加わることで、スカパー!2も独自性を確保できる。たとえば、日本テレビ放送網が出資するプラット・ワンでは、プロ野球の巨人戦中継が1つの目玉だ。しかし、同社が放送できるのは東京ドームで行われるホームゲーム70試合のみで、残り半数のアウェイゲームはスカパー!で放送されることが多い。

 「巨人戦をすべて見ようと思えば、プラット・ワンとスカパー!の両方に加入しなければならない。われわれのカスタマーセンターにも、残り70試合を放送してほしいという声が多く寄せられている」(片岡氏)。

 合併後のチャンネル構成は未定だが、少なくとも、こうした要望に応えるセットやパックをラインアップに加えることが可能になる。両社が合併時期を3月に決めたのも、4月からはスポーツ中継が増えることを見越したためだという。

 さらにもう1つ。「CS110度の放送局の中には、HD化を求める声がある。合併によって従来の2社ぶんの帯域幅が柔軟に使えるようになれば、比較的早い段階でハイビジョン化も可能だろう」(重村氏)。

 チャンネル増と高画質化が実現したとき、CS110度放送の評価は変わるだろう。そのとき、地上デジタル放送によって一般視聴者の家に3波対応チューナーが普及していれば、CS110度放送の加入者増も見込める。これがスカパー!の描く、合併後のストーリーだ。

 スカパー!の重村社長は、「プラットフォームの統合により、加入者数はこれまでの3倍程度の伸びが期待できると考えている。今のところ、B-CAS登録数に占める110度CS視聴者の割合は10〜15%程度だが、これを20%まで持っていきたい」と自信を見せた。

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関連リンク
▼スカパー!2
▼プラットワン

[芹澤隆徳,ITmedia]



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