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2003/12/19 19:38:00 更新 |
「県間通信だけでは、規制緩和が不十分」 〜NTT東
多少の規制緩和が進んだとはいえ、地域IP網を県間接続するだけでは不十分。やはり、NTT東西のネットワークをすべて接続しなければ――。NTT東日本の古賀常務は、そう主張する。
今年から地域IP網の県間接続も認められ、より強化されたブロードバンドサービスを提供しているNTT東西地域会社。NTTへの規制緩和に、神経をとがらせる事業者もいる中で、当のNTT側は「まだまだ規制緩和が不十分」との認識を持っているようだ。
12月19日に開催された「EC研究会」には、NTT東日本の古賀哲夫常務が登場。同社のサービスを紹介する中で、規制の現状に不満をもらした。
「暗黒の4年間」は終わったが……
NTT東日本はこれまで、1985年の電電公社民営化と同時に制定された、「日本電信電話株式会社等に関する法律」(いわゆるNTT法)の規制に悩まされてきた。
1999年のNTT再編でNTT東日本が誕生したが、その業務は“地域通信事業”に限定された。このため、NTTの提供するインターネットサービスは地域IP網とよばれる県単位のネットワークを通じて提供されるかたちになった。たとえばIPコミュニケーションサービス「フレッツ・コネクト」にしても、当初は県内通話しかできなかった(記事参照)。
「NTT東日本といっても、実際は“NTT北海道”“NTT東京”などが集まったようなものだった。我々はこれ(1999年〜2003年まで)を、暗黒の4年間と呼んでいる」(古賀氏)。
実は古賀氏は、昨年のEC研究会でも同様の議論を展開し、規制の撤廃を訴えていた(記事参照)。それから1年がたち、今年2月には正式に総務省の認可がおりて、県間通信が開始される運びになった。
以前からの願いが、ようやくかなったかたちの古賀氏。しかし同氏は壇上に立つと、再び“さらなる規制緩和”を訴えた。
「NTT東西の接続を」
古賀氏が主張したのは、NTT東西地域会社のインフラの、相互接続を認めよということ。県間通信が認められたとはいえ、それはNTT東西それぞれのエリア内でのこと。東西をまたがる通信は、現状実現できない。
「たとえばIPテレビ電話をするにしても、東京――大阪間での通話はできない」(古賀氏)。
同氏はこの状況に、「まだ大きな壁、ベルリンの壁ぐらい大きな壁が残っている」と強く反発する。音声収入が減少し、インターネットサービスによる収益増へとかじをきらねばならない中で、規制が残っているのは問題だとした。
古賀氏は、米国では既にこうした“境界”がとりはらわれていると紹介する。
米国最大の通信事業者であるAT&Tは、NTT同様1984年に分割され、各社が国際通信、長距離通信、州内通信を分担することとなった。しかし1996年に通信法改正があり、改めて各社がエンド・エンドの通信サービスで提供できる状態に移行している。
古賀氏は重ねて、KDDIがFTTHサービスとauの携帯電話サービスを連動させる考えでいることを指摘し(記事参照)、「これを許しながら、我々は切り刻むと……」と、皮肉たっぷりに話す。前述の“ベルリンの壁”を取り払ってくれるよう、お願いをしているところだと話した。
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EC研究会
NTT東日本
[杉浦正武,ITmedia]