リビング+:特集 2003/12/24 23:59:00 更新

レビュー:東芝「RD-X4」
“コダワリ”に対する評価が選択のポイント?

映像のライブラリ化という点に力を入れてきた東芝「RDシリーズ」は、どちらかといえば“マニア受け”のする製品だ。新ラインアップでは、DVD-Multiドライブの採用や高速なCPUの採用により、定評のある機能をさらにブラッシュアップ。その最上位モデルとなる「RD-X4」を下位機種との違いに留意しながら検証してみたい。

 映像のライブラリ化という点に力を入れてきた東芝の「RDシリーズ」は、どちらかといえば“マニア受け”のする製品だ。Webブラウザでリモート操作できる「ネットdeナビ」の採用により、パソコンとの相性もいいが。そのRDシリーズは、2003年秋冬の新ラインアップでDVD-Multiドライブや高速なCPUの採用などによってさらにブラッシュアップされたた。今回は、最上位モデルとなる「RD-X4」を取り上げ、下位機種との違いに留意しながら検証してみたい。

アウトライン

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外観は先に発売された「RD-XS41」とほとんど変わらない

 HDDに録画した映像を、自在に編集してDVDに可能な限り高画質なまま保存し、ライブラリとして管理する。もう2度と放送されないかもしれない大切な放送の録画と保存管理を重視したRDシリーズの最高峰として投入されたのが「RD-X4」だ。

 大幅な高機能化とDVD-Multiドライブの採用、内蔵プロセッサの強化などを図り、PCを超高機能なリモコンとして利用する「ネットdeナビ」も進化した「RD-XS41」の機能を基本に、高画質化とハードディスクの大容量化(160Gバイトから250Gバイトへ)を果たしている。

 地上波チューナーにGRTを内蔵したほか、12bit/216MHzという最高クラスの映像DACを搭載。アナログ出力段にまで気を遣った高品質指向が下位モデルとの差だ。ハイブリッドレコーダーに高品位な再生機能を求めるのであれば、本機が最有力候補となるだろう。また、D端子入力を備え、デジタルチューナーなどの入力をテレビにスルー出力できるのも魅力。D端子出力がひとつしかないチューナーと一緒に使う時には非常に役立つ。

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ライブラリ画面。操作時のレスポンスは良い

 さらに、有償ながらファームウェア更新による機能アップのロードマップが明確に示されている点にも注目したい。2004年3月発売予定の「RD-X4拡張キット」をインストールすると、DEPG、HDDコンテンツのフォルダ分類、DVD-RW時のVRモード録画の3つ(それ以外にも細かな機能アップが行われる予定だが現時点では未発表)が追加される。DEPGはこれまで「ネットdeナビ」に頼っていたEPG録画予約を、本体側で行えるようにするものだ。つまり、RD-X4もテレビ画面で操作できるEPGを手に入れることになる。

 また、高速ダビング中でも、HDDコンテンツの再生や予約録画の実行を行うことができるのもうれしい。

RD-X4を選択する理由、その1
高品質指向

 RD-X4は、見た目のデザインを含め、下位モデルのRD-XS41と酷似した機能を持つ。HDD容量が異なり、テレビチューナーにGRTが装備されている点が目立つだけで、たいした違いはないように見えるかもしれない。実際、機能面ではRD-XS41を踏襲している部分が多いのも事実だ。

 しかし、RD-X4には、高品質回路とD5スルー、それに拡張キットによる機能追加といった要素もある。これらの点に魅力を感じないならば、値頃感が出てきているRD-XS41を選ぶ方が正解だろう。言い換えれば、本機を選ぶ理由としてもっとも適切なのは、高品質指向の設計を評価するか否かにかかっている。

 XS41に対する画質的なアドバンテージに関しては、GRTと12bit/216MHz映像DACが挙げられることが多いが、単に高級なデバイスを使っただけではない。オペアンプには東芝の最高級DVDプレーヤー「SD-9500」に使われているものと同等の性能を持つ、超高速オペアンプをデュアル搭載。IP変換精度を向上させるなどして、フィルムソースのDVD再生における画質向上にも気遣いが見られる。レコーダーとしてだけではなく、DVDプレーヤーとしても高品質を目指した製品といえるだろう。

 実際の映像も期待を裏切らないものだった。市販DVDソフトの再生品質は非常に高く、筆者が所有している再生専用機(マランツ『DV-8300』)と比較しても、それ以上の画質を実現している。さらに特筆したいのは音質だ。DV-8300は、オーディオ出力回路にピュアオーディオ用と同等のものが使われているが、RD-X4はそれに匹敵する音質を実現していた。

 映像入力にD端子があるのも特徴。録画可能なフォーマットはD1相当の515iのみだが、入力した映像信号をスルーでモニターに出力可能で、その際にはD5(つまりフルHDフォーマット)信号が出力される。

RD-X4を選択する理由、その2
"高品質DVDを作ること"に対するコダワリ

 下位モデルのRD-XS41と本機に共通する魅力のひとつが、高品質なDVDを作るため、さまざまな工夫が凝らされた細部のコダワリだ。

 DVDのディスク名、記録タイトル名はもちろん、チャプター名まで設定することが可能。チャプター名の入力は、後述する「ネットdeナビ」を用いて簡単に行うことができる。さらに記録する映像が16:9なのか、4:3なのかを指定してDVDを作ることもできる。D端子付きワイドテレビを使っている人は要注目だ。ハイビジョン放送などの16:9ソースや、16:9用に撮影した家庭用ビデオコンテンツなどをDVDにするときに重宝する。

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チャプター編集画面。分岐点を設定し、分割や保存が可能

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DVD作成のオプション画面。16:9、4:3も指定できる

 また、HDDからDVDへのダビング時に再エンコードが不要になるように、録画時にキッチリとぴったりサイズで記録するためのマニュアルレート設定も豊富。音楽番組録画などでは画質は多少落としてでも、長時間かつ高音質な録画をしたい場合もあるが、リニアPCMを任意レートの動画と組み合わせることもできる(他社、リニアPCM対応機では、最高画質モード時にしかリニアPCMにならない)。

 得意の編集機能はGOP単位で指定したのち、フレームを再調整。プレイリストに反映させることでフレーム単位のカット編集を行うことが可能だ。フレーム編集の結果はDVD-VRモード時には無劣化で反映される(再エンコード時にはDVD-Videoモードでの書き込みも可能)。

 さらに、DVDからHDDへの無劣化での書き戻しがDVD-Videoモードのディスクからも行える(従来はVRモードのみサポート)。Videoモードで記録時に失われる情報を、別ファイルで保存しておく必要があるため、RD-X4/XS41などで作成したDVD-Videoからしか行えないという制限はあるが、一度DVD-Videoにしておいた番組を取り込み、再編集して別DVDにまとめる場合などに便利だ。可能な限り、再エンコードを避ける機能の組み立て方に、RDシリーズのコダワリが見える。

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DVD作成時にはオリジナルのメニューも作成可能。画面はバックグラウンドを選択しているところ

RD-X4を選択する理由、その3
操作の手間を大幅に軽減する「ネットdeナビ」

 「ネットdeナビ」も下位モデルのRD-XS41と共通の機能になるが、録画した番組を自在に編集して保存したいユーザーには非常に便利な機能だ。これは、WebブラウザからRD-X4にアクセスし、パソコン上で予約管理やコンテンツ管理を行えるようにする機能。iEPGを用いた予約を行い、番組タイトルや説明文を自動的に録画コンテンツに設定できるほか、チャプターごとのタイトルをパソコンを使って快適に入力することもできる。

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「ネットdeナビ」はWindows/Mac OS両サポート。Webブラウザで予約管理やコンテンツ管理を行える

 RDシリーズは録画コンテンツや編集などの機能が非常に凝っており、赤外線リモコンだけでは多少煩雑すぎると感じる場合もある。しかし、パソコンユーザーなら「ネットdeナビ」を使うことで煩雑な操作も手軽に行えるのだ。

 RD-XS41とRD-X4では、番組情報取得とJavaアプレットを用いたネットリモコンの強化が行われており、より使いやすくなった。番組情報取得は本体側で予約していた番組の情報を、パソコンを用いずにインターネットから取得する機能。パソコンを持っていないユーザーも、これでタイトル入力の手間が省けるようになった。

 また、ネットリモコンはパソコンのマウスホイールに対応し、編集時のコマ送り操作などに活用できるようになっている。強力なDVDメニュー編集機能などと組み合わせて使えば、パソコンでDVDオーサリングするよりも簡単で快適に作業することができる。

考慮すべき点、RD-X4の場合

 先代モデルの「RD-X3」は、高品質な映像回路や大容量ハードディスクの搭載、「ネットdeナビ」の装備などで、特にAVマニアに人気の高い製品だったが、動作音が少々うるさいという欠点もあった。本機はさらなる高画質を目指したうえ、音質も向上し、さらには動作音が大幅に静かになっている。RDシリーズの編集機能やDVDオーサリング機能を重視したコンセプトに共鳴するのであれば、その価格を考慮した上でもおすすめの機種といえる。

 ただし、その分、操作や機能が煩雑になっている点は否めない。特にDVD詳しい知識がなくても一通りの機能は利用可能だが、設定メニューや機能実行時のオプションには専門用語も多く、使いこなすためにはMPEG2の基礎知識やDVDメディアの特性および論理フォーマットとその特徴などについて知っておく必要がある(もちろん、それだけ奥の深い製品ともいえるが)。

 また、メニュー動作などは高レスポンスで快適だ。「ネットdeナビ」利用時の反応も同様に良いが、電源オンやメディア認識にかかる時間は少々長い。特に新規メディアを挿入してから録画可能になるまでには44秒も時間がかかったことを付記しておく。

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関連リンク
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[本田雅一,ITmedia]



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