リビング+:ニュース 2003/12/25 23:59:00 更新


大学でのP2P利用を取り締まれるか

P2Pファイル交換ソフトが利用される環境の一つに、大学がある。ネットワーク環境が整っている割に、厳しい規制もなく、違法利用がまかりとおっているケースもあるようだが?

 著作権侵害の温床として、危険視されるP2Pファイル交換ソフト。そのソフトが利用される環境の一つに、大学がある。ネットワーク環境が整っているわりに、厳しい規制もなく、違法利用がまかりとおっているケースもあるようだ。

 P2Pソフトの利用監視を手がけるネットアーク(記事参照)によれば、P2Pファイル交換の利用が確認できた学校法人は、2003年6月から12月までで確認できただけで、221校以上に上る。その中には、違法なファイル交換が行われている大学も含まれると考えられる。

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ネットアークのサイトより

 こうした事態に、行動を起こしているのが日本レコード協会だ。同協会はこれまで、音楽ファイルの不正アップロードが見られた大学に対し、取り締まりを行うべく協力要請を行ってきた。その数は、これまで40大学に上る。

 日本レコード協会の広報を担当する、新屋泰造氏は、これらの大学が氷山の一角にすぎないことを示唆する。「一つ一つチェックするといっても、最後は人海戦術になる。こちらですべてを確認することはできない」。このため、同協会は11月25日付けで、全国1200の国公私立大学・短期大学に協力要請文書を送付している。

対策に乗り出す大学

 協力要請をうけた大学側も、対策を講じ始めている。新屋氏は、「真摯に対応してくれている」と一定の評価を与える。

 大学によっては、学生に対しP2Pソフトの違法利用をしないよう、オリエンテーションを行うところもある。学内にポスターを貼って、注意を促す大学もあるようだ。

 「また、問題なのはP2Pの悪用をそそのかすような雑誌の存在。ある大学生協では、そうした雑誌の販売を禁止にしたと聞いている」(新屋氏)。

 慶應義塾大学の場合は、P2Pソフトの利用ルールを定め、湘南藤沢キャンパスの学生全員に送付した(同大学のページ参照)。その一部を抜粋すると、「P2Pファイル交換ソフトを使用する場合は、必ず学内利用届出制度に従った使用申請を行わなければならない」。

 著作権侵害があった場合、当該学生のアカウントを停止するとともに「けん責以上の処分を行う」とも。一律禁止ではないものの、“届出制”にして、利用を制限したい考えのようだ。

やはり最後は「教育」が必要?

 もっとも、こうした取り組みでP2Pを封じ込められる、とは必ずしもいえない。

 大学でP2Pソフトが利用される背景には、ブロードバンドインフラが整備されている状況がある。学内にはLAN環境も整い、学生は潤沢な帯域を気軽に利用できる。

 一方で、このネットワークを厳正に管理できるかは、疑問だろう。「デスクトップのPCを管理したとしても、研究室にノートPCを持ち込まれる可能性もある」(新屋氏)。大学が企業と比べ、比較的自由な雰囲気であることもあり、利用をはっきり制限することは難しい。

 やはり最終的には、学生ひとりひとりの意識を高めてもらうしかないだろう。それには、著作権がどういうものか、きちんと教育・啓発していくことが重要になる。これは、日本レコード協会にせよ、ACCSにせよ、著作権保護に関わるもの全員に共通した見方。日本レコード協会は、今後も大学と密に連携を取りつつ音楽の不正利用を防止する活動を続けるとしている。

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関連リンク
▼日本レコード協会
▼ネットアーク

[杉浦正武,ITmedia]



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